挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ようこそ、飛娘コレクターの司令官……代理! 作者:時井 人紀

第二章『基地近辺空域攻略作戦での苦境』

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

9/41

苦情

 しかし、一度狂った歯車はそう簡単に戻らない。

 そう思い知らせようとしているかのごとく、燕型の二人が司令官室にやってきた。

 理由はシンプル『訓練、訓練とせっつきすぎ。もうちょっと、ゆっくりと育てて欲しい』というものだ。

 確かに、レベル上げは常に急がせている。

 勝てないから――というのもあるが、それだけではない。



 金満基地の飛娘は皆、高レベルだったという漫画に合わせるためだ。



 そうしないと、金満基地はただの一基地に過ぎず、漫画に合わせて進むという山雲雀との計画に瑕疵(かし)が生じるからだ。

 だから、白梟にはがんがん鍛えようぜ! と指示してある。

 燕型の二人にはそれが不満なのだろう。

 ふむ、どうしたものか……。 

 因みに、山雲雀は資材のチェックに行っていて不在――俺一人で対応しなくてはならない。

 紺色のブレザー型制服を着た西岩燕(にしいわつばめ)起伏(きふく)の少ない声で言った。

「……そもそも、勝てない理由を飛娘のレベルに求めるのはどうかと、西岩燕(にしいわつばめ)は思います。
 例えばもっと他の……ほら、司令官の首から上にある――」

「おい、俺の頭に理由があると?」

「有り体に言えばそうです」

「厳密には頭の中」

と西岩燕にニヤニヤした顔で追随したのが琉球燕だ。

 琉球が名に付いているこの子だが、頭に巻く紫の鉢巻きと、挨拶が『ちゅーがなびらぁ~』だということぐらいしか沖縄の要素はない。

 他はごく当たり前のクラスにいる、アイドルにはなれないけど可愛くも派手な女の子って雰囲気だ。

 ……可愛いけど、地味な男子をからかって遊ぶ嫌な奴って感じ、でもあるな。

 反面、西岩燕は可愛いけど地味なタイプだ。

 眼鏡してるし、委員長……いや、生徒会書記っていう感じかな。

 中心には立たず、誰かの後に付いていって力を発揮するタイプに見える。

 まあ、それはともかくだ。

 俺は頭を掻きながら言い聞かせる。

「あぁ~訓練が大変なのは分かる。
 大変にするように指示したのは俺だしな。
 だがなぁ、それはお前達のためでも――」

「出た、お前達のため!」

「西岩燕の調べによると、『お前達のため』と言った95%の上司は、結局、自分の出世や自己顕示欲のために部下をこき使ったと出ています」

 おま、絶対調べてないだろう!?

 絶対、口から出任せで言ってるだろう!?

 ……く、いかん、ここでカっとなっては、ますますやりにくくなる。

「そもそも、今、勝てない事を理由に、お前達を鍛えているわけではない。
 ほら、俺の指示通りボスまで行けただろう?
 そこから先は――」

「うわぁ~旗機艦の山雲雀や白梟さんの責任にしてるぅ~。
 最低ぃ~」

「大本営の指示を、こうまで自分の手柄にしようとするとは……いっそ清々しいですね。
 ゲスには違いないですが」

「……違う。
 そこから先は時の運だと言いたかっ――」

「言い訳ぇ~。
 口を開けば言い訳ぇ~」

「西岩燕の調べによると、部下が上司を嫌う理由の第一位は『言い訳ばかり言う』でした」

 こ、こいつら……。

 前回、前々回退却したの、自分らが中損傷したのが理由だって、忘れやがったのか?

