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ようこそ、飛娘コレクターの司令官……代理! 作者:時井 人紀

第五章『初期飛娘の三人』

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今後の方針

司令官(あなた)、そろそろ」

 山雲雀に促されたので、俺は軽い咳払いをしつつ皆を見渡した。

 ん、川蝉の紅茶も行き渡ったし、良いかな。

「えぇ~全員揃ったようなので、ミーティングを始める」

 司令室の中央には、長机を二つ重ねて置いている。

 それを今日の面々――中鳥級以上+小鳥級初期メンバーが囲うように集まっている。

 そんな彼女達の視線がこちらを向いたことを確認した後、俺は話を続ける。

「まず始めに、皆に伝えておかなくてはならない事がある。
 まあ、何というか、特に何かがあったわけではないが……。
 今日から一ヶ月、全員飲酒禁止とする」

 うつむく白梟(シロフクロウ)真鴨(マガモ)大鷹(オオタカ)毛足狂鳥(ケアシノスリ)白隼(シロハヤブサ)と、我関(われかん)せずの黒鶴以外が不思議そうにこちらを見る。

 何故か――司令官用の机の前にいる俺のすぐ隣、山雲雀と俺を挟む位置にいる(カラス)が訊ねてくる。

「ふぅ~ん?
 何でぇ?
 っていうか、飲み会を行った日、わたしが部屋に戻った後、何かあったのぉ?」

 ……どうでもいいけど烏、机の上に足を組んで座っているから、目の行き場に困るんだけど!

 黒のパンストの足が、目の端にチラチラして困るんだけど!

「俺もよく分からない。
 ただ、酒を飲んだ連中が騒いだらしいから、その制裁として、だ」

「ふぅ~ん?」

 烏が少し疑わしげに、俺の顔をのぞき込む。

 ホントホント、俺ハヨク分カラナインダ。

 アト、白梟ガ死ンデ詫ビルトカ言ッテル意味モヨク分カラナイヨ。

 ダカラ言ッテアゲタンダ。

『何モナカッタ、故ニ、オ前ガ死ヌ意味モ無イ』トネ。

 白梟、アノ時何故カ、怯エタ目デ俺ヲ見テイタンダ。

 何故ダロウ?

 俺が白梟に微笑みかけると、可愛くて勇ましいで有名な白梟ちゃんがペコペコ頭を下げ始めた。

 どうしたんだろうね?

「まあ、それはともかくだ。
 今後の方針などを話していこうと思う」

 二空域四面を抜けたので、次は三空域になる訳だが……。

 三空域の地図を広げた山雲雀が話し始める。

「琉球地区近辺の祟り神を殲滅、それが次の任務よ。
 現在、琉球本島の基地などが踏ん張ってはいるものの、やはり位置的事情もあって、執拗に攻撃されている空域なの。
 わたし達がやるべき事は遊撃隊として、この地区に進出し、敵を追っ払うこと」

