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12 怒り2

アレン視点です

トレーラーの爆発跡を見たときに感じた違和感の理由がわかった。

トレーラーの破壊のされ方だ。あれは、素人が使う爆弾の類ではない。軍が開発した特殊な爆弾で爆発したものだ。宇宙空間などでは、下手に爆発させると味方にまで害が及ぶ。破壊の距離や程度をかなり正確に制御できる爆弾が開発された。爆発の威力は半径数キロから数メートルまで様々な種類が作られた。その爆破実験に立ち会ったことがある。離れた所から、遠隔操作で爆破させるのだ。あのときの、爆破跡によく似ている・・・。


・・・まさか、この爆発に軍がからんでいるのか?


プーランク軍が一番恐れているのは、軍事技術が帝都国へ渡ることだ。

調べてみると、マッド博士は帝都国へわたる可能性が高い危険人物とされていた。マッド博士が帝都国入りすれば、技術情報が大きく帝都国に流れ、何よりその破壊的に凄まじい頭脳が帝都国のものとなってしまう。癖のある人物で、なかなか思うようにならない男らしい。また、マッド博士が利権の一部を持っているせいで、プーランクの軍事産業の一部が思い通り進まず、停滞しているとの報告書まであった。


マッド博士の頭脳や利権が帝都国にわたるのを防ぐために、殺そうとして、失敗した?

有り得ないわけではない。

そもそも、アンドロイド排除団体だったら、工場もろとも爆破させようとするのではないだろうか。マッド博士のトレーラーに爆発物を仕掛け、遠隔操作で爆破。

あまりにも簡単だ。


偵察機を目撃したという工場勤務の男はかなりの飛行機マニアで正確にどの型の機かを予想し、教えてくれた。


彼の情報を頼りに、空軍の情報を探る。昔、空軍から出発して宙軍ができたため、今では宙軍の一部に空軍が位置している。調べるのはそれ程難しいことではなかった。


はたして、偵察機の種類と、爆弾が爆発した日付、時間を照合すると、確かに一機、出ている。詳しい飛行記録は無く、「巡回」とだけ記されている。搭乗者―パイロット名も記されていた。


パイロットを探し出すと、警備巡回や、軍の研究施設の実験補助を受け持つ地味な部署にその男はいた。

少年といってもいいほど若い男だった。男は俺をみるなり、驚愕の表情を浮かべ、すぐに土下座していった。


「申し訳ありません。命令で、逆らえませんでした」

顔を上げようとしない男に、確信するよりなかった。

この男がトレーラーの爆破に関与していたのは間違いない。

やはり、マッド博士のトレーラー爆破には軍がからんでいたのか・・・。


「お前がマッド博士のトレーラーを爆破させたのか」


ミアを殺したのか、という言葉を辛うじて飲み込む。

彼もミアを巻き込むつもりはなかったのだろう、そう思っていた。


「トレーラーの爆破命令を受けましたが、中に人がいるとは知らされていませんでした。既に爆発物は仕掛けてあるので、起爆スイッチを押し、状況を報告せよとの命令でした。爆破前に軍の個人認識チップがレーダーに映っていることに気が付き、驚いて報告したのです。ですが、関係ないからすぐに命令を実行しろといわれて・・・」


関係ないから命令を実行しろだと?


「まさか、貴様、ミアが下にいるとわかって爆破させたのか?」


「爆破しろと・・・そういう命令だったのです」


「ミアごと殺せと?」


「・・・・・」



殴りかかっていた。

完全に、相手を殺す気で殴っていた。


四方八方から人に抑えられた。


「離せ、殺してやる」


「待ちなさい、シーモア中佐。その命令をしたのは、あなたの叔父です」

俺を押さえていた人間の一人がそういった。


叔父が・・・・。

絶対に許さない。


あたりを見わたす。

いったいどれだけの人間が知っていたんだ?


許さない。

ミアを見殺しにしたやつも、叔父も、軍も、

なにもかも。




読んでくださってありがとうございます。

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