繁華駅
「そろそろ着くぜ。繁華駅に」
「あそこが…繁華駅……!」
目の前には建物が並んでいた。まるで江戸時代のような木造の建物が沢山。
「やっぱり名前って繁華街から取っているんですか?」
「そうですよ! 全く酒呑童子様は名付けが単純ですよね」
「おい! 太郎ごときが酒呑童子様の悪口を言うんじゃねぇ!」
意外だ。チャーリーの性格なら同意すると思っていた。もしかしたらチャーリーは上下関係をしっかりと意識しているタイプなのかもしれない。
「酒呑童子様…? 偉い方ですか?」
「偉いも何もこの空間を作った御方さ。ちなみに異界電車の噂を広げて、作ったのも酒呑童子様」
「へぇー」
それはそれは凄い御方だ。私の逃げ場所を作ってくれたのだからいつかお礼を言いたいな。
街中に入った。建物から綺麗な女性の妖怪がこちらに手招きしてくる。
私はそれに返事をするように手を振った。
「手招きしてますよ? 何でしょう?」
「太郎みたいな馬鹿を誘ってるのさ。ここら辺は遊楽が多い。あれはただの客寄せ」
「馬鹿って失礼ですよ! 私だって遊楽は毎日は行きませんよ!」
「あはは…たまには行くんですね」
「はっ…しまった」
口を滑らせた太郎は自分の口を塞ごうとする。が、私を抱きかかえているため、それはできない。
「そ、それより着きましたよ。居酒屋に」
「よくやった太郎。じゃあそのまま入れ。オイラはここでお暇する」
「え」
チャーリーは地面に着地した。
「え、確かチャーリーは最近流行りの人間を案内したことを話の種にするって言ってませんでした?」
「嫌われ者が居たら飯が不味くなるだろう? だから遠慮する」
「チャーリー……」
するとチャーリーは風と共に居なくなった。