 琉球地区――現代で言う沖縄近辺は、ゲームでは南西空域とされていた。

 そこから南東にぐぐぐっと進むと、ムー大陸があった場所に当たる。

 そこからもっとも多くの祟り神が湧いているとされているので、今までのような小物祟り神とは訳が違ってくる……。

 山雲雀が俺の思考を読むかのように話を続ける。

「敵の強さも上がるでしょうが、わたし達も成長している。
 それに、黒鶴も背高鴫(せいたかしぎ)も着任している。
 けして、かなわない相手ではないはずよ」

 自分の名を呼ばれて、黒鶴が何故かピクっと反応した。

 ……あぁ~そういえば、山雲雀って黒鶴のことを呼び捨てにするんだよなぁ。

 漫画では、祟り神との戦いが終わった後に”さん”付けしなさいとか言い出して、今更!? とか突っ込まれてた。

 当然、今の黒鶴も気にはなっているはずだが、言うタイミングでも逃したのか、口をぱくぱくさせている。

 その代わりに、真鴨が左掌に右拳をバチンと当てながら、嬉しそうに俺を見た。

「司令官!
 せっかく黒鶴さんが来てくれたんだし、ここは一気に叩き伏せてさぁ~
 戦果ランクを一気に上げちゃおうよ!」

「そうね。
 あの艦載機の数はほとんど反則。
 よほど慢心しない限り、一気に殲滅できそうね」

 白梟もそれに同意する。

 ふむ。

 まあ、黒鶴の強さを知ると、そう思ってしまうよな。

 実際、三空域四面以外は、恐らく黒鶴のみですんなり進んでいくだろう。

 ただ、三空域四面だけは黒鶴を投入することが出来ない。

 その理由はそこで行う任務が『離島に取り残された海軍兵士を救出せよ』であるからだ。

 敵主力に包囲された島に密かに近づき、海軍兵士を救出後に離脱するという、飛コレ初のボスを倒すのが目的でないステージだ。

 ここで必要になる機艦種は”小鳥級”のみだ。

 他はメンバーとして選ぶことすら出来ない。

 なので、大鳥級やら母鳥級やらのみをそろえて、鼻高々に二空域四面をクリアーした司令官は、ここで絶望する。

 だから、黒鶴を理由にがんがん進めると思うのであれば、とんでもない話なのだ。

 ほんと、運営はなんとも憎い演出をするもんだ。

 因みにたっくん基地はというと、二空域四面で躓き、検証出撃を増やした事が好転した。

 山雲雀はもちろんの事、燕、針尾雨燕(ハリオアマツバメ)、川蝉、頭高(カシラダカ)浜雲雀(ハマヒバリ)のメンバーが三十レベルを超えていたのだ。

 なので、そこまで苦労することなくクリアーできた。

 そして、現在の金満基地(うち)の小鳥級も十二分以上育っている。

 だから、三空域四面もスルリとクリアー出来ちゃうとは思うけどねぇ……。

 まあ、何にしてもだ。

「皆に、そして、特に黒鶴に言っておく。
 この空域で黒鶴は使わない」

 皆の視線が再度集まる。

 その多くが驚きの表情をしている。

 まあ、そうだろうな。

 あらかじめ話しておいた山雲雀は『本当にするのね』といった感じでため息をついた。

 数少ない、驚いた様子を見せなかった黒鶴が細い目をさらに細めて訊ねてくる。

「それは、どのような理由があるのかしら?」

「理由は簡単、お前が強すぎるからだ」

「強すぎるから?」

「ふぅ~ん?
 強いは正義じゃないのぉ?」

 横にいる烏が割り込んでくる。

「強いは正義ってのは、嫌な現実だがある意味正しいな。
 ただし、それは最終決戦での事で、現時点ではその強さが”悪”になりかねない所がある」

「悪、ですか?」

 白梟が釈然としないと言った顔で見てくる。

 ふむ。

「今だからぶっちゃけるけど……。
 二空域四面をクリアーした面子が、今、黒鶴と戦った場合――確実に負ける。
 少なくとも、俺はそう思っている」

 皆がざわつく。

 白梟などは蒼白(そうはく)な顔で何か言おうとする。

 だが、結局否定の声は聞こえなかった。

 薄々分かっていたんだろう。

 現実を。

 しかしまあ、安心しろ白梟。

 そろそろ出来る第二改造を行えば、タイマンで勝てる――までは行かないまでも、馬鹿にはされなくなるから。

 などと思いつつ、俺は続ける。

「そんな、一隻当六隻(いっせきとうろくせき)以上な黒鶴が後ろに控えて出撃する。
 するとどうなる。
 普段六隻で戦っている所を、計十一隻で戦うようなものだ。
 ガンガン前に進んでいくだろう。
 それ自体は結構な話だ。
 ただ……」

「他の飛娘が成長できない、ですか?」

 理解したのだろう、白梟が続けた。

「そう。
 後方支援が強すぎるのはやはり問題だ。
 敵との接近戦を主としている小鳥級、中鳥級は特に、だ。
 ほぼ一掃した状態で残党を幾ら撃っても、何の経験にもならないだろう?」

