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ようこそ、飛娘コレクターの司令官……代理! 作者:時井 人紀

第四章『最強の母鳥級』

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選択肢

 されるはずがない――なんて思っていないはずだ。

 彼女は馬鹿ではない。

 むしろ(さと)い。

 次の黒鶴を開発するための資材など、金満(この)基地には腐るほどあるのだから、そんなことをされるはずがないなど考えないはずだ。

 なのに……言っているのか?

 まあいい。

 どちらにしても、答えは一つだ。

「お前達はことあるごとに、解体解体言うがなぁ。
 うちは本人が求めない機羽の解体は行わない、そう決めているんだ。
 だから、その選択肢は考えていない」

「なら……」

「無理矢理出撃させることもしない。
 だって命がけなんだぞ?
 俺は無理強いするような出撃は、一切していない」

 嘘だ! っていう琉球燕(どこかの誰か)の声が聞こえてきた気がするが、多分気のせいだ。

 気のせいだから答える義理はないけど、一応ね。



 嘘じゃないよ、”俺は”してない。
 白梟は……どうなのかは預かり知らないけど。



 俺は立ち上がると、体を伸ばした。

「だから黒鶴、出たくないと言うなら、出撃メンバーにお前を選ばない。
 ああ、もちろん出たくなったら言ってくれ。
 そしたら選ぶ。
 干したりする訳じゃあない。
 そこら辺は自由、ってことだ」

「……」

背高鴫(せいたかしぎ)、飯を食べ終わったら母鳥級の動きを見せてくれ。
 ああ、立たなくていい。
 食べ終わったら、司令室に来てくれ。
 山雲雀、出撃スケジュールの件でチト話がある」

「……ええ、分かったわ」

「ああ、あとぜんぜん関係ない話なんだが――」

 こちらに来る山雲雀を待ちながら、俺は話を続ける。

「今後、ご飯やおかずのお代わりは出撃回数によって許可する」

「な!?」

 ガタンと椅子を鳴らしながら立ち上がる”誰かが”いるが、気にしない気にしない。

「白梟、そのあたりの調整、お前に任す。
 ”出撃しなかったら”どれだけ――とかな」

「ちょ!?」

 誰かがさらに声を上げたが、こちらも気にしなぁ~い。

 白梟が立ち上がると、ビシッと敬礼した。

「はい!
 (かしこ)まりました!
 司令官のご期待に必ず応えます!」

「うぐ!」

 ……白梟、可愛い顔から黒いものが漏れてるよ。

 まあ、いいけど。

「よろしく。
 じゃあ山雲雀、行こうか。
 実は黒鶴が参加する前提でスケジュールは立ててたんだ。
 それを”全部”背高鴫(せいたかしぎ)に置き換えて……」

「司令官」

 司令室に向かおうとする俺を、黒鶴が止める。

「ん?」

「司令官は誤解をなさっているようね」

 振り向くと、媚びへつらった――から対局にある、傲岸不遜(ごうがんふそん)を絵にしたような顔がそこにあった。

「先ほどのは、その様に”言ったら?” という仮定の話をしただけです。
 本当に言うわけが無いじゃないですか? わたしは飛娘ですよ。
 ただ、司令官に機会を与えて差し上げたのです。
 わたしが”あえて”反抗的な言葉を使うことによって、飛娘とは何かを、自分とは何かを見直す機会を……」

「……人にそんな機会を与える前に、まずは自分の顔を鏡で見てこい!
 馬鹿者が!」

 タレが口元どころか頬までべったり付いてるぞ!






 結局、黒鶴がテスト飛行をすることになり、俺は山雲雀と共に司令室のモニターでその様子を眺めることにした。

『では黒鶴さん、わたしに続いて出撃してください』

 白梟の指示に黒鶴が力強く応える。

『はい!
 白梟様!』

 白梟”様”!?

 おい待て、俺が食堂から離れた間に何があった!?

 などと突っ込みを入れるまもなく、白梟、黒鶴と出撃していった。

 ふむ。

 飛んでいる黒鶴を見た初めの感想は、羽でけぇ~っ、だった。

 そばに中鳥級の白梟が飛んでいるのでその大きさは際だっている。

 おそらくは白梟の倍はあるな。

 ただ、力強く羽ばたいてはいるが、白梟の十八番である超加速とかには向いてないように見える。

 母鳥級だし、やはり少ない羽ばたきで飛ぶことが出来る安定飛行重視なんだろうな。

『ん?
 あの小鳥型はどうなってるの?』

 黒鶴が訊ねてくる。

 どうやら、ホバリングをしている川蝉達の事を言ってるらしかった。

「ホバリング――空中で体を静止する技術だ。
 お前にもおいおい教える」

『あのような飛び方、わたしの記憶にはありません』

「まあ、”うちの子達”が偶然思いついたものだからな」



 実はホバリングや跳び蹴りについては山雲雀と相談した後、俺ではなく、飛娘達の編み出したもの――とする事になった。

 山雲雀がその方が自然だからと提案してきたのだ。

 正直よく分からないが、その方がよいのならと俺も同意した。

 別に手柄にするつもりもなかったしね。



 黒鶴はしばらく川蝉を眺めた後、こんな事を言い出した。

『……なるほど、こんな感じですか』

「おい!
 いきなりは――」

 旋回していた黒鶴が減速し、体を羽と垂直方向に下ろした。

 やばい!

 下手するとバランスを崩して落っこちるぞ!

 ……っと思ったら、静止――とまではいかないにしても、半径一~二メートルの範囲には収まっている。

 凄いな!

『くっ!
 意外に制御が……』

 不本意そうに顔をしかめる黒鶴は、旋回飛行に戻る。

「いや、初めてにしては上等すぎるぐらい上等だぞ」

 今までで一番早くできるようになった川蝉も、最初はもっと苦戦していた。

『小鳥級の子が出来る事ぐらい、出来て当たり前』

「これに関しては逆だろう?
 翼の強さや大きさが関わってくるし、母鳥級は苦戦して当たり前だ。
 凄い事だぞ」

 翼が小型な小鳥級は羽ばたく力も小さい。

 なので、中鳥級の超加速や母鳥級の安定飛行も出来ない。

 ただその分、小回りなど器用に動かすのに適している。

 なので、大型な母鳥級なのに凄い! と褒めたつもりなのだが――黒鶴は睨んできた。

『誰が”母鳥級”の話をしました?
 わたし”なら”出来て当たり前、ということです』

「あ、はい。
 失礼しました……」

 ブライド高!

 っていうか、俺が見ているモニターに映っているカメラをわざわざ選んで睨むのやめてください。

 ここら辺からも、彼女がただ艦載出来る数が多いってだけの母鳥級ではないことがよく分かるな。

 まあ、情報処理能力が高くなければ、あれだけの数の戦闘機を操ることは出来ないだろうが。

 白梟が黒鶴に指示を出す。

『黒鶴さん、あそこで小鳥級の二人が持っている旗を戦闘機で打ち抜いて下さい』

『白梟様、了解しました!』

「おい!
 もういい加減、同僚に”様”付けするのやめい!」

『そう呼ばないと……。
 ご飯抜きにされてしまうので……』

「白梟、お前……」

『言わせてません!
 黒鶴さんが勝手に言ってるだけです!』

 まあ、そうだろうが。
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読んで頂き、ありがとうございます!^^
評価感想など頂けると、これからの執筆活動の糧になります。
気が向いたらで構いませんので、よろしくお願いします。><

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