第三章 第一幕
三章スタートです。
また読んでいただければ作者がニヨニヨします。
赤。
ひたすらに赤く、紅く、朱く、緋い。
そんな戦場の一角で、アーサーは死体を抱えていた。
酷い死体だった。
右腕は肩から千切れ飛び、肩口の肉は無惨な断面を晒している。
右半身の肋骨がまとめて何本かへし折れ、胸部は歪に歪む。
おれた肋骨が肺を傷つけたのだろうか、口からも吐血の痕が見えた。
死体から溢れる血で体を真っ赤に濡らして、しかし気にした様子もなくアーサーは死体を抱き続ける。
周囲は地獄だった。
千切れ、弾け、切り刻まれ、潰れ、穿たれ、焼け焦げ、そして死んでいる。
そんな死体が無数に転がっていた。
アーサーの後ろに人影が立つ。
無造作にアーサーはナイフを生成し、人影に向けて一閃した。
それを人影は事も無げに受け止めると、そのままアーサー話しかける。
「アーサー・レッドフィールド」
海島流衣だった。
海島はアーサーに呼び掛け、更に幾つかの事を呟く。
それを聞き、アーサーはしばらく静かに動かずにいたが、死体をそっと持ち上げると、そのまま海島の方へ歩き出す。
海島が先導するまま、アーサーは地獄を後にした。
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