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《Tale Gift Online》  作者: 半年
仮想世界 ―Tale World―
7/43

白の双翼

【キャラクター】


■ナツミ/中大(なかだい) (つづみ)

主人公

攻略チーム入りを目指すスーパールーキー


■ユウリ/津上(つがみ) 優亮(ゆうり)

もう一人の主人公

最前線で戦う攻略チームの一員なのだが、何故かソロプレイヤー

最近はナツミの指導をしている


■ベイオネット

通称:ベイ

漆黒の馬型モンスターを駆る騎兵(ライダー)で両手剣使い


■メイ

ユウリの友人

雑貨屋を営む職人・商人プレイヤー

ある理由から車イスに乗ってプレイしている


■ケイスケ

同じくユウリの友人

《モーニングスター》と呼ばれるトゲ付き鉄球ハンマーを使うパワーファイター

しかし、命中率はかなり低い


 「あ、ナツミちゃん!」

 ナツミが振り向くと、少女と少年のアバターがいた。

 少女アバターは車イスに座っており、それを少年のアバターが押している。

 「ケイスケ、止めて」

 「りょーかい」

 よいしょっ!とケイスケはナツミの前で車イスを止めた。

 「久しぶり、メイ」

 「一週間ぶりだね」

 メイはピンクの髪をいじりながら言葉を返した。

 「へー、ちょっとはまともな装備になったじゃん」

 ケイスケはナツミの装備を見て言った。

 現在の装備はどれも準レア以上のアイテムだ。

 ユウリがクエストを手伝ってくれるため、ナツミのアバターは急激に強化されていく。

 「まぁね、わたしの実力ならこれくらい余裕だよ」

 「ユウリに手助けがあるからだろ。まぁ、ナツミの実力も大したものだけどな。今年中に攻略チーム入りできるんじゃないか?」

 「夏休み前にはそうなってるつもり」

 ナツミは自信満々に言った。

 


 「ナツミちゃん、ちょっといい?」

 「なに?」

 「ユウリを待ってるんだよね?」

 「うん、まだ時間があるから、これからフィールドダンジョンに行ってレベル上げしようかなって」

 「ならちょうど良かった!」

 メイは両手をパンッ!と叩き、笑顔で続ける。

 「欲しい素材があるんだけど、私は戦闘職じゃないから、代わりに取ってきてもらおうと思って。いつもはユウリに頼んでるんだけど、今日は攻略に行ってるから。報酬はちゃんと払うから、行ってきてくれないかな?」

 「そんなことならお安い御用だよ。で、そのクエストはどこのエリアで受けられるのかな?」

 「ありがとう、ナツミちゃん!えーっとね…そのクエストは―――」

 


 メイは《春の国》の城下町で雑貨屋を開いていて、そこで自作したアイテムを売っている。

 彼女のアバターは戦闘スキルを持たない純職人クラスであるため、素材集めは他のプレイヤー(主にユウリ)に依頼している。

 メイが作るアクセサリー系アイテムは評判が良く、攻略チームの御用達でもある。

 わたしが右腕に装備しているブレスレット型アイテム《フレイムリング》もメイが作成したものだ。

 「おー、こんな腕輪一つで変わるもんだな、軽装でもあったけぇや」

 ケイスケは《フレイムリング》の下位装備、《ヒートリング》を左腕に装着している。

 腕輪は支援効果(バフ)を得られるものがほとんどで、この《フレイムリング》と《ヒートリング》には火属性を追加する効果があり、寒冷地の阻害効果(デバフ)を受けずに済む。

 わたし達が来たのは《冬の国》、その名の通り寒く雪に囲まれたエリアだ。

 今回のクエストは、洞窟を抜けた先にある氷山グレートホワイトに生息する《ホワイト・フェザードラゴン》の卵を巣から運ぶというものだ。

 ただ、今回の目的はクエストの達成ではない。《ホワイト・フェザードラゴン》の羽毛を手に入れることだ。

 氷属性のモンスターである《ホワイト・フェザードラゴン》の弱点は火属性だ。

 戦闘時はこの腕輪型アイテムが切り札になるだろう。

 「よし、着いたぜ」

 氷山を登る前に、まずは洞窟を抜けなければならない。

 もちろん、洞窟の中には《フェザーウォーリア》という二足歩行するトカゲ頭のモンスターがごろごろいる。

 わたしは背から剣を抜き、ケイスケは《モーニングスター》と呼ばれるトゲ付きの鉄球ハンマーをかまえる。

 


 「はぁっ!!」

 ズバッ!

 「ギエェ!!」

 「おっりゃあああ!!」

 ズドン!

 「ギャッ!!」

 二体のモンスターの断末魔と破砕音を後に洞窟を出ると、目の前には白い山がそびえ立っていた。

 「わぁ…思ったよりおっきい……」

 「そのセリフもう一回」

 「斬られたい?」

 「ごめんなさい……」

 《グレートホワイト》自体は透き通った氷塊なのだが、全体が雪に(おお)われているため真っ白に見えるのだ。

 「この山の天辺(てっぺん)にドラゴンがいるんだよな。トカゲ地獄の次はアイスクライミングかよ」

 「そんなに大変じゃないと思うけど。そこまで急な傾斜じゃないし」

 「え、そうか?まぁ、なら大丈夫か」

 「それじゃ、行くよ」

 「へいへい」

 そして、わたし達は氷山を登り始めた。

 


 「はぁはぁ…やっと着いたぜ」

 「疲労は感じないはずでしょ」

 「おっと、そうだった。でも精神的には疲れると思うけどな」

 「これくらいでへばってたら攻略チームには入れません!」

 「こりゃぁ、ユウリも苦労するな」

 「ところで、ドラゴンはどこにいるの?」

 ドラゴンの巣までたどり着いたはいいが、留守だったようだ。

 「さぁな、その前に卵を出しちまおうぜ」

 そう言って、ケイスケは巣の中に入った。

 すると、その中から間抜けな声が聞こえてきた。

 「な、なんじゃこりゃぁ!?」 

 「どうかした?」 

 わたしも巣の中に飛び込んでみると、卵を抱えたケイスケがいた。

 よく見ると、卵にヒビが入っている。

 「あーあ、傷つけちゃったのかぁ……」

 「違う!俺は何もしてねぇ…。見つけた時にはヒビが入っていたんだ」

 「どういうことだろう?」

 「俺が聞きてぇよ!これじゃぁ報酬は減額か……」

 その時、卵のヒビが広がり、そして砕けた!

 「なに!?」 

 「なんだ!?」

 そして、砕けた卵から出てきたのは、青白い羽毛の小竜だった。

 「ぴぃ!」 

 小竜はわたし達の顔をキョロキョロと見て、一鳴きした。

 

 

 

 

 

 

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