表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
武器使いの成り上がり〜石ころから始める異世界無双譚〜〜社畜、女神に愛され最強の二刀流&投擲使いに覚醒す〜  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/16

EP 16

禁断の知識、賢者の毒

翌朝。

リュウとセーラは、再び冒険者ギルドを訪れた。

昨日の騒ぎが嘘のように、朝のギルドは静謐な空気に包まれている。

「毒、でございますか……」

受付嬢の表情が曇った。

当然だ。毒は暗殺の道具であり、一般の冒険者が扱うにはリスクが高すぎる。

「はい。今後のために、どうしても必要なんです。……ギルドマスターに、取り次いでもらえませんか?」

リュウは譲らなかった。

その瞳にあるのは、興味本位ではなく、生き残るための冷徹な計算。

受付嬢はしばらくリュウを見つめた後、小さく溜息をついて奥へ消えた。

     ◇

「毒を使いたい、だと?」

執務室の空気が重くなる。

ギルドマスター・バルガスは、組んだ腕の上から二人を睨みつけた。

「分かっているのか? それは武人の剣ではない。卑劣な凶器だ。扱いを誤れば、お前自身がその毒牙にかかるぞ」

「覚悟の上です」

リュウは即答した。

「綺麗事で勝てるほど、この世界は甘くないと知りました。俺には、守りたいものがあります。そのためなら、毒でも泥でも啜ります」

隣のセーラも、一歩前に出る。

「わたくしも同罪です。リュウ様が背負う業なら、わたくしも共に背負います」

その言葉に、バルガスの表情がふっと緩んだ。

「……面白い。そこまで言うなら、試してみるか」

バルガスは立ち上がり、壁の隠し棚を開けた。

そこには古びた書物と、厳重に封印された小瓶が並んでいる。

「毒の扱いは、知識が全てだ。まずはこの本を読み込め。調合、塗布、解毒。全てを頭に叩き込むまで、現物は渡さん」

渡されたのは、『劇毒大全』と記された分厚い魔導書。

リュウとセーラは顔を見合わせ、力強く頷いた。

「ありがとうございます!」

     ◇

それから三日間。

二人はギルドの資料室に籠もり、憑かれたように知識を貪った。

麻痺毒の精製比率、神経毒の潜伏時間、遅効性と即効性の使い分け。

セーラの薬草知識と、リュウのゲーマー的分析力が化学反応を起こし、驚異的な速度で「毒使い」としてのノウハウが蓄積されていく。

そして四日目の朝。

やつれた顔ながら、その瞳に鋭い知性を宿した二人は、再びバルガスの前に立った。

「合格だ」

バルガスは短く告げ、隠し棚の最奥から一つの小瓶を取り出した。

黒曜石のような小瓶の中で、どろりとした深紅の液体が揺れている。

「『深淵のアビス・ドロップ』。古の錬金術師が作った、伝説級の猛毒だ」

「しんえんの……しずく……」

リュウがゴクリと唾を飲み込む。

瓶越しでも分かる。これはヤバい。触れるだけで生物としての本能が警鐘を鳴らすレベルだ。

「一滴で巨象を即死させ、気化したガスを吸うだけで肺が焼ける。……使い所を間違えるなよ?」

バルガスが小瓶を差し出す。

リュウは震える手でそれを受け取った。

重い。たった数グラムの液体が、鉛のように重く感じる。

「感謝します、マスター。この毒は……ここぞという時の切り札にします」

「うむ。期待しているぞ、若き毒使い(ポイズン・マスター)よ」

バルガスはニヤリと笑った。

ギルドを出たリュウの手には、最強にして最悪の武器。

そして隣には、共犯者となる覚悟を決めた聖女。

「行こう、セーラ。これで、どんな敵が来ても戦える」

「はい、リュウ様。……どこまでも、お供します」

新たな力と、禁断の知識。

準備は整った。

リュウたちの冒険は、ここからさらに過激に、そして深淵へと加速していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