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3 仕事1

無所属のまま、あるプロジェクトチームに参加しろという、よくわからない辞令だったけれど、勤務場所が「アース」だったので、私は大喜びで準備して、「アース」行きのシャトルに乗りこんだ。「アース」はプーランクの宙域に浮かぶ空母であり、要塞であり、宙軍の象徴でもある。定期的にプーランクと「アース」を結ぶシャトルが出ている。その他にも宙軍基地はコロニーなど宙域にたくさん存在する。


「アース」にシャトルが着いた。

もうすぐ、アレンに会える。

傭兵として「アース」にいた頃が遥か昔のように感じる。

ゲートをくぐってすぐにアレンの姿を見つけた。

嬉しくて、思わずアレンの方へ駆け出そうとして、でも、躊躇に変わった。


「ミア」


アレンが険しい表情で、大股に歩いてくる。

・・・どうしてそんなに怖い顔をしてるの?


「なぜ、アースに来た?」


アレンは厳しい口調でいう。

会いたくて、会いたくてここまで来た妻にいう言葉がそれ?


「だって」


思わず抗議しかけると、アレンは小さく笑って、私を抱きしめた。


「ミア、会いたかったよ。でもアースは今、あまり安全な場所じゃない。次のプーランク行きのシャトルが出るときに帰るんだ」


アレンの言葉に泣きそうになる。

アレンと一緒にいる約束をしたのであって、遠いところで待っている約束をしたわけじゃない。


「アース勤務の辞令をもらったの」


私がいうと、アレンは首を横に振った。


「そんなものはすぐに取り消してもらう。ミアはもう戦闘機には乗らないだろう?」


確かにアレンと約束した。

危険だから、もう、戦闘機には乗るな。

ドラッグも絶対にだめだ。


「でも、そうしないと」


アレンに会えない。

ここにいられない。

だって、戦闘機乗りしか、私にはできることがないのだから。


でも、私の言葉は口に出る前に消えた。

アレンが私の言葉を食べたから。キスをしたから。


「安全な場所で、俺の帰りを待っていてくれ」


アレンが私の頬を両手ではさんでいう。

私がなおも抗議しようとしたら、後ろから陽気な声がふってきた。


「よう、相変わらずの溺愛ぶりだな、アレン。今回ミアちゃんをここへ呼んだのは俺なんだ」


振り向くと、金髪碧眼のガタイのいい男が笑って立っていた。

ノーブルな顔立ちだけれど、どこか野性的な―抜け目のない狼のような―印象の男だった。


「ハラウェイ、お前か。なぜ、ミアを呼んだ?」


幾分怒りを含んだ声でアレンがいう。

ハラウェイという名に覚えがあった。アレンの友人で、海賊船DDDと私を回収した精鋭部隊の人間だ。



「別に戦闘機に乗せるつもりじゃないから、安心してくれ。本艦から出なければ、そう危険なこともないだろ? ミアちゃんにはちょっと俺のプロジェクトを手伝ってもらいたくてね。アレンだって、可愛い新妻と一緒にいられるのは嬉しいだろ? 感謝してほしいね」


そういって、ハラウェイはニヤリと笑った。


「プロジェクトですか・・・?」


宙軍のアースに行けという辞令はきいたが、仕事内容まではきいていなかった。そういえば以前アレンから、ハラウェイはちょっと難ありのミッションの処理班として動いていると聞いたことがある。ミッションごとに所属、階級関係なく人を集め、プロジェクトチームを作り、遂行するらしい。


「そう。ビッグマザー回収プロジェクト」


ハラウェイは真面目な顔をして、そういった。


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