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ようこそ、飛娘コレクターの司令官……代理! 作者:時井 人紀

第四章『最強の母鳥級』

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最強の能力?

 陶器の鳴る音は止まることなく響き、その中に白梟が呆然とつぶやくのが聞こえた。

「これが……。
 これが、母鳥級丹頂(タンチョウ)型二番機艦、黒鶴(クロズル)……」

 それに山雲雀が追随する。

「噂には聞いていたけど……。
 まさかこれほどとは……」

 それを聞きつけたのか、手を止めた黒鶴が口元を傲慢な感じに緩ます。

「何を驚いているんです……。
 まだまだ半ば、と言った所ですよ?」

「「なん……ですって……!?」」

「っておい!
 そうじゃねぇだろう!?
 驚愕するべきは、そこじゃないだろう!?
 っておい!
 黒鶴、口元のタレを拭って――だから、いい加減食べるのやめて、人の話を聞け!」

 黒鶴の手から焼き鳥を奪い取ろうとするも、軽く躱される。

 そして、次の瞬間には串から肉が綺麗に消えていた。

 すげーけどさぁ~

 すげーけど、お前の凄い所はそこじゃないだろう!?





 今、俺たちは食堂にいる。

 あの後、取りあえず話は、山雲雀達の治療をちゃんと終わらせた後でってことになり、その間、黒鶴と背高鴫(せいたかしぎ)を伴い食事でもって事になったのだが――黒鶴(こいつ)がひたすら食いまくり、一時間経って山雲雀達が戻ってきても――彼女たちの食事が終わっても――食って食って食いまくっている。

 ちらりと見えたエプロン姿の付喪神ちゃんが、夕食のピークという時間でもないのに目を回しながら動き回っているのが見えた。

 ううう……。

 申し訳ない……。

 しかしこの食堂、時間帯がずれていて俺たちしかいないから――と言うのもあるが、それより何よりだだっ広すぎて、何となく寂しい感じがするなぁ。

 まあ、全飛娘(三百人以上)が座れる様に作られているから、仕方がないと言えばそうなのだが……。

「はい、フィレステーキ三皿、焼き上がりました!」

「おい、背高鴫(せいたかしぎ)
 もういいから、自分のご飯食べろ!
 ……って、黒鶴! なにが焼き鳥二十本追加だ!?
 背高鴫(せいたかしぎ)もオーダー通しに行かなくて良いから!
 座りなさい!」

 なんなんだ、これ!

 確かに、金満基地の母鳥級は丹頂型を筆頭に、狂ったような健啖(けんたん)家が多いと描写されていた。

 それは別に金満基地だから――というよりも、公式でこそ設定されていないが、同人誌ではそのように表現されていることが一般的である。



 それは、母鳥級の燃費の悪さが関わっている。



 小鳥級どころか中鳥級の倍近い燃料に加え、戦闘機が落とされればそれだけ資源を必要とするのだ。

 だから、強いからといって母鳥級ばかりを使っていると、気づくと資源が底をついている――なんて事になるのだ。

 そんなことから、母鳥級は大食らいというキャラになり始めて、ついにはアニメ化された飛コレでもそれを踏襲するに至ったのである。



 とはいえだ。



 それにしたって、いい加減食べ過ぎだろう。

 てか、あの山盛りだった食い物が、どうやったら黒鶴の細い腹の中で収まるのか、非常に謎なのだが……。

「って黒鶴さん、何でそんなに恨めしそうなの!?
 もういい加減、腹に入らないだろう?」

「……確かに、大分厳しくなりました」

「だったら……」

「でも吐けば又、スペースが出来ます」

「お前はローマ人か!?
 そんな暴挙、もったいないの国である日の本では許されんぞ!」

「……ケチ」

「ケチじゃねぇぇぇ!
 ってか、こんだけさんざん食い倒しておきながら、ケチとかはねぇぇぇだろう!」

 なんて奴だ!

 ここが金満(金持ち)基地だからいいものの、たっくん(貧乏)基地だったら破産ものだぞ!?