 ってか、敵の位置ってやっぱり大本営指示ってことになってるのか、くそぉ~。

 だが、感情を高ぶらせたら負けだ。

 押さえてぇ~押さえてぇ~。

「うわ!
 今見た、西岩燕!?
 こいつ、わたしの胸をチラ見したのよ!
 キモ変態さいてぇ~」

「お、おい!
 確かにちらりと視界に入ったけ――」

「マジ、動きキモいしぃ~!
 あれ? ブルブル震えてるぅ~。
 怒ってるの?
 さらにキモいぃ~」

「……動き要素だけだと、モロ俺だけ……。
 い、いやそれはともか――」

「とにかく、自分の駄目さを誤魔化すために、わたし達にきつい訓練を押しつけるのは、もうやめてよねぇ~」

「だ、だから……」

「ホント迷惑!
 ホントキモい!」

「お前、今キモい関係な……」

「……西岩燕の調べによると、無能司令官の94%が女の部下にガンガン責められると、権力と腕力を駆使して自分の”もの”にすると出てます」

「分かった!?
 この無能司令――え?」

「は?」

 意気揚々と俺を責め立てていた琉球燕の瞳からすーっと光が消え、西岩燕の腕にしがみついた。

 そして、震えながら首を横に振る。

「え……そんな……。
 いや……絶対……絶対いや……」

 こ、こいつら、無能司令官扱いするだけならまだしも、強姦(ごうかん)魔あつかいとか……。

 もうゆるさん……。

 も~ゆるせん……。

 俺は通信機である飛娘と連絡を取った。

「あ、白梟?
 金満だけどお疲れ!
 今から真鴨と夜間訓練だよねぇ。
 うん、うん。
 でさぁ、今、司令室に是非ともそれに参加したいという飛娘がいてさぁ~」

「「ちょ!?」」

「ん? 琉球燕と西岩燕。
 なんか昼にあった白梟の訓練がちょろくって、ちょろくって眠たくなったとか――」

「ちょ!
 やめ! マジやめて!」

「西岩燕の調べによるとぉ~」

「だから、今すぐ来てねぇ~
 よろしく~
 ……ばぁ~かばぁ~か、ざまぁぁぁ!」

「ふざけんな!
 このへっぽこぉぉぉ!」

 顔を真っ赤にした琉球燕が司令官用の机をガンガン叩く。

「うるさいわ、ばぁ~か!
 好き勝手言い腐りやがって!
 なにが”力ずくで”だ、ばぁぁぁ~か!
 お前なんかいらんわぁ~身の程を知れぇぇぇ!」

「はぁ~?
 はぁ~?
 この、キモ陰キャラ司令官がぁ!
 気づいてるんだからね!
 わたしの胸だけじゃなく、お尻だって時々見てるってことを!」

「たまたま目に入っただけですぅ~?
 そこまで言うなら、視界に入ってくるなってやつですぅ~」

「失礼します!
 白梟、入り――」

「うわぁ!
 また人のせいとか、最低!
 キモい上に最低ぃ~」

「あのう……」

「うるさいわ!
 そもそもお前、ひょっとしたら自分の事、可愛いとか思ってるかもしれないがなぁ!
 お前なんて可愛いと思う飛娘ランキング、152位なんだぜ!
 152位ぃ!
 しかも、勇ましい系や綺麗系、妖艶系とかの飛娘抜いたらお前、下から数えた方が早いんだぜぇ~」

「はぁ~? はぁ~?
 なにそれ?
 なに、そんなランキング勝手に作ってる訳!?
 キモいと思う司令官、断トツ1位のくせに!」

「……白梟、到――」

「お前こそ適当言うなぁぁぁ!
 因みにお前の姉である燕は、13位だ、13位!
 同じ燕型でなんだこの体たらくは!
 そもそも、なにが琉球燕だ!
 琉球要素なんてほとんどないじゃないか!
 お前なんて田舎のギャルだ!
 田舎ギャル燕だ!」

「はぁ?
 だったら、あんたなんて田舎のボッチじゃない!
 あなたのお友達は誰ですか?
 あ~蝉君ですか、ミンミン元気なお友達ですねぇ~」

「あの~!」

「この、お前……。
 つい最近生まれたばかりなのに、よくもまあ、そんな罵声を思いつけるなぁ~!
 曲がってやがる! 性根曲がってやがる!
 まあいい!
 今から最強の飛娘たる白梟がやってくるからなぁ~覚悟しておけ!
 白梟は、ただ最強な訳ではない、もっとも恐ろしいと書いて最恐(さいきょう)でもあるんだぞ!」

「あの~!
 その白ふく――え!? 最恐!?」

「確かに、白梟さんは最恐怖だけど!」

「最恐怖!?」

「それでも、白梟さんはわたしと同じ飛娘!
 わたしの味方をしてくれるはず!」

「バカかお前はぁ~。
 白梟と俺は死線をともにくぐり抜けた仲!
 ぽっと出のお前などとは、絆が違うわ!」

「はぁ?
 高々三、四週間早く――」



 乾いた炸裂(さくれつ)音が司令室に響きわたった。



 炸裂音?

 ……いや違った。

 ただ掌を打ち合わせただけだった。

 ただ、最恐――ではけしてない、お美しい白梟さんが、青筋を立てた笑顔で掌を打ち合わせただけだった。

「あ、あ、あれ?
 白梟さん?
 えら、えらく早いお越しで?」

 や、やばい。

 最恐の下りを聞かれていたら、やばい……。

「司令官……」白梟は柔らかな笑顔をこちらに向けた。

 正確に言えば、猛禽類(もうきんるい)に相応しいギラリと輝く目以外は――ではあるが。

「”最恐の白梟”は元々、夜間訓練の出発を報告するため、こちらに向かっておりました故に……」

 聞かれてたぁぁぁ!

 やばい箇所もろ聞かれてたぁぁぁ!
小鳥級雨燕型三番機艦、姫雨燕……。
司令官『ギャルっぽくて一見すると、ちょっとキツそうな女の子』
姫雨燕『みたいな?』
司令官『しかし、話してみるとかなり人懐っこくて、甘えん坊な女の子』
姫雨燕『みたいな?』
司令官『何というか、甘えられて育った室内犬、って感じだなぁ』
姫雨燕『わんわん、みたいな?』
司令官『そうそ――っておい、俺の手を噛もうと――痛たたた!』
司令官『おいマジ、痛! 怒ってるの!?』
司令官『犬扱いされて怒ってるんですか!? ヒメアマさん!?』
*************
読んで頂き、ありがとうございます!^^
評価感想など頂けると、これからの執筆活動の糧になります。
気が向いたらで構いませんので、よろしくお願いします。><

小説家になろう 勝手にランキング
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