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武器使いの成り上がり〜石ころから始める異世界無双譚〜〜社畜、女神に愛され最強の二刀流&投擲使いに覚醒す〜  作者: 月神世一


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EP 20

月下の殺戮劇、そして鉄塊の王

眠りに落ちた見張りたちを尻目に、リュウは砦の中へ躍り込んだ。

そこは、オークたちの晩餐会場だった。

十数体のオークが一斉に振り返る。

「グルァッ!?」

驚愕の声。だが、リュウの動きはそれより速い。

「遅い!」

ザシュッ! ズバッ!

銀閃が走る。

二刀流の連撃が、手近なオークの喉を切り裂く。

返り血を浴びるよりも早く、リュウは次の獲物へ跳躍した。

「グガァ!」

棍棒が振り下ろされるが、当たるはずもない。

スキル『武器使い』の補正は、回避能力すら底上げしている。

リュウは踊るように刃を振るい、オークの包囲網を食い破っていく。

「そこだ!」

距離を取ろうとした個体には、糸付きの短剣を投擲。

額に深々と突き刺さり、糸を引けば手元に戻る。

セーラもまた、メイスを振るって背後からの奇襲を防ぎ、完璧な連携を見せた。

一方的な蹂躙。

ものの数分で、広間はオークの死体と緑色の血で埋め尽くされた。

「はぁ……はぁ……。よし、掃討完了だ」

リュウは血振るいをして短剣を納めた。

机上の空論だった戦術が、実戦で通用した。その事実は大きな自信となる。

だが、まだ終わっていない。

広間の最奥。巨大な鉄扉が、威圧感を放って鎮座している。

「あの中に、親玉がいる」

「……はい。凄まじい気配を感じますわ」

セーラが杖を握りしめる。

リュウは扉を蹴り開けた。

     ◇

中は、異様な空間だった。

壁一面に飾られた武器や頭蓋骨。

そして玉座には、全身を分厚い鉄鎧で固めた巨人が座っていた。

オークキング。

身の丈3メートル。手には巨大な両刃斧バトルアックス

その眼光は、ただの獣ではない、歴戦の戦士のそれだった。

「ブルゥゥゥ……。我が眷属を、よくも……」

低く唸り、王が立ち上がる。

その瞬間、圧倒的なプレッシャーがリュウを襲った。

(硬い……!)

直感した。今の短剣では、あの分厚い鎧を通せない。

リーチも違いすぎる。近づく前に斧で両断されるのがオチだ。

「どうする……?」

その時だった。

リュウの体が、カッと熱くなった。

魂の格が上がる感覚。

《レベルアップしました!》

《新スキル『槍術 Lv.C』を習得しました》

(槍術……!? このタイミングでか!)

リュウは視線を走らせた。

部屋の隅の武器掛けに、無骨な鉄槍が立てかけられている。

「セーラ! 俺はあれを使う!」

リュウは疾走し、鉄槍をひっ掴んだ。

ずっしりとした重み。だが、手にした瞬間、その扱い方が脳裏に刻まれる。

「グルアアアアッ!」

王が斧を振り下ろす。

リュウは槍を突き出し、その攻撃をいなした。

ガギィンッ!

重い衝撃。だが、防げる。

リーチが伸びたことで、王の間合いの外から攻撃が可能になったのだ。

「これなら戦える!」

リュウは突きを繰り出す。

鎧の隙間、関節、視界の死角。

精密機械のような刺突が、王を徐々に追い詰めていく。

「グヌゥ……チョコマカト……!」

業を煮やした王が、大振りの横薙ぎを放つ。

その瞬間、胸の鎧に古傷による亀裂が見えた。

(そこだ!)

リュウは攻撃を紙一重でかわし、踏み込んだ。

全体重を乗せた、渾身の一撃。

ズドンッ!

「ガァッ……!?」

鉄槍が亀裂を貫き、王の胸深くに突き刺さる。

王がよろめき、膝をついた。

「終わりだ!」

リュウは懐から小瓶を取り出した。

『深淵の雫』を塗った短剣。

それを、槍の傷口へ容赦なく突き立てる。

「グ、ギャアアアアアアアッ!?」

絶叫。

猛毒は瞬く間に巨体を蝕み、王は白目を剥いて痙攣し――

やがて、動かなくなった。

静寂が戻る。

リュウは槍を杖代わりにして、荒い息を吐いた。

「勝った……。今度こそ、完勝だ」

「リュウ様ぁっ!」

セーラが駆け寄ってくる。

その目には涙が浮かんでいた。

月明かりが差し込む砦の中。

新たな武器、新たな戦術、そして禁断の毒。

全てを駆使して掴んだ勝利は、リュウに確かな「強さ」の実感を与えていた。

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