第二章 第十四幕
イエ"アアアアアアアァァァァァァァァ!!!!
PV3000、ユニーク500突破!!
感謝!!これからも書き続けていきます!
「やはりジーク君、君も、ですか…いったいどんな方法で…」
フレイが目の前で苦々しげにこちらの手元を見てくる。
そこに握られているのは、やはり『災厄焔枝』。
何故この魔法をアーサーとジークが、それも三本同時に扱えているのか。
トリックはこうだ。
まずアーサーがスルトの持っていた『災厄焔枝』を子細に観察し、コピーを造り上げる。
しかしそれに魔力を流したところで『災厄焔枝』は発動しない。魔力の種類が違うからだ。
『災厄焔枝』をディーゼル車に例えよう。
当然ディーゼル車は|ガソリン(スルトの魔力)で動く。
それに対してジークの『鋼体英傑』は電気自動車のような様なものだ。
『魔法』という結果は同じでも必要とするエネルギーが根本的に異なる。
ディーゼル車にどれだけ電気を流そうが、ピクリとも動かず、最悪壊れてしまうのと同じ様に、『災厄焔枝』は発動しない。
そこで海島の魔法を使う。
強引に『魔力を流されて起動する武器』という特徴を『強調』し、『災厄焔枝』を起動させているのだ。
最も、三本もの『災厄焔枝』を強引に『強調』したせいで、最大放出魔力量の八割近くを海島は消費している。圧倒的な戦力を持つ彼女が幹部級と戦っていないのはその為だ。
お陰でアーサーとジークは『災厄焔枝』を使える。
しかしそんな種明かしなどするつもりはさらさらない。
「フレイ、僕はあんたを倒す。そして今度こそ姉さんを連れて行く」
ギチリ、と
『災厄焔枝』の柄を握り締めて、
「終わらせてやる!もう僕はお前に怯えない!!」
ジークは真っ正面に走り出す。
◇◇◇
ヒュン、とオーディンの手が宙を裂き、
轟、とアーサーの『災厄焔枝』が空を灼く。
魔術師としての身体能力を遺憾なく発揮し、アーサーとオーディンは広いホールを蹂躙しながら激突する。
「まさか『災厄焔枝』何てものを持ち出すなんてね!おまけに私の『必滅神槍』と拮抗するって言うんだからムカつくわ!!」
「そいつはどうも…っと!」
互いの一撃は食らえば一瞬で互いを殺し尽くす程の物。
『必滅神槍』はアーサーが見切り、『災厄焔枝』で灼き尽くすがゆえに消え失せ、『災厄焔枝』の一撃は『必滅神槍』が吹き散らす。
互いに激しく武器を打ち合い、火花を散らしながら床を、壁を、天井を、縦横無尽に駆け巡り、破壊の限りを尽くしていく。
「私が神になる邪魔をするなあぁぁっ!!」
「俺が約束を果たす為に、貴様を殺す!!」
共に全力、共に全開。
二人がぶつかり合う衝撃波と、攻撃の余波で破壊されつつあった天井が砕け、瓦礫が降りしきる中、二人は瓦礫を踏み台にして宙を昇る。
「おおおおおおおおおおお!!!」
「あああああああああああ!!!」
ゴッギィンンッ!!!と音をたてて鍔迫り合い。アーサーの『災厄焔枝』がオーディンの『必滅神槍』に受け止められる。
轟轟、と燃え盛る『災厄焔枝』は生成したそばから『必滅神槍』を『焼却』していくが、
(一本で良い)
一本、ただそれだけ『必滅神槍』に余裕が出来れば、
(その一本でこいつをブチ抜く!!)
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
全力で魔力を生成する。無理に大量の魔力を振り絞った結果か、ブチンッ、と勢いよくこめかみの血管が弾け、ガンガンと頭が痛み、耳鳴りがし、視界が真っ白に飛びかける。が、そんなことはどうでも良い。
重要なのはただひとつ。
(こいつを…)
目の前の、神に至った筈の自分に拮抗する不遜な人間を、
「ブチ、殺すッ…!!」
果たして、限界を越えた魔力供給を行った結果か、一本分のなけなしの魔力が生まれる。
「くらえ…」
(これで、終わりに…っ!!)
目標を定めるため、一度はホワイトアウトした目を見開きーーーそこでオーディンは気付いた。
目の前の男ーーーアーサー・レッドフィールドもまた、同じ様に死力を尽くして魔力を生成していたことに。
余剰分の魔力で作らていたのは、
(手榴弾!?)
流石に魔術師といえどもあれを食らえばただではすまない。そして安全ピンを抜かれたそれはアーサーを殺すために『必滅神槍』を使えば、アーサーを殺す間に起爆し、オーディンの身体を粉々に吹き飛ばすだろう。
当然アーサーもただではすまない。
捨て身の一撃に等しいそれを回避するには、
(く、そ、しゃらくさいッ!!)
手榴弾に照準を合わせ、『必滅神槍』で貫いて遠くへ吹き飛ばす。
そこでふと、疑問。
アーサーはオーディンと同じほど魔力を振り絞った筈だ。
なのに、生成されたのがたかが手榴弾一発なんてあり得るのか?
しかしオーディンの周囲にそんなものは無い。
ならばどこに、と考え、そしてオーディンは見つけた。
焔の奥、『災厄焔枝』と『必滅神槍』が築く壁の向こう側ーーーアーサーの背後に手榴弾が浮いているのを。
(こいつ、最初から相討ち、)
それ以上考える時間は無かった。
起爆する。
あと三話くらいで二章終了です。