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ようこそ、飛娘コレクターの司令官……代理! 作者:時井 人紀

第一章『大好きな彼女達を墜落させるのは、俺?』

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始まり

元は某ゲームの二次創作として作った作品で、それを”なろう”用に作り直しました。^^
楽しんで頂ければ幸いです。^^
※初日につき連続四回投稿 1/4
06時、12時、18時、23時
 司令官専用の席に座る俺は、視線を少し上げた。

 その先には薄黄色のセーラー服に身を包んだ女の子が、資料棚からバインダーを取り出し、顔をしかめながら目を通している。

 何かあったのだろうか?

 何か困った事態にでもなったのだろうか?

 少女の長い髪はオレンジと焦げ茶の縦じまになっていて、バインダーに視線を下ろしつつ、それを指で遊んでいる。

「ふむ……」

 俺は視線を下げる。

 目の前に置かれているのは黒のノートパソコン――その画面に映し出されているのは『ようこそ、飛娘(とびむす)コレクターの司令官!』略して『(とび)コレ』のメイン画面だ。

 ……。

 俺はそこに映し出されている少女を観察する。

 飛コレはメイン画面に、秘書娘(ひしょむす)として設定した女の子の3Dが映し出される。

 それはその子が任務などで不在な場合以外は表示されていて、まあ、要するにお気に入りの女の子を画面に表示させながらゲームを楽しむという仕様となっているのだ。

 で、何が言いたいかというと、パソコンにいるのは薄黄色のセーラー服にオレンジと焦げ茶の縦じまという奇抜な髪の女の子で、詰まるところ、視線を上げる先にいる女の子と瓜二つ、むしろ同じ女の子なのだ。

 ……。

 飛コレでは秘書娘との交流の一環として、タッチ機能というものが存在する。

 カーソルをスススっと秘書娘の上に持って行き、そして、クリックをする。

 すると、その時々に様々な反応をしてくれるのだ。

『ちょ、いやん~♪』
とか

『そういうのは二人きりの時に♪』
とか、艶っぽいものから

『……何をやってるの?』
とか

『よほど、マシンガンの的にされたいようね……』
とかいう、ヤバげなものまで。

 このような破廉恥――もとい、物事を円満に進めるには多少のボディータッチも必要だよね! という現実世界ではセクハラ待った無しの機能が公然と設置されているのは、ひとえに、殺伐とした戦いの中で中々交流することの出来ない司令官と飛娘との間を取り持とうという大本営様の粋な計らいなのだ。

 ……否、計らいではなく命令なのではないだろうか!?

 会社で寝泊まりをしてまで仕事に熱中する社員に対して強権を持って休ませる上司の様に、シャイな我々司令官どもに対して、大本営様は強く強くタッチという名の交流を促しているのではないだろうか!?

 ならば、我々がやるべき事は何か!

 俺は震える手でマウスを掴むと、念のためパソコンの音量を消した。

 そして、恐る恐るやや控えめの胸――ではなく、形の良いお尻――でもなく、肩をクリックした。

 ヘタレたんじゃねぇ!

 順序! 何事も順序!

「ん?」

 画面ではなく、視線の上にいる女の子が振り向いた。

 ただ、不思議そうにあたりを見渡した後、小首をひねりながらバインダーに視線を戻す。

 これは……凄い!

 鼻息が荒くなるのを手で必死に押さえつつ、俺は女の子の向きを調整する。

 ゲームの女の子は横の角度を調整することが可能で、つまり、彼女の背中に回り込むことが出来るのだ。

 カチカチカチと調整した後、今度は彼女の小さな背中をそっと撫でた。

「きゃ!?」

 飛び上がった女の子の足下に、バインダーが落っこちた。

「ん?
 どうした山雲雀(ヤマヒバリ)?」

 俺は何も知らない(てい)で、女の子――雲雀(ヒバリ)型三番機艦(きかん)山雲雀(ヤマヒバリ)に訊ねた。

「……何でもないわよ」

 山雲雀は可愛らしい声を上げてしまったのが恥ずかしいのか、顔を赤めつつも普段の勝ち気ある顔で答えた。

 ただ、何が起こったのか分からず不気味なのか、眉を不安げに下げて、あたりを見渡している。

 驚かすだけではなく、怖がらせてしまったか……。

 良くない。

 うむ、良くないな。

 もう、止めるべきだろう。

 もう、止めてあげるべきなのだ!

 っておい俺の右手!

 なぜマウスを動かす!?

 カーソルが! 次は足か!?

 あの膝上スカートから覗く、瑞々しいあの太股か!?

 止めろ! 変態! 変態! 変態!

