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武器使いの成り上がり〜石ころから始める異世界無双譚〜〜社畜、女神に愛され最強の二刀流&投擲使いに覚醒す〜  作者: 月神世一


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EP 9

知識という名の武器、最初の依頼へ

冒険者ギルドの一角にある図書室。

そこは、喧騒に満ちたホールとは別世界の静寂に包まれていた。

高い天井まで届く書架、古ぼけた羊皮紙の匂い。

窓から差し込む陽光が、宙を舞う埃をキラキラと照らし出している。

(へぇ……ギルドにこんな場所があったなんてな)

リュウは感心しながら、借りてきた『モンスター図鑑』を机に広げた。

隣では、セーラも薬草学の書物を熱心に読み込んでいる。

周囲にいるのは、腕力だけでなく知恵の重要性を知るベテランたち。

この空気感、嫌いじゃない。

リュウは前世の「攻略本」を読む感覚で、ページを捲った。

【ゴブリン】

知能は低く、単体では脆弱。しかし集団での連携には警戒が必要。不意打ちや夜襲を好む。

(やっぱりな。あの時のゴブリンたちも、数は多かったが個々の動きは単純だった。次はもっと上手く立ち回れる)

【オーク】

豚の顔を持つ亜人。極めて高い筋力と体力を誇る。装備の整わない者が正面から挑むのは自殺行為。

(こいつは要注意だ。今の俺のステータスで力比べは分が悪い。『疾風』でのヒット&アウェイか、投石での遠距離戦が鍵になるな)

【スライム】

物理打撃に弱いが、刃物による攻撃は効果が薄い。火属性が弱点。

(打撃に弱いのは実証済みだ。でも、斬撃が効きにくいのは盲点だった。剣を買ったからって慢心してたら痛い目を見るな……)

知識が、頭の中で「戦術」へと変換されていく。

漠然としていた恐怖が、対処可能な「課題」へと変わっていく感覚。これこそが、座学の醍醐味だ。

そして、ページを捲る手が止まった。

【ドラゴン】

最強の種族。人類の天敵。国家規模の軍隊、あるいは英雄級のパーティーでなければ討伐不可能。

詳細なイラストに描かれた、漆黒の鱗と紅蓮の瞳。

昨夜の悪夢が、脳裏にフラッシュバックする。

圧倒的な炎。傷一つ付かない鱗。虫けらのように見下ろされる絶望感。

(……今はまだ、考えるだけ無駄か)

リュウは、震えそうになる手を握りしめ、無理やり思考を切り替えた。

いつか、必ず。

だが、今はまだその時ではない。

一通り読み終え、リュウは大きく息を吐いた。

「ふぅ……。大体の特徴と弱点は頭に入ったよ」

「お疲れ様です、リュウ様」

セーラも本を閉じ、心配そうにこちらを覗き込んだ。

「オークの項目……読みましたか? かなり手強そうですわ。わたくしたちだけで大丈夫でしょうか……」

「正面からやり合えば危険だろうね。でも、弱点や習性を知っていれば、勝機はある。……それに、俺にはセーラがいてくれるから」

「リュウ様……」

「セーラは回復魔法が使える。それだけで、俺は前線で思い切って戦えるんだ。頼りにしてるよ」

「は、はいっ! わたくし、微力ながら精一杯お支えします!」

セーラがパッと顔を輝かせ、力強く頷く。

守られるだけのヒロインではない。彼女もまた、この過酷な世界で戦う覚悟を持った「冒険者」なのだ。

リュウは立ち上がり、腰の『疾風』を軽く叩いた。

新しい武器。そして、頭に叩き込んだ知識。

準備は整った。

「よし、行こうセーラ。まずは俺たちの力を試すんだ。手頃な依頼クエストを探しに」

「はい!」

二人は静寂の図書室を後にし、再び喧騒のホールへと戻った。

壁一面に貼られた依頼書の山。

その中から、彼らの記念すべき「最初の冒険」が選ばれようとしていた。

知識と仲間という翼を得て。

リュウの異世界譚は、いよいよ本格的な軌道に乗り始める。

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