第三章 第三幕
アクセス解析が故障してたらしく、2月のアクセスデータが吹っ飛んでいて、PVとユニークが解らなかった状況が回復したのですが、
いきなりユニーク6500、PV950とかになってるってどういうことでっか?
正直消えてた分含めても5000いってりゃいいところカナーなんて思ってたので不意打ちでした。PVにいたっては最早のびかたが理解できません。想定の二倍以上だぜ…
こんな拙作を読んでいただき、ありがとうございます!
うっしゃぁー!四章書くぞおー!(学校の期末テスト二週間前)
「はー、やっぱりドバイはこの時期暑いわね」
五月頃のドバイは平均気温30℃を越す。自然服装も薄着になった。
西織は白のワンピースに身を包み、清楚な雰囲気を出して佇んでいる。
海島はタンクトップに短パン。活動的で、地味に露出の多い服装だ。
ヒルデはミニスカートに水色のシャツ。足は黒いニーソックスを穿いて隠している。
そして男性陣はーーー
「ぜー…ぜー…この、荷物の、量はおかしい…!」
「女性の荷物だからな…諦めろ」
「ニコラス先輩頑張って!ホテルまでの辛抱ですよ!」
当然の様に荷物持ちである。しかも女性陣の『折角だからホテルまでタクシー使わずに、観光がてら歩きたい』という要望に応えて徒歩で移動中。気温と暑い日差しも相まって、ニコラスの体力が急速に削られていく。
「つーかお前らはなんでそんな元気なんだよ…普通バテるどころじゃ済まねーだろこれ」
実際、魔術師だから耐えられているというのが大きい。気温30℃で十数キロ近い荷物を持って歩き回るというのだから、普通の人間だったら熱中症になってもおかしくないのではないだろうか。
「俺は熱帯地域での訓練も受けたことがあるし、鍛えてるからな」
「僕もこの位だったら汗は出ますけど平気です」
「この体力バカどもめ…」
恨めしげにニコラスは呟くが、女性陣は気にせず、軽快に進んでいく。
対照的にアーサー達は重い荷物を抱えて、のたのたと進む。
その姿は、通行人に否応なく『奴隷』と言った印象を持たせた。
◇◇◇
そしてホテル到着である。
「ふふふふふ、どうよ?このホテル。西織が稼いだ金にものを言わせて一人一室。ドバイ最高級ホテル借りちゃったわ!!」
海島が自慢げに此方に振り向き、
「凄いよ姉さん!70階建てだって!!」
「ほらジーク!すごい高さの吹き抜けよ!」
北欧姉弟ははしゃぎ回り、
「(ぜー、ぜー、ぜー)」
ニコラスは息も絶え絶えで目を霞ませる。
西織とアーサーはーーー
「…なぁ西織」
「…何ですか」
「俺の目がおかしいのか?ホテル名が『ブルジュ・アル・アラブ』ってなってる気がするんだが」
「残念ながら見間違いじゃないみたいですよ」
ブルジュ・アル・アラブ。
ドバイ政府観光局によると、最高評価の『七つ星』の最高級ホテルである。
ペルシア湾に作られた人工島の上に建てられた、そのヨットの帆を思わせる純白の建造物は、ドバイの特集番組でも見れば簡単に見つけられるだろう。
当然宿泊費も尋常ではなく。確かアーサーが覚えている限りでも一人一泊最低十五万円以上の金額を要した筈だ。
アーサー達は六人組であり、一週間の滞在の予定だったので、15×6×7より最低宿泊費だけで630万円が飛ぶ計算になる。
しかしアーサーと西織が顔を青ざめさせたのはそのせいではない。
断言しよう。
海島は暴れる。
はしゃいで遊び回り、とんでもないトラブルを持ち込んでくる。
さて、ここで問題。
そんな魔術師が超高級ホテルで暴れたらどうなるでしょう?
「西織、ボスの手綱を握ってくれ」
「あはは、アーサーさん、面白い冗談ですね。人が災害を止められると?」
もしかしたら一週間後、ブルジュ・アル・アラブは地図から消えているかもしれない。
「…災害、そうだな、災害だから仕方ない」
「…そうですね、諦めますか」
完璧な笑顔を浮かべるフロントに意気揚々と話しかけ、部屋確認をする海島。
アーサーと西織は、地球最高のリゾート地にバカンスに来たのに、早くも胃が痛むのを感じた。
◇◇◇
「「「海だーーーっ!!」」」
典型と言えば典型過ぎる叫び声を上げて、海島と北欧姉弟が駆け出す。
ここはちょっとしたプライベートビーチだ。周りに誰もいないので不審に思い、海島に聞くと、端的に『買った』と答えてくださりやがった。金は後どのくらい残っているのだろうか。
「……………(無言)」
「おいニコラス、黙ってないで何か言えよ」
「ちょっと黙ってろアーサー…!俺は今この旅行に来てはじめて幸せを味わっている…ッ!」
ニコラスは先程からヒルデの水着姿を凝視している。死にかけで生存本能が種の保存を要求してるのかなぁ、とアーサーは適当に思った。
「そっとしておいてあげましょうよ。そろそろ過労死が見えてくる頃ですから」
そう言った西織の格好は白のビキニ。つくづく白が好きなやつだとアーサーは思う。
ちなみに海島の格好はパンツタイプでアーミー調の上下セットの水着。ヒルデはパレオ付きの原色系のビキニだ。
西織が自分の日本人らしい慎ましい胸とヒルデの胸を見比べて、ため息をついているのを見てアーサーは非常に切ない気持ちになった。
「海島さん、はしゃいでますね」
「地形を変えなければ御の字だ」
そんな二人の目の前で海島が「かめはめ波!」と叫んで海水を派手に吹き飛ばした(目算30メートル)。プライベートビーチだからってはしゃぎすぎだろう。
「楽しそうだな」
「ええ、羨ましいですね」
その台詞に、
アーサーは虚を突かれた。
「西織、今お前何て言った?」
「え?それは…」
そこまで話してようやく西織も気がついたようだった。
この世の全てに価値を見出ださない筈の西織夕香がーーーあろうことか、他人を羨ましがったという異常に。
「…ッ!!」
理解できないものを見たような、僅かな恐怖の滲む顔をして、
西織夕香は、その場を脱兎のごとく逃走した。
「ニコラス、後頼む!」
答えも聞かずにアーサーは西織を追いかける。
(西織…)
その気になれば今すぐにでも追い付くことは出来る。
しかしアーサーはあえて西織がしたいように動かせた。
やがて西織の足が止まる。
たどり着いたのは周囲からは見えないような、小さな岩影だった。
「アーサーさん…私、どうすればいいんですか」
うずくまり、力無くこちらを見上げる西織。
「私は、この世で一番大切だった父さんをこの手で殺したんですよ。なのに、世界に興味を、関心を持って…そんなこと許されるわけないのに。私自身が許せるはずもないのに!」
あぁ、とアーサーは理解した。
きっと西織は、どこまでいっても父親を愛していたのだろう。
それ故に自分を追い詰めーーーそしてそれを忘れかけた自分に恐怖したのだ。
西織の恐怖が、絶望が、そして憎しみがアーサーには分かる。
だから、
「西織、前に約束したのを覚えてるか?」
「…なんのことですか?」
「教えてやるよ。どうして俺がこうなったのか」
それは生誕の物語。
深紅の中より生まれ落ちた、鋼と硝煙の魔人の噺。
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