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召集
「暇だ」
玉座にもたれながら魔王は呟く。
「暇ですな」
その傍らで大魔導師が頷いた。
「世界征服の進行状況は?」
「はっ。既に全世界の86%は魔王様の領土に」
「順調だな」
「順調でございます」
世界征服を開始して数か月。
圧倒的な魔王の軍勢の前に、人間の土地は次々と侵略されていた。
「そう言えばそろそろ出て来んのか?」
「何がですか?」
「その……あれだ。そう。勇者だ勇者」
「報告は聞いておりませんな」
魔王は残念そうに溜息をついた。
「少しは張り合いが欲しいものだな」
「ところで魔王様。もし魔王様の元へと勇者たちが辿り着いた時、どう出迎えるかお考えで?」
「む……いや、考えてなかった」
「それはいけません。どちらかが倒されるとしても、最終決戦は歴史に残ります。その際に妙な言動が残っては恥と言うもの」
「それはまずいな。よし、今のうちに考えておくとしよう」




