3話 彼らの感情
ーー意識が覚醒した。
「お、目が覚めました?うなされてましたよ?大丈夫ですか?」
俺の目の前にいたのは150センチの小柄な女性だった。
容姿は茶髪のセミロングで、瞳は黒く、そしてとてもほのかな胸の膨らみがあった。
「すまない。また夢を見ていた」
「大丈夫ですよ。でも、とても苦しそうでした。どんな夢をみてたんですか?」
「……ムクロに腕を喰われた夢だ」
その瞬間、彼女は静止した。彼女の手は震えていて、聞いてしまったことを後悔しているかの様に。
「……すいません」
「別に聞いたことには怒ってないし、あの臆病な俺がいたから今の自分がいる。今頃後悔することなんてねーよ」
それでも彼女は気まずそうな表情をしていた。
「でも……」
そう、俺はあの日守れなかった男がいた。
その男は泣いていて、俺を必要としていた。
でも、俺は……
「よし、今日会議だから準備よろしく」
彼女はいきなり言われた言葉にはいと答える気力しかなかった。
× × ×
レジスタンス大阪本部。
この支部には多くの都市に囲まれていて、ムクロを制圧した地域だ。
その都市で今日、西日本の地方代表が集合する月例会議が行われる。
そう、強いのは俺だけではない。
レジスタンスはエリートの集まりであり、ムクロ討伐数は軽く平均で100体は超えているだろう。
その中でも、都市代表は戦闘の達人の集まりであり、そして、変人の集まりでもある。
会議中にパワプロしたり、ヤンキーっぽいのもいて、かなりこちらも進行しづらい現状にある。
だが、彼らが戦場に立つとその姿は死神のようにムクロを葬っていく。
そう、その個性派エリート達が今日この大阪に月例会議として足を運ぶ。
その準備をしてもらっていたのである。
「昰征さん。あの、この資料は何枚必要ですか?」
そう言ってきたのはさっきのセミロングの女性。名を栗原 灯という。
灯は大阪支部のサポート課に回っており、とても気の使える女性だった。
そして何よりかわいい。
俺が見惚れていたところだったが、彼女は少し戸惑っていたのですぐ答えることにした。
「ああ。10枚だな」
「あ、はい。有難うございます。あと、私の顔に何か付いてますか?ジロジロ見られると恥ずかしいです……」
ーーッ
彼女は頬を赤らめそう言った。そしてその姿に、昰征は見惚れていた。見惚れ過ぎていた。
だが、意識は覚醒。
「あ、ああすまん。じゃあよろしくな」
「は、はい。頑張ります!」
そう言って彼女は仕事へ戻った。
ーーくそ、可愛すぎんだよ。
すると、背後から俺に話しかけてきた。
「お、灯に見惚れている昰征はっけ〜ん」
振り返ってみるとそこには、九州支部の制服を着た少女が立っていた。
続く…
昰征=せと
栗原 灯 =くりはらあかり
祝3話!
読んでくれてるのかな?こんなコミュ障作品笑
まあ、読んでくれると嬉しいです!
アドバイス、感想お待ちしてます!
あと特別企画も進行中なのでお楽しみに!
では4話でお会いしましょう!
らじゃ!