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ようこそ、飛娘コレクターの司令官……代理! 作者:時井 人紀

第五章『初期飛娘の三人』

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琉球燕問題再び

 一難去って、また一難とはまさにこのことだ。

 山雲雀と白梟が出撃したタイミングを見計らって、琉球燕が司令室に乗り込んで来やがった。

「あぁ~琉球燕さん、机から退()いて頂けませんでしょうか?」

 ニヤニヤした顔の琉球燕はノートパソコンの左横に、まるで瑞々(みずみず)しい素足を見せつけるように足を組んで座っている。

「別に良いでしょう?
 わたし知ってるんだから!
 烏さんを机の上に座らせて、その足を楽しんでるの。
 むしろ喜んだら?」

「誰が楽しんでる!
 あいつが勝手に座ってるだけだ!」

「ふふふ」

 こいつ、分かって言ってやがるな!

 頭に来たが、こういう奴に一番効くのは無視なのでノートパソコンの画面に集中する。

 痛っ!

 足の指で頬を抓りやがった。

「ほれほれ、すくそこに可愛い女の子の足が無防備にあるのよぉ~
 柔らかいわよぉ~いい匂いだってするのよぉ~」

 誰が、可愛いと思う飛娘ランキング、百五十二位女にぃ~って言ってやりたい。

 言ってやりたいのだが……。

 エロい!

 とにかくエロい!

 女の子の甘い香りが仄かに鼻をくすぐり、俺の頬を撫でる少しひんやりとする柔らかな素足、そして、その先に見える艶めかしい肌には光沢があり、程良く肉付きの良い太股の奥は短いスカートの陰になっているから見えないので、その中についてやたらと想像をかき立ててしまう。

 まあ、裾の短いスパッツだろうけどな。

「因みに今……。
 スパッツは穿いてないのよ」

「なん……だと……」

 琉球燕のささやきに、股の間がさらに刺激される。

 マズい……。

 このままでは非常にマズい……。

 このまま”起きたら”、そして、それに琉球燕が気付いたらスキャンダルにされてしまう!

「お前……。
 こんなことをして、白梟が戻ってきたらどうなるか分かっているんだろうなぁ~」

 伝家の宝刀を抜いた俺を、琉球燕があざ笑う。

「はんっ!
 白梟さんなどわたしは既に克服してるのよ!」

白梟(あいつ)って、克服出来るレベルか!?」

 鬼も裸足で逃げる、白梟様だぞ!?

「そんなもの……。
 心を砕けばどうという事も無いわ!」

「死んだ魚みたいな目で何言ってるんだ!?」

 違うベクトルでこえーよ!

「一ヶ月間、わたしは白梟さんと一緒の部屋にいたのよ……。
 ふふふ、もう何も怖くない」

「だから、そんな目で死亡フラグを立てようとするな!
 っていうか、震えてる!
 お前震えてるよ!
 本当に心が砕け散る前に、戻ってこい!」

「……知ってる?
 白梟さんって、夜になると……」

「え!?
 なに!?」

「布団に入って目を閉じて――何も言わなくなるのよぉぉぉ!」

「いやそれ、寝てるだけだから!
 白梟(あいつ)だって、夜になったら寝るから!」

「十日目なんかぁぁぁ!
 トランプを持ってきて『ババ抜きでもしましょうか?』って言うのよ!?
 いったいどういう事よ!?」

「気を使われてる!
 お前、めちゃくちゃ気を使われてるぞ!」

「挙げ句の果てに――ねえ!」

 琉球燕は涙をポロポロこぼしながら叫んだ。

「十五日目の夜に西岩燕を連れてきて、『今日から西岩燕も一緒に』ってどう言うこと!?
 わたしはぁ!
 わたしはぁ!
 もういらないって事!?」

「お前、クソ面倒くさい奴になってるぞ!」

 気を使うって言うか白梟、絶対、扱いに困ってるだろう!

 琉球燕は空を見上げ、言葉を絞り出す。

「……最後の方なんて、どうなったと思う。
 白梟さん、わたしのこと応援し始めたの。
 頑張れぇ~頑張れぇ~って。
 ねえ、わたし……どうしたらいいの?」

「いや知らんわ!
 っていうか、応援ってどんな状況だよ!?」

 白梟は普段通りだったけど、そう言えば、琉球燕については言葉を濁していたな。

 それに、飲んでもいないのに酔っぱらったのって、こいつがストレスになってたとかじゃねーのか!?

 あとで詳しく聞き出さなくては!

 何て思っていると、琉球燕の目がギラリと光り、俺の顔がその両足に挟まれた!?

「おい!」

「うるさい!
 わたしはもう駄目なのよ!
 だけど、わたし一人で逝くものか!
 あんたを道連れにしてやる!」

「はぁ!?」

「知ってるかしら?
 世の中には飛娘の権利を守ろうという、ありがたい民間非営利組織(NPO)が存在することを」

「おおおおい!?」

 そ、それって、なんたら保護団体って奴か!?

「そこに、”酷いこと”をされましたぁ~!
 とか言って泣きついたら、あんた、どうなるかしらねぇ~
 わたしも機羽解体だけど、あなたも司令官クビ。
 さらには、可愛そうな女の子に乱暴したクソとして、ありとあらゆる所で叩かれる――それがあなたのこれからの人生よ!」

「やめろや!
 っていうか、お前、病んでる!
 心を病んでんだ!」

「あんたも西岩燕(ニシイワ)と同じ事を言うのねぇぇぇ!
 わたしは病んでない!
 正常よぉぉぉ!」

西岩燕(ニシイワ)ぁぁぁ!
 あの馬鹿、こいつがここまで壊れてるって、何で報告しないんだぁぁぁ!」

 怖い怖い!

 お前、ヤンデレからデレを抜いたヒロインみたいになってるぞ!?

「さぁ~覚――」

 琉球燕が――不意に消えた。

 そう認識した一瞬後、鈍い激突音と共に地面が一度揺れた!?

 慌てて視線を机の左側に向けると、琉球燕が白目をむいて倒れていた。

 !?

 ……っておい!

 絨毯だから分かりにくいが、頑丈なはずの司令室の床が――凹んでるぞ!?

 ピクリとも動かない琉球燕の左足が浮いていて、その足首を――ニコニコ顔の川蝉が掴んでいた。

 こいつ(川蝉)がやったのか!?

 川蝉は掴んでいた足を無造作に離すと、なにやら楽しげに俺の机を拭き始めた。

 紅茶を入れるのに邪魔だったのか……。

 って、それどころじゃない!

 川蝉と入れ違いに机に近寄ると、ノートパソコンを使って付喪神ちゃんを呼び寄せる。

 そして、通信機をオンにする叫んだ。

西岩燕(ニシイワ)ぁぁぁ!
 至急司令室に来い!
 琉球燕がやばいぃぃぃ!」

 そこまで終えると、俺は琉球燕に近寄りその脇にしゃがむ。

 そして、恐る恐る手首を掴んだ。

 脈は――あるので、取りあえずは大丈夫……なのか?

 気絶してるだけだよな?

 ……しかしなんというか。

 ぶっ倒れた琉球燕を見た時、真っ先に叫びそうになったのが『お前、スパッツ穿いてるじゃん!』だったのは、墓場まで持って行こう。

 そんな誓いをたてつつ、俺は琉球燕のスカートの(まく)れを直した。
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読んで頂き、ありがとうございます!^^
評価感想など頂けると、これからの執筆活動の糧になります。
気が向いたらで構いませんので、よろしくお願いします。><

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