第一章 第一幕
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アーサー·レッドフィールドは傭兵である。
その評価は世界的に高く、国単位の仕事のオファーが多い。
種別も突撃兵から狙撃手、ゲリラ戦まで幅広くこなす。
そんなアーサーは今、戦場にいるかのように緊張していた。
アーサーが子供なら泣き出しそうな目で凝視しているのは
「特売トイレットペーパー…」
主にロール状で販売されるあれである。
(日本のオバチャン達のスーパーにおける戦闘能力は圧倒的と聞く…俺にもってこいの舞台だな)
極めて真剣にアーサーがトイレットペーパーを眺めていると
「アーサー、さっさと帰らないとまたボスに怒られるぞ」
そう言って話しかけてきた金髪青目の男はニコラス·エイク。彼の親友であり、専属技師だ。
「むぅ……」
「はいはい通常価格で良いだろ、お前金持ちなんだから」
アーサーはまだ名残惜しげにしていたが、ニコラスは適当に幾つかのトイレットペーパーを掴むとさっさと会計を済ませてしまう。
実際アーサーは一回の仕事でこのトイレットペーパーなど苦にもならない程、金を稼いでいるので問題ないと言えば無いのだが
「しかしなあ、節制は大事だぞ。ほらちょっと前に流行ったじゃないか『モッタイナイ』ってやつ」
「良いから行こうぜ。またボスに地獄の連続100時間勤務させられるぞ」
「む、あの人は薬射たせてでもやらせるからな…帰るか」
せかせかと近道のために路地裏を通るアーサー達。
だが、彼らはすんなり帰ることは出来なかった。
そこで女の子が横合いから、路地の物を蹴散らすようにして飛び出してきたからだった。
ご丁寧に彼女を追うようにして奇妙な格好の男まで登場してくる。
普通なら驚くなりなんなりしつつも、少女と一緒に逃げたりして、そこから物語が始まるのだろうがーーー
「チッ、一般人か?まあいいどうせ目撃者は始末おがっ」
ーーーアーサーは巻き込まれたくないし、早く帰らないとボスになにをされるかわからなかったので、とりあえず男の顔に銃弾を叩き込んだ(サイレンサー付き)。
「えぇぇぇ!?お前短気すぎじゃねぇ!?」
「いやいやニコラス、なんか始末とか物騒なこと言ってたし、これで良いんだよ」
「いや、お前こいつが何か言う前にもう撃とうとしてただろーが!!見ろよ逃げてた女の子、助けての『た』で口と顔固まっちまってるじゃねーか!!」
飛び出してきた少女は美少女、といって良い外見の持ち主だった。日本人らしい黒髪黒目にロングヘアの髪型が清楚な印象を持たせる。
と、そこで件の『た』で止まっていた少女がようやく我にかえったらしく
「え···あの···どういうことなの···?」
まだ混乱が解けないようではあったが、とにかく少女が言葉を発すると
「良かったな通りすがりの少女とりあえず俺は急いでいるので帰るじゃあな」
「え?いやちょっとまっ···」
だが、アーサーは熟練の短距離走者のように美しいフォームで走り去ってしまう。
「あーおい!待てよアーサー!えっとゴメンね、今俺達急いでてさ、俺らこういう者だから用事あったら来て」
隣にいた男も慌ただしく名刺のような物を渡すと先にいった男を追いかけていってしまった。
一連の流れを呆然と見送った少女はふと手の中の紙切れに目を落とす。
其処にはこんなことが書いてあった
何でも屋『梟』。 社長との交渉次第で、社員が何でもやります!!!
社員の扱いに思わずツッコミそうになった少女だったが、その紙をもう一度見直す。
何でも、何でも、何でも…そのフレーズを吟味すると少女は書き込まれた地図を頼りに歩き始めた。
早くメインヒロインの名前出さなきゃ···