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《Tale Gift Online》  作者: 半年
仮想世界 ―Tale World―
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怒れる双竜

 「たぁっ!!」

 ナツミは竜の鼻先に三連撃技を当てスタン状態にさせる。

 そこにケイスケがモーニングスターの強力な単発技を直撃させる。

 この連携と、リングによる火属性の追加で《ホワイト・フェザードラゴン》のHPは大きく削れた。

 ケイスケの攻撃が密着状態でないと当たらないのが痛いが、これなら何とか倒せそうだ。

 ナツミが連撃を当て終わりケイスケと交代する。

 ケイスケはスキルを発動し、エフェクトを(まと)った鉄球が竜の頭上に振り下ろされる。

 しかし、当たらなかった。

 「ちっ!当たると思ったのに!」

 「だからちゃんと距離を考えてって言ったのに!」

 スキル発動後の硬直時間で動けないケイスケに竜が噛みつこうとする。

 その時!小竜がそこに割って入った。

 「ピィッ!!」

 巨竜は小竜の眼前で動きを止めた。



 「こいつ、俺達は敵じゃないって言ってくれているのか?」

 巨竜と小竜はお互いの顔を擦り合わせ、こちらを向いた。

 「グルルルルゥ……」

 巨竜は申し訳なさそうに二人に向かって鳴いた。

 「これじゃぁ、狩れないね」

 「そうだな」

 ケイスケは別れの挨拶代わりに小竜を撫で、巨竜の頭も撫でようとした。

 「グガァァッ!!」

 その時、巨竜が吠えた。それは悲鳴だった。

 巨竜の背に氷柱が刺さっている。

 「一体、どうなっているんだ!?」

 「ケイスケ!上!」

 見上げると竜がいた。

 「ガアアアアァッ!!」

 現れた襲撃者の声が雪山に響いた。



 「なぁ、あれも《ホワイト・フェザードラゴン》だよな?」

 「たぶん、そう」

 空からこちらを狙っている竜も《ホワイト・フェザードラゴン》に違いない。

 「なら、ターゲット変更だ。あいつを()ろうぜ」

 「そうだね、あんな卑怯者、剣士の名にかけて許せない!」

 だが、まずは空から降りてきてもらわないと剣で戦えない。

 「ケイスケ、少しだけあいつを頼めるかな?」

 「今のタゲは親竜みたいだし、なんとかなるぜ」

 ナツミはメニューを操作し始めた。

 「へぇ、よしわかった!おーい、そこの飛んでる方!お前の相手は俺様だ!!」

 ナツミがしようとする事を察したケイスケが飛竜を挑発する。

 飛竜はケイスケと親竜に向ってブレス攻撃を放つ。

 放たれたブレスは氷の槍となって降り注ぐ。

 「うおおっ!!」

 「グゥアアッ!!」

 「ピィィッ!!」

 ケイスケと小竜はなんとか回避するが、巨大な親竜は避けきれない。

 「グルァッ!!」

 親竜は飛竜に向かって吠え、飛んだ。

 「グアア!!」

 「ガアア!!」

 二匹の巨竜が空中戦を始める。

 ケイスケは降り注ぐ氷の槍から小竜を守りながら走る。

 「ピィッ!」

 「うおっ!」

 ケイスケの目の前に氷の槍が突き刺さった。一歩踏み出していれば当たっていた。

 「お前に助けられちまったな」

 「クルルゥ」

 ケイスケが小竜を撫でてやると嬉しそうに鳴いた。

 ズドォォォン!!

 大きな落下音と供に親竜が落ちてきた、全身ボロボロでHPはレッドゲージに突入していた。

 先程のナツミとケイスケを相手にした戦闘で消耗していたこともあり、飛竜には(かな)わなかったようだ。

 飛竜は巨竜に止めを刺すために急降下してくる。

 「ガアアッ!!」

 「グゥ…ゥ…」

 「ピィッ!」

 飛竜の牙が親竜の首を狙った瞬間、その口内を赤いエフェクトが(つらぬ)いた。

 


 被弾した個所から発火し、飛竜が苦しみながら落下してきた。

 ケイスケが稼いだ時間でナツミは弓に装備を変え、射撃の溜めをしていたのだ。

 「おおっ!!」

 落下して隙だらけになったところを逃さず、ケイスケが鉄球で殴りかかる。

 「ピィィ!!」

 なんと小竜もブレス攻撃で援護している。

 ナツミも次の攻撃のチャージに入る。

 次に放つのも先程と同じ《チャージショット》だ。

 基本技だが、溜めれば溜めるほど威力が上がるため使いやすい。

 チャージに時間がかかるが、命中すればHPを大きく削ることができる。

 ダッーン!!

 放たれた矢は竜の右目に刺さった。

 そして、そこから炎が噴き上がる。

 《チャージショット》を使う理由もそこにある。《チャージショット》は装備品の属性効果を矢に込めることができるのだ。

 火属性の矢は氷属性モンスターである《ホワイト・フェザードラゴン》に対しての切り札となる。

 竜のHPはイエローゾーンに突入している。もう一息だ。

 ナツミが次の矢も打ち込もうとした、その時!ケイスケと小竜が飛ばされてきて、ナツミにぶつかった。

 「うわぁぁっ!!」

 「ピィイッ!」

 「あぁっ!」

 一緒に雪の中に倒れ込んだ二人と一匹に怒り狂った竜が襲いかかった。

 もうダメか!?と思ったが、攻撃は当たってはいなかった。

 いや、当たっていた。親竜がナツミ達を(かば)って攻撃をその身に受けたのだった。

 「グ…ルゥ…」

 HPがゼロになり、親竜は倒れた。

 「ピイィィィィィ!!」

 「バカ!行くな!お前も死ぬぞ!!」

 小竜が親竜に駆け寄ろうとするがケイスケが止める。

 そして、親竜の巨躯は砕け散った。

 その場にアイテムがポップするが、それに目もくれずにナツミが駆け出す。

 ナツミの装備は弓から長剣に戻っている。

 「お前を、斬る!!」

 竜もナツミを貫こうと氷の槍を吐く。

 ナツミの長剣がエフェクトに包まれ、振り払うと氷の槍は粉々になる。

 竜がナツミに噛みつこうとすると同時に、ナツミも竜の顔に向けて長剣を振り上げる。

 「ガアァァッ!!」

 「だあぁぁっ!!」

 牙と刃がぶつかり合い、激しくスパークした。

 


 

 


 

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