失恋ぐるぐる
内気な少年が失恋した。
『ごめん。
私、文芸部がある高校に行く。
だから、恋人も終わりにしないといけない。ごめんね』
「はあ…」
また思い出して、後悔する。
思い出したことに、じゃない。
別の高校に進むことで、失恋をしてしまったことに。
仲がもっとよかったら、別の高校に進んでも別れないで済んだんじゃないのか?
最後、あの子に『ごめん』と言わせてしまったことにも、後悔している。
同じ高校に行けばよかったんじゃ? とも思うけど、あそこには普通科がないし。けど、その程度の恋だったのか? とかも考えたり。
もっと上手くできたんじゃないのか、そう何回も考えてしまう。
顔を上げる。
机に突っ伏していた。
「移動か」
勉強なんてする気になれないけど、高校に来ているからには、それなりには頑張らないと。
「あっ、センパイ!」
「またか…」
遠くから笑顔で手を振ってくる後輩。
名前は忘れた。そんなに仲良くはなかったし。多分、同じ中学校にいた、とは思う。
『センパイ、カラオケ行きませんか? 思いっきり叫んじゃいましょうよ』
『センパイ、最近のオススメの作家は誰ですか?』
とか、入学してからずっと、構ってくる。
…。
よくわからない。何を考えているのか。
「移動ですか!?」
「勉強、頑張って下さい!」
「いたたたた…」
ぼくの方を見ながら歩いていたからか、こけてしまった。
「大丈夫?」
つい、ぼくは言ってしまう。
「あっ!
センパイ、やっと生気が戻りましたね!」
後輩ちゃんは、さっきより、もっと笑顔になる。
「やっぱりセンパイは優しくないと!」
優しくないと。
ぼくが優しかったのは、あの人がいたから。
恋をしていたから。
また、優しくなってもいいのかな。
あの子とは別れたのに。
失恋したのに。
今でも、もっと上手くできたんじゃないのか、て後悔するけど。
ぼくが優しいことで、喜んでくれる人がいるのなら。
また、優しくなろうかな。
ちょっとだけ、ぼくは思った。
新しい恋の予感。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




