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扉の先へ

「リョータ、起きて。朝だよー」

「ん……」


 俺はアイリスに起こされて目が覚める。

 一瞬なんでアイリスが隣にいるんだと思ったが、そうだった、昨日は隣で一緒に寝たんだった。


「わたしの方が早起きだね」


 アイリスがえへんと胸を張る。

 それは単にアイリスの睡眠時間が長かったせいだろうとは思うが。


「ああ、そうだな。アイリスは偉いな」


 愛らしいアイリスのそんな仕草な微笑し、体を伸ばして完全に目を覚ます。


 今日は例の扉の向こうへと行く予定だ。

 そのために準備を遅くても昼までには終わらせたいところ。


「ねえリョータ、わたしお腹空いた」

「うん、まずは朝飯にしようか」


 どうやら昨日の夕飯でこちらの世界の食事を気に入ったらしく朝飯の催促をしてくる。

 まあ作った料理を美味しいと言って食べてくれるので俺としても嬉しいが。

 二人分の布団を畳んだ後、俺は朝食の準備をすることにした。


◇ ◇ ◇ ◇


「「ご馳走様でした」」


 アイリスは朝食に満足したのかやけに嬉しそうだ。


「あ、そういえばアイリスに聞きたいことがあるんだけど……」

「ん? なに?」

「アイリスの世界、ランドリアにモンスターっている?」


 魔法、しかも攻撃魔法なんてものも存在している世界だ、ゲームでお馴染みのモンスターなんかがいても不思議じゃない。

 万全の準備をするためにも敵から身を守るための装備を揃えておく必要もあるし、これは重要なことだ。


「モンスター……魔物のこと? 魔物ならいるよ。でも大抵の魔物は森とかに潜んでいるから道なりに歩けば遭遇したりはしないよ」

「なるほど……」


 一応いるってことだな。

 わざわざそんな危なそうな森に自分から足を踏み入れたりはしないだろうが、念のため武器は持ち込もう。


 何か武器になるようなものは……。


「あっ」

「どうしたの?」


 そうだ。蔵で見つけたアレがあるじゃないか。

 俺は蔵の方に向かう。


「ええと、確かここら辺に……あ、あった」

「なにそれ?」


 追いかけてきたアイリスが問いかける。

 そうだろう、アイリスの世界では見たことのないものだろう。


「これは、刀だ」

「カタナ?」

「そう、この世界の片刃の剣だ」

「へー……」


 俺がそう解説してやるとアイリスは初めて見る刀に興味があるらしい。

 つんつんと指で柄の部分を触って見たりしている。


「これがリョータの武器になるの?」

「ああ、そのつもり……だったんだけど予想より重い……」


 日本刀が重いことは知っていたがここまでとは……。


「ふーん? 軽くだったらできるよ?」

「え、本当に? それじゃあしてもらえるかな?」


 いいよとアイリスは笑顔で答えると刀に向かって手をかざし、お決まりになった魔法をかける。

 

 魔法のかかった刀を改めて持ってみるとある程度の重さを残しつつ最初よりかなり軽くなっている。竹刀程度の重さだろうか。


「ありがとうアイリス」

「どういたしまして!」


 感謝されてアイリスはえへへと喜んでいる。


「とりあえず武器の確保はできたからあとは消耗品とかかな……」


◇ ◇ ◇ ◇


「よし、こんなものか」


 俺は用意した物をリュックに詰め終える。

 リュックの中身は一日分の食糧とその他役立ちそうなものだ。

 恐らく向こうの世界にもこちらの世界と同じ扉が存在していて、そこをくぐれば戻って来られるという予測からそこまでの物は入れていない。

 服装は黒のカーゴパンツとTシャツ、それとフード付きの”外套”だ。


「ねえリョータ、なんでこんなの被らなくちゃいけないの?」

「アイリスは誰かに狙われてるかもしれないからな。顔は隠れた方がいい」


 そう言うとアイリスは納得して外套を受け取る。

 俺も装備する理由は向こうの世界で異世界人とバレない確証はないからだ。

 例えば目の色、髪の色が黒の人間が一定数いるとは限らない。顔の特徴で珍しい人種だとバレるかもしれない。

 そんなことを想定した念のための装備だ。


 アイリスはそんなことなど露知らず、お揃いだねーと笑顔で言ってくる。


「……とりあえず準備は整った。早速扉の所へ行ってみようか」

「うん!」


 俺たちは扉の置き場所である蔵の二階へと向かった。


◇ ◇ ◇ ◇


「いつ来ても埃っぽいな……」

「うぅ……埃がいっぱい……」


 俺は外套を纏った右手で自分の口を押さえ、空いた左手でアイリスの口に手を当ててやる。


「あった、これだ。これで間違いないよな?」

「うん。これが『異界の扉』だよ」


 例の扉の前まで来るとアイリスも真剣な表情を見せる。

 しかし何度見ても無骨な扉だ。やけに重そうだし。


「これを開けるのには呪文とかいるのか?」

「ううん、この扉の持ち主、つまりわたしが念じて手をかければ簡単に開く仕組みになってるよ」


 なるほどそんな仕組みか。

 つまり俺一人では開けれないと言うことか。

 

「それじゃあ開けるよ」


 アイリスが扉に手をかける。

 この先に待っているのはどんな世界なのか。興味半分恐ろしさ半分で俺は唾を飲み込む。


 アイリスが一生懸命重い扉を開けるとそこからは眩しい光が射した。

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