 ゲームならそれでも良いかもしれないが、現実ではそうはいかない。

 ここで楽をさせるわけにはいかない。

 こういうところ、転生物小説とかだったら可愛い女の子を楽させちゃうんだろうなぁ~。

 すまぬ、俺にはお前らの成長が必須なのだ。

 俺は黒鶴に視線を戻した。

「だから黒鶴、申し訳ないがお前はしばらく、基地近辺、及び、北西空域での残党狩りに専念してくれ」

 ゲームではレベリングのため、クリアーした空域に出撃することがある。

 そこには、討伐したはずの祟り神が何事もなかったように現れるのだが、現実でもゲームの時のようにフルメンバーではないにしても祟り神が出現する。



 一度祟り神が支配した空域には霊的に不安定になり、時折、倒したはずの祟り神が湧き出る。



 そういう理由付けがされている。

 黒鶴は二度ほど(まばた)いた後、静かに頷いた。

「ええまあ、良いでしょう。
 どこの出撃でも、例のご飯お代わりカウントが有効であれば」

「それは有効だ。
 あと、黒鶴と出るメンバーは今から言う二部隊をベースとする。
 一つは、旗機艦を山雲雀、副旗機艦を大鷹とし、真鴨、姫雨燕、ヨーロッパヒンズイ。
 もう一つは、旗機艦に白梟、副旗機艦に白隼とし、川蝉、雲雀、姫雨燕だ。
 また、毛足狂鳥(ケアシノスリ)河原鳩(カワラバト)(カラス)を交代要員とする」

「……主力メンバーですね」
 呟く大鷹に俺は頷く。

「理由はさっきと同じ。
 レベルの低い――特に小鳥級が一緒に出撃して勘違いするのを防ぐためだ。
 烏はともかく、お前らならその心配もないだろう?」

 本当は烏をベース部隊に入れて、ついでにレベリングも急ぎたかったのだが、まだ着任して数日の中鳥級を特別扱いをしてはいけないと、山雲雀に指摘され泣く泣く交代要員にした。

 特別扱いしても、すぐにその強力さ(理由)を知ることになるんだし、良いと思うけどなぁ。

「この出撃の主は、黒鶴の実戦経験を増やすこと、そして、主力級との連携をスムーズにすること。
 ……黒鶴、お前は旗機艦をやっても良いか?」

「他の人たちに活躍の場を与えることにします」

 とかいって、面倒なだけだろうが……。

「だったら、山雲雀や白梟の言うことを聞けよ。
 山雲雀、白梟」

「なによ」

「はい」

「これはただ殲滅するだけではなく、より強大な敵と戦う為の訓練、そういう位置づけだ。
 仮に黒鶴だけで終わっても、きちんと突撃するタイミングとか計って、実際動いたりしてくれ」

「分かったわ」

「畏まりました!」

 まあ、この二人に任せれば大丈夫だろう。

 俺は背高鴫(せいたかしぎ)に視線を向ける。

「で、背高鴫(せいたかしぎ)は空域攻略だ」

「あ、あの、わたしはまだ低レベル――」

「大丈夫大丈夫、いきなりボスは狙わない。
 (はじ)から順に潰していくから、すぐにレベルもあがる」

「は、はあ……」

 河原鳩(カワラバト)が口を挟んでくる。

背高鴫(せいたかしぎ)以外はどうなるポッポ?
 主力は黒鶴と出撃だぞ?」

「ん?
 だから、二部隊に分けたんだが?
 交互に出れば問題ないだろう?」

「え?
 休憩のためじゃ……」

「高レベルの飛娘にとっては、低レベル空域なんて、休憩みたいなものだろう?」

「……やばいポッポ。
 ブラック臭がぷんぷんだポッポ」

「ハハハ!
 冗談だって!
 そもそも、母鳥級だって出っぱなしって訳には行かないだろう?
 それに、主力以外の機艦隊も出撃しなくてはならないしな。
 その辺り、疲労は溜まらないように上手くスケジュールを立てるさ!
 まあ、実際やってみて、キツすぎるようなら言ってくれ」

 もっとも、機羽の製造を開始したことだし、メンバーも充実してくる。

 だから、キツすぎるってことにはならないだろう。

「司令官、なんでしたらスケジュール調整のお仕事、白梟(わたし)が――」

「さて次行くぞ!」

 白梟にそんなものさせたら、どれだけの飛娘に恨まれることか!

 絶対NOだ!

 ……おい白梟!

 顔をのぞき込んでアピールしようとするな!

 お前の”鬼が逃げる”的その目、マジ怖いから!
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読んで頂き、ありがとうございます!^^
評価感想など頂けると、これからの執筆活動の糧になります。
気が向いたらで構いませんので、よろしくお願いします。><

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