1 捕獲
戦闘機は貴重な資源だ。
捕らわれて驚いたのは、戦闘機の回収だけでなく、戦闘機乗りも回収していたことだ。私は将来使えるかもしれない戦闘機乗りとして、丁重に病室と思われる個室に閉じ込められた。
ルークが泣いているかもしれないと思うと胸が痛んだ。
少佐は今回の無様な戦いの責任を取らせられるだろう。
場合によってはベビードールとの醜聞を押し付けられて。
「体、ボロボロだよ」
気が付くと、私とそう年の違わない白衣を着た少年がベッドサイドに腰かけていた。
お医者さん・・・?
金に近い茶色の髪に、同色の瞳。線は細いが決して貧相ではなく、品の良い感じがする少年だった。
少年が手にしている小さなボードには私のカルテらしきものが映し出されている。
「血液検査の結果、みる? ドラッグ漬けだったの? こんな数値見たことない。君、死んじゃうよ」
少年は澄んだ瞳で私をじっと見ていた。
責めるふうでもなく。
・・・でも、ドラッグがなければもっと前に死んでた。宇宙でパニックになって。
心の中で言い訳する。
少年は私をみていたが、ボードを脇に挟み、立ちあがって言った。
「それに、栄養失調だよ。軍事大国プーランクが誇る国営船「アース」も結構お粗末だね。しばらく入院してもらうよ」