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ようこそ、飛娘コレクターの司令官……代理! 作者:時井 人紀

第四章『最強の母鳥級』

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宴の後は……

「――は?
 山――は、どこ――」

 寒い。

 何でだ?

 妙に寒い。

 季節でいえばもう五月、ここは九州にある基地だから、こんなに肌寒いのは――おかしい?

 あれ?

 俺、裸?

「大鷹さぁ~ん、山雲雀はぁ~?」

「白梟ぉ~さっきも言ったでしょぉ~?
 本部から連絡があったからぁ~司令室に戻ったってぇ~」

「なぁ~ん~でぇ~?
 こんなにぃ~絶景、なのにぃ~?」 

「だぁ~かぁ~らぁ~!
 ねぇ~真鴨、この子ぉ~お酒飲んでないわよねぇ~?
 なんでぇ~、こんなにぃ~酔っぱらってるのぉ~?」

「さぁ~
 場酔いって奴?」

「白隼はぁ~こんな白梟ちゃんもぉ~大好きです!」

「わぁたぁしぃ~白梟好きぃ~」

「わたしもぉ~~!
 わたしもぉ~二人とも好きぃ~!」

「好きぃ~!」

「好きぃ~!」

「好きぃ~!」

「「「えへへぇ~っ」」」

 なんだ、この頭の悪そうな会話は?

 最後の毛足狂鳥(ケアシノスリ)はともかく、白梟、大鷹、白隼が?

 あの真面目系三人が?

 うっ! 頭が痛い!

 そして、気持ち悪い。

 ……あれ?

 手が動かない?

 何故?

 頭がよく働かないが……。



 俺、(はりつけ)になってない?



 照明のついた夜の滑走路で――パンツ一丁になって――磔になってない?

 何故?

 よく見てみると、俺のボクサーパンツ、腰の辺りにざっくりと切れ目? が入ってるけど、何?

「さて皆さぁ~ん、皆さぁ~んに、改めて、お伝えしますぅ~
 え、言っときますぅ~?
 あれ、まあいいかぁ~」

 なにやら、滑舌の怪しい黒鶴の声が聞こえてくる。

 なんだ?

「イライラして、当たるようなぁ~事をぉ~言っちゃってぇ~ごめんなさぁ~い!
 特に、白梟様ぁぁぁ~ごめんなさぁ~い!」

「”様”付けるな、ばかものぉ~」

「ごめんなさぁ~い!
 お詫びのぉ~印にぃ~母鳥級の真髄をぉ~
 お見せしまぁ~す!」

 歓声と共に拍手が起こる。

 痛っ!

 頭が痛くて余り働かないが、いったい何がどうなってるんだ? これ?

 何とか頭を上げて目を凝らすと、十メートルぐらい先に、先ほどのメンバーが並んでいる。



 いや、何人か足りないか?



 ふらふらしている黒鶴が辺りを見渡しながらわめく。

背高鴫(せいたかしぎ)ぃぃぃ!
 背高鴫(せいたかしぎ)ぃぃぃ!
 い~い、あなたはぁ特にぃ~ちゃんとぉ~!
 ……背高鴫(せいたかしぎ)?」

 大鷹が一歩前に出て、ピシっと敬礼する。

「黒鶴隊長!
 背高鴫(せいたかしぎ)はぁ!
 背高鴫(せいたかしぎ)はぁ!
 隊長に注がれた日本酒(鶴女)に飲まれてぇ~墜落しましたぁぁぁ~」

 黒鶴は目を掌で覆い、叫んだ。

背高鴫(せいたかしぎ)ぃぃぃ!
 だからあれほどぉぉぉ!
 だからあれほどぉぉぉ!」

 なんじゃこりゃ?

 なん~じゃこりゃ?

 ……とにかくあいつら(酔っぱらい)をどうにかしないと不味(まず)い。

 それだけは分かった。

 にもかかわらず、何故体が動かん?

 あ、磔にされてるんだ。

「もういいぃぃぃ!
 もういいぃぃぃ!
 落ちた者にぃ~心を縛られては駄目ぇぇぇ!
 わたし達はぁ~飛び続けなくてはぁ~ならないぃぃぃ!
 行くわよぉぉぉ!」

 手に持った発艦器のハンドグリップをスラ――発艦器!?

 って、待て!

 お前何で発艦器持ってるの!?

 酔いがすぅーっと抜け、現実が襲ってきた。

 あのバカ、よく見ると機羽装備してやがる!

 って、程良く離れた位置に――磔の俺!?

刮目(カツモク)せよ!
 これぞ、九式機艦戦闘機、五十機!」

「おい馬鹿、やめろぉぉぉ!」

 俺が叫ぶも、遅し!?

「司令官パンツに向けて特攻ぉぉぉ!」

 爆音と共に――緑の巨大な固まりが、俺の――股間に向かって突っ込んできたぁぁぁ!



 それは死だった。



 分厚くて鈍い緑色の死、だった。



 それが、両腰の脇を――股の間を――鋭い風を(かす)りながら――次々とすり抜けていった。

 背筋が凍え、本能が勝手にわめき散らす。

 恐怖が体をガクガク揺らそうとする。

 だが俺は必死になってそれを押さえた。

 首をデタラメに振りながらも、口から漏れ出す奇声をそのままにしながらも――必死で押さえた。

 ほんの数センチ――ほんの数センチずれるだけで――死ぬ。

 密集する隊列が崩れ、それが俺にぶつかり、死ぬ。



 そう確信していたからだ。



 それは数秒の出来事だった。

 ……いや、実際はコンマ数秒の出来事だったかもしれない。

 五十機の黒鶴(狂った馬鹿)から発艦された戦闘機は全て通り過ぎていった。



 何かが腰から滑り落ちていく。



 見ないでも分かる。

 唯一着衣していたパンツが――するりと、落ちていったのだ。

 そこに、何か――じょうろの水が地面を叩くような――そんな音が聞こえてきた。



 はじめは――分からなかった。



 だが、すぐにそれに気づいた。

 慌てて視線を下ろすと……。



 俺の開けっぴろげに出てしまっている”あれ”の先から――黄色い液体がジョボジョボ出ていた。



 恐る恐る視線を上げると、飛娘達がポカンとした顔でこちらを見ている。



 おい、止まれ。



 だけど、一度出始めたそれは、止まらない。

 手で押さえようにも、隠そうにも、体が張り付けられてて出来ない。

 熱いものが目からこぼれ落ち、声を上げそうになるのを噛みしめながら堪えた。

 これぐらいなんて事はない――なんて言い聞かせても、目元から頬に流れるそれも、鼻から流れるそれも止まらない。

 何もかも、止めることが出来ない。



 おい、止まってくれよ。
 止まってくれよ。



 だけど、止まらない。

 うぉおお……うぉおお……。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
*************
読んで頂き、ありがとうございます!^^
評価感想など頂けると、これからの執筆活動の糧になります。
気が向いたらで構いませんので、よろしくお願いします。><

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