「……良いのですか、そんな態度をとって」

「どちらかというと、上官(こちら)側の台詞なんだが……」

「もっと、媚びへつらっておいた方が良いのでは?」

「だから、上官(こちら)側の台詞だっての!」

「もしわたしが出撃したくないって言ったら、どうするつもりですか?」

「!?
 ちょっと!」

 聞き捨てならない台詞に、白梟がいきり立つ。

 だが、黒鶴は細い目をさらに細めて、白梟を見た。

「中鳥級ごときが司令官とわたしとの会話に口を挟むとか、正気ですか?
 わたしが着任したからには、自身がすでに話にならない存在になったと分からないのですか?」

 白梟が顔を赤く染めながら立ち上がるのを、白隼と大鷹が慌てて押さえる。

 ……心情的には白梟を応援したいし、黒鶴を否定してやりたい。

 だが、残念ながらそれは”現時点では”難しい。



 恐らく、先ほど出撃して母鳥小型級を倒した六名が挑んでも、黒鶴一人に”幸運”でも無い限り勝てないだろう。



 ゲームなら勝てる。

 それは、攻撃する回数が決まっているからだ。

 黒鶴一人が倒せるのは第一次戦闘機攻撃の最大二名、そして、通常攻撃の一名、つまり最大でも三名だ。

 仮に最大まで倒されても、残り三名の攻撃で仕留められる。


 だが、現実は違う。



 黒鶴は四つの戦闘機用付喪神ちゃんを装備できる。

 そして、他の母鳥級も同じなのだが、装備する場所によって戦闘機の数も変わってくる。

 黒鶴の場合、二十機、二十機、五十機、十機となる。

 ちなみに最初の試練と言われている二空域四面の母鳥小型級――その最大艦載数は全て合わせて二十三機だ。

 つまり、白梟達があれほど苦戦した母鳥小型級の五隻近い数を一人が受け持つことが出来る。



 さらに付喪神ちゃんが四つというのも大きい。



 母鳥級はそれぞれの付喪神を”独立して”動かすことが可能だ。

 だから白梟達は戦うことになった場合、母鳥小型級にほぼ近い戦闘機隊二つと、(はる)かに凌駕(りょうが)する隊一つ、半分以下とは言えけして侮れない数の隊が一つ、それぞれハゲタカのように襲いかかってくることになる。

 現在の対戦闘機の武器ではもちろんの事、おそらく最新のものが手に入っても対処しきれず、バタバタと倒れていくことだろう。



 それが、丹頂型二番機艦、黒鶴と戦うということだ。



 同じように最強と呼ばれる事になる烏が、現在はまだ、中途半端な中鳥級に過ぎないのとは違い、黒鶴に関しては着任早々、最強(その呼び名)に相応しい力を保持している。

 ……これを言葉にしちゃうと凄く可哀想なのだが、背高鴫(せいたかしぎ)の最大艦載数は四十五機――非常に優秀なはずの母鳥小型級の彼女ですら、半分も行かないのだよなぁ~

 まじつえーなー

 でもね。

「確かにまともにやったら、今の白梟ではかなわないかも知れない。
 でも黒鶴、お前夜戦は戦えないじゃないか?」

 黒鶴の口元がぴくりとひきつったのを俺は見逃さなかった。

「そうなったら、白梟におんぶだっこなのに、そんなこと言ってもいいの」

 白梟が嬉しそうにこちらを見てくる。

 うんうん、白梟可愛い!



 そう、母鳥級の最大の弱点は夜戦にある。



 戦闘機は夜になると使用できなくなるのだ。

 それは暗くなると付喪神ちゃんがうまく戦闘機を扱えなくなるから――らしいが、多分強すぎる母鳥級とほかとのバランスを考えて運営側がもうけた設定だろう。

 一応、夜戦用戦闘機などというものもあるが、非常にしょぼく、それで付喪神ちゃんの枠を埋めてしまい昼の攻撃力を下げることは避けたいので通常、夜戦になったら母鳥級は戦力外になる。

「……夜戦になどしなければいいのです。
 嬉しいですか?
 上げてもいない足を持ち上げて」

「嬉しい、嬉しく無いじゃないだろう。
 仲間を馬鹿にするとは何事だ、と言ってるんだ」

「……」

「それに、別に出撃したくないならそれでいい。
 背高鴫(せいたかしぎ)も来てくれたしな」

 やっとご飯を食べ始めた背高鴫(せいたかしぎ)に視線を向けた。

 背高鴫(せいたかしぎ)は急に振られて目をぱちくりさせている。

 可愛い!

「ほう?
 だったら、わたしはどうします?
 機羽を解体しますか?」

 黒鶴は緩やかに微笑んだ。
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読んで頂き、ありがとうございます!^^
評価感想など頂けると、これからの執筆活動の糧になります。
気が向いたらで構いませんので、よろしくお願いします。><

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