 俺は画面に顔を近づけ太股を凝視しながら、必死に抵抗した。

 あの、ツンとしながらも時折柔らかな笑みを浮かべる少女のため。

 ドジなことをしても、バカな発言をしても、罵声を浴びせつつも何やかんや助けてくれる少女のために。

 必死で抵抗した。



 だが、それは空しいものに終わった。



 それは、タイムトラベラーが過去を改変しようとすることに似ている。

 どれだけあがこうと、物事が一つに収束――。

 その時、何故だか知らないが、右手が固まり動かなくなった。

 背筋に冷たいものがすーっと流れる。

 恐る恐る右手に視線を移すと、何者かの手が、マウスを持つ俺の手をガッチリと掴んでいるのが見えた。

「あなた……。
 何をやってるの?」

 顔を画面ぎりぎりまで近づけていたノートパソコンの――その裏側から声が聞こえてくる。

「なななにって!?」

 俺がどもりながら訊ねると、今度はノートパソコンの上部がガチっと捕まれ、押し戸が開かれる様に画面が顔から離れていって――俺を見下ろす山雲雀の――怒気のこもった顔がこちらを見下ろしているのが見えた。

「や、やだなぁ。
 仕事に決まってるだろう!?
 仕事!」

「ほう?
 基地の運営ってのは、血走った目でニヤニヤしながら、(よだれ)を垂らしつつ行うもの。
 そう主張するわけね」

「いや、あのな、違う違う!
 あああのな?」

 山雲雀は青筋が見えるんじゃないかってぐらいの表情で続ける。

「さっきから、何者かに触られている気がするんだけど、あなた、何かしらの悪戯をしてるんじゃないでしょうね?」

 さすがは山雲雀、鋭い!

 だが、認めるわけにもいかず、俺はノートパソコンを掴むと、画面が山雲雀に見えないよう、元の位置に戻そうと力を入れる。

「何を仰ってるのか訳が分かりませんよ、ヤマリン(山雲雀公式愛称)。
 わたくし、お仕事中につき、邪魔をしないで――」

「誰が、ヤマリンよ!
 だ・れ・が!
 まあそうね、触ったかどうかはさておき、あなたがやましいと思っている何かが、このノートパソコンの画面に映し出されている――そういうことね」

 ちょ、山雲雀、鋭すぎだろう!?

「ばばばばばか!
 何を言ってるんだ!?
 機密!
 そう、司令官のみにしか情報が開示されてない機密情報だから!」

「はぁん!?
 あなたみたいなぺーぺー司令官に、基地の第一秘書娘であるわたしが見られないほどの機密が送られてくるわけ無いじゃない!
 仮に来たとしてあなた、機密資料を開く方法とか知ってるの!?」

「しし知ってるわ!
 バカにしないでくださいぃ~」

「だったら言ってみなさいよ!」

「それも機密なんですぅ~」

「そのやり方だけなら、わたしだって知ってるっての!
 大まかな方法だけで良いから、言ってみなさいよ!
 言えないでしょう!?
 どうせ、本当に来たときに分からず、またわたしに泣きつくに決まってるんだから!」

「またとは何だ!
 またとは!
 俺は泣きついたことなんか無いぞ!」

「よくもまあ、しゃーしゃーとそんな事言えたものね!
 まあいい!
 さっさと見せなさいよ!」

「ちょ!?」

 俺の抵抗空しく、飛コレの山雲雀がモロに表示された画面が、当人の眼前に晒された。

 そりゃそうだ!

 ただの人間である俺が、飛娘である山雲雀に力で勝てるわけがない!

 あああ、どうしよう。

 怒るかなぁ~怒るよなぁ~。

 だが、不安過ぎてすでに涙目の俺に対して、山雲雀は拍子抜けた顔でこちらに向き直った。

「……なによ?
 何も開いて無いじゃない?」

「え?」

 俺はもう一度画面を見た。

 そこには――確かに飛コレの画面が表示されている。

 だが、山雲雀には……見えてないって事か?

 ひょっとして、コレが異世界ジャンプ系によくある特殊能力という奴か?

 ここら辺り、きちんと調べておく必要があるな。

 とはいえなんだ、あわてる必要なんて無かったのかぁ~。

 なんて安心していると……。

「あなた、ひょっとして仕事をしている振りをして、何もやっていなかった――そういうこと?」

「え?」

「人がアクセク働いている間、あなた、何も開きもせずに、変な妄想をしながらニヤニヤ笑っていたって、そういうこと?」

「え? え?」

 わなわなと揺れる山雲雀が自分の足下を指さし、荒れ狂う気持ちをぎゅっと固めたような声を静かに吐き出した。

「せ・い・ざ」



――三十分後――



 ノックをする音が聞こえ、白がベースのミニスカ忍者装束の女の子が入ってきた。

白梟(シロフクロウ)、入ります!
 司令官、今日のノルマを終わら――司令官……。
 どうしたんですか?」

 白髪(はくはつ)でキリッとしたかわいい顔が、あきれ顔になりつつ俺を見下ろしてくる。

 ふむ。

 司令官用の軍服に、何故かガンダムのシャアさんみたいなマスクを付けている大男が、見た目年齢、中高生な女の子に正座をさせられている絵などは、どんなに頑張っても格好いいものにはならない。

 だから、俺はせめてもの抵抗として、格好いい台詞で答えてみた。

「白梟……。
 愛深き故に……だ」

「訳の分からんことを言うな!」

 山雲雀に正座中の足を踏まれ、俺は悲鳴を上げた。





 ……始まりは、そんなのん気なものだった。

 そして、そんな感じに日々を過ごしていけば、全てがうまくいく――そう信じて疑わなかった。

 だけど俺は……。

 すぐに後悔することになる。

 自分がここにいてはいけない人間だと思い知った、その後に……。
*************
読んで頂き、ありがとうございます!^^
評価感想など頂けると、これからの執筆活動の糧になります。
気が向いたらで構いませんので、よろしくお願いします。><

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