3 奪還2
アレン少佐視点です
ミアを、取り戻したい。
無理やり本部に要望をねじ込んだ。
捕虜となった傭兵を奪還するなど、本来、有り得ないことだった。
こちらで捕獲した捕虜と捕えられたミアを交換する捕虜交換交渉の許可が欲しかった。
たった一人の傭兵のために、渡航計画が狂い、何十人の仕事が増える。
許可が下りる可能性は極めて低かったが、どうしてもミアを取り戻したかった。
ミアの細い体を抱いた感触をはっきりと覚えている。
ミアの擦れた声も。
シーツはミアの血で汚れていた。
軽蔑の眼差しも、嘲笑もどうでもよかった。
昨晩ミアを抱いたのは誰もが知っている。
狭い艦内には隠れる場所もなく、噂は早い。
傭兵隊長のルークと、医学博士であるルーナ女医も傭兵の奪還に賛同した。
ルークの賛同は無視されたが、ルーナは両親が議員をしている。
その影響力は大きかった。
「少佐、あなたのような男が一番タチが悪いわ。どうせあの娘を一回抱いたかなんかで頭に血が上ったんでしょ。今回あなたがしたことは、あの娘の立場を悪くし、傭兵のチームワークをみだし、あなたの指揮官としての評判を地に落とし、ミッションを失敗させ、戦闘機を一台失った。それだけよ。大人しく黙って反省していればいいものを。でも、今回だけは助けてあげるわ。貸にしておく」
ルーナのいったとおり、捕虜交換の要請はあっけなく本部を通った。
ミア。
どうか戻ってきてほしい。