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ようこそ、飛娘コレクターの司令官……代理! 作者:時井 人紀

第三章『北西空域を制圧せよ』

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最初の難関

 司令室には六人の飛娘が並び、俺の指示を待っている。

 彼女達も多くの経験を積み、精悍(せいかん)でありながらも落ち着いた雰囲気も出てきている。

 いよいよ、序盤最大の山場、二空域四面にて母鳥小型級との決戦だ。

「言うまでもないが、けして油断するな。
 そして、無理だと思ったら引く。
 それも勇気だと知れ!」

「「「「「「はい!」」」」」」

「旗機艦、山雲雀(ヤマヒバリ)、副旗機艦、白梟(シロフクロウ)、以下、白隼(シロハヤブサ)大鷹(オオタカ)真鴨(マガモ)川蝉(カワセミ)だ。
 装備については山雲雀の指示に従うこと」

「「「「「「はい!」」」」」」

 うむ、いい声だ。

 我が機艦隊の士気は高い。

 ふふふ、しかしここからさらに燃料を追加するのだ!

「実は今回の出撃の音頭は、別の者にやって貰うことにしている」

「はぁ?
 どういうこと?」

 困惑するみんなを代表して、山雲雀が訊ねてきた。

「我が基地も、今日から機羽の製造を再開する事にしたのだ!」

「……何で今日なの?」

 さらに山雲雀が訊ねるので、俺はみんなを見渡しながら話した。

「今まで機羽の製造を中断していたのは、まだ一機艦隊すらまともな戦力になっていないと判断していたからだ。
 そんな中で次から次へと新しい飛娘を入れても、誰も彼もが中途半端にしか育たない。
 だから、作成しなかった」

 もちろん、山雲雀に話した通り漫画を踏襲する意味もあるんだが、それは割愛する。

 俺は続ける。

「だが、ここに来てようやく小型とはいえ、母鳥級を打倒し得る戦力がまとまった。
 つまりお前達だ!」

「……だから、今、再開する、と。
 で、出撃の音頭は作ったばかりの飛娘にさせるって訳ね」

「反対か? 山雲雀」

 山雲雀は少し呆れたように首を振った。

「別にぃ。
 ただ、演出過多だと思っただけ。
 機羽の製造自体は前から行うべきだと思っていたし、やること事態は反対しないわよ」

「別に演出ってわけじゃないさ。
 ただ単に、”先輩達の凄さを”生まれたばかりの後輩に、間近で見て貰おうってだけだ」



 空気が変わった。



 山雲雀、川蝉はともかく、他の飛娘の力がぐんぐん入っていく様子が手に取るように分かる。

 白梟がフフフと笑う。

「司令官ったら……。
 わたしはともかく、他の子が力みすぎたらどうするんですか。
 もぉ~」

 いや白梟さん、目が怖い目が怖い!

「ははは、真鴨は平静だよ。
 っていうか白梟、一番燃えちゃってるんじゃないの?」

 ちょ真鴨さん!

 あなた右手を握りすぎてめっちゃ震えてますけど、大丈夫!?

「……白隼、平気です!
 問題ナシナシ♪」

 どうでも良いけど白隼、『問題ナシナシ♪』の決め台詞は可愛く言えよ!

 白のミニ浴衣なんてエロ可愛い格好なのに、なんか目の前に立ちはだかるもの全員ぶちのめすみたいなオーラが出てるぞ!

「……大鷹も新参なので。
 皆さんの後について行くだけですから……」

 いやいや大鷹さん、出来るキャリアウーマンみたいな格好なのに、瞳の中に”絶対勝つ!”って書いてあるよ!?

 それ絶対、祟り神”に”じゃないよね!?

 うう……。



 ちょっと煽りすぎたかも知れない。



 山雲雀に視線を移すと、それに気づいた旗機艦様は大きくため息を付いた。

 ま、まあ、何とかしてくれるよね、山雲雀様なら。



 すると、ドアをノックする音が聞こえる。

 お、ついに新機艦がやってきたようだ。

 実は機羽(きはね)の製造を指定はしたものの、誰が出来たのかは分からない。

 一応、母鳥レシピでGOをしたが、なにが出るのかはお楽しみにしたかったのだ。

 誰だろう?

 母鳥級、もしくは母鳥小型級が来たら嬉しいのだが、これでもし小鳥級とかだったら、ちょっと微妙かも知れない。

 ドアが開かれ、そこに現れたのは――。



(カラス)型一番機艦、(カラス)、着任しましたぁ~
 速度も装甲も火力も中途半端な飛娘で御免ねぇ~
 大事にしてく――」

「烏来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 ()える俺に、烏を含む全員が目を丸くしているが関係ない!

 烏来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!



 中鳥級烏型一番機艦、(カラス)、登場の台詞にあるように速度も装甲も火力もごく当たり前のレベル、そんな飛娘だ。

 あくまで”速度と装甲と火力”は、だ。

 初めて彼女を見た時は、台詞の通り中途半端な飛娘だなぁ~なんて思ったものだ。

 ただ、艶やかな長い黒髪に真っ黒でスカートが膝下という正統派なセーラー服、そしてなにより、細長い足を包む黒のタイツが妙にエロくて、高ランカーが敬遠する中、好んで使っていた。



 そしたらである。



 第一改造で俺は目を疑うことになった。

 ミサイル能力が100越えしてたのだ。

 次点の梟型一番機艦、梟が70の時だ。

『運営さん!
 烏の能力がバグってるよw』

 俺は思わずツイートしてしまった。

 後に『たっくん、烏騒動』と言われ、完全に俺の黒歴史と化した投稿で、微妙な飛娘と思われていた烏が一躍、重要主力飛娘として有名になった。

 なにが凄いって、まずはミサイル能力の凄まじさである。

 特に夜戦である。

 通常の戦闘で決着が付かなかった時に、夜間戦闘を行うことが出来るのだが、そこでものをいうのが、ミサイル能力である。

 その頭二つぐらい抜けているミサイル攻撃で、選良特級持ちの祟り神ですら一人で大損傷、クリティカルが出たら墜落させる事すらしてしまうのである。

 さらに最大攻撃回数が四回って事だ。

 烏が作成することが出来、もちろん装備も出来るTG形誘導ミサイルを使えば、先制ミサイル、通常攻撃、ミサイル攻撃、夜戦攻撃と四度攻撃機会があり、うち三回はその高すぎるミサイル能力を遺憾なく発揮できることから、一人で通常機艦隊六機艦のうち四機艦を落とすことが可能という恐ろしさだ。

 そして、さらに改造を重ねると、ついには中鳥級ではなく、特殊ミサイル専用機艦となる。

 ミサイル能力は150、完全に壊れた能力とかす。

 余りにも強すぎる事から、付いたあだ名が”クラッシャー”だ。

 さらに同型の妹、深山烏(ミヤマガラス)黒丸烏(コクマルガラス)を合わせて、クラッシャーズ、トリプルクラッシャーズという呼び名が有名である。

 で、金満基地での烏はというと、当然のように四名いる最強の飛娘の一人だ。

 歴史学者はこのように語っている。

『――金満基地を研究している諸先生の中には、金満最強は大鷲ではなく烏だと強く主張される方もいらっしゃる。
 実際、金満基地でもっとも多くの選良等級持ちの敵を打ち倒したのは、大鷲では無く、この烏であった』

 それほどまでの――いやいい!

 その辺りはいい!

 烏、烏だ!

「ねえ、ちょっと?」

 いち早く、第一改造は終わらせたいところだ。

 第二は……さすがにレベルが高いか。

「お~い」

 しかし、優先順位は高くしないとな。

 それで、母鳥級を加えたとしたら、この空域に敵はいなくなるしな。

「ちょっとあなた!?」

「わ!?
 なんだ!?」

「……なんだ、じゃないわよ」

 ふと振り返ると、五人の飛娘がジトっとした目でこちらを見ていた。

 あ、しまった……。

 余りにも興奮しすぎて、出撃組のことをすっかり忘れていた。

 川蝉なんて、早速、烏に紅茶を振る舞っているし。

「う、うん……。
 ゴメンゴメン!
 ちょっと、予想外に良い飛娘が来たので、我を忘れてしまった」

「……そうでしたか、それは良いことですね」

 おおい、白梟!

 なんか、刺々(とげとげ)しいぞ!

「まあ、なんだぁ!
 良し、打倒母鳥小型級で頑張っていこう!」

 おーっ、って俺がやっているにも関わらず、皆はシラ~っとした目で見返してくるだけだ。

 やばい!

 士気がだだ下がりだ!

「ほら、ほら!
 第一機艦隊、出撃!
 ほら!」

「……それ、(あの子)にさせるんじゃなかったの?」

 山雲雀の冷めた突っ込みに、俺はあわてて振り返った。

 長机の椅子に座る烏は、川蝉が入れた紅茶を飲みつつマッタリしている。

 この子もマイペースな子だなぁ。

「烏、烏!
 出撃の音頭、やって!」

「ふぅ~ん?
 なんで、わたしがぁ~?」

「説明すると長くなるので後!
 とりあえず、ビシっとよろしく!」

「よく分からないけどぉ~
 じゃ~第一機艦隊、いっちゃってぇ~!」

 ヌルい……。

 非常に低テンションながらも、それでも山雲雀達は出撃していった。

 あぁ~やっちまったぁ~!
*************
読んで頂き、ありがとうございます!^^
評価感想など頂けると、これからの執筆活動の糧になります。
気が向いたらで構いませんので、よろしくお願いします。><

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