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俺は可愛いもの好き

(ミカエル視点)

今日は長い日だったが、不思議と疲れは感じない。


昼間に父上に結婚しろと詰め寄られた時は、今日がこんな日になるとは思わなかっなと俺はバスソルトの爽やかな香りがする風呂に浸かって、そんな事を考えていた。


俺はいつも疲れていた。家族で自分だけ夜行性なのに、周りに合わせて半夜行性の生活を続け、1日12時間ぐらい眠るフクロウ家系なのにお昼には起こされてしまうので、6-8時間ぐらいしか寝られなかった。


だから俺はいつも頭痛がして、疲れから人を気遣う事なんて出来なかった。

大体、昼間に話しかけてこられても、眠くて何を話したかなんて覚えていない。


今日だってそうだった。


エルドラドのやや強引な紹介でこの屋敷に来たが、実家から出られるならどこに住むなんてどうでもよかった。


でもこの屋敷、特に寝室を見た時。

このベットで寝てみたいという考えしか浮かばず、ベットに転がった瞬間から記憶がない。いつもはなかなか寝付けないのに。


そして俺を優しく起こす声。


目を開けた瞬間、目の前には俺が小さい時から大切にしている、ハムスターのぬいぐるみにそっくりな女性がいた。髪の毛の色までそっくりだった。


びっくりしすぎて、逃げられては困ると思わず拘束魔法をかけてしまったが。


ヘーゼルという俺の部屋付きメイドは、小柄だがよく動くし、俺の思考を読んでいるのかと思うほど、的確に俺のしたい事をしてくれる。


そして毛繕い。。。


フクロウにとって毛繕いはカップル同士のスキンシップだ。ヘーゼルはメイドとして俺の支度をしてくれただけだが、誰かに髪をブラッシングしてもらうのが、こんなに気持ちい事だとは知らなかった。


まあ前髪をブラッシングしてもらった時は、丁度ヘーゼルの胸が目の前にあって、つい目を閉じてしまったが。


ヘーゼルがアイテムボックスの話をした時、俺は胸がどきっとした。


アイテムボックスを持っている獣人は限られている。


「まさか、ジャンガリアンハムスターだとはな」


まさに俺が大事にしているぬいぐるみと一緒だ。髪の毛の色まで一緒だ。あれはエルドラドから貰ったぬいぐるみだ。小さい頃、木から落ちそうになったエルドラドを助けてお礼にもらったんだ。いつも俺の眠そうな顔を見て、

「これをベットに置いておけば、よく眠れるぞ」と言ってくれたんだった。


そしてそれは本当だった。いつもより深く、長く眠れるようになって。気力も戻り、魔法の勉強に集中できるようになり、気がつけば王宮筆頭魔術師になっていた。


ただ役職がついた事で仕事が忙しくなり、家で眠ることも、長く眠ることも難しくなってしまい。ここ数年はまた寝不足が続いていた。


エルドラドにも心配されていたから、この屋敷を用意してくれたのかもな。


俺は風呂から上がり、ヘーゼルが用意してくれたパジャマのズボンを履くと、ドアの外で音がしたような気がした。


ヘーゼルが戻ってきたのかもしれないと、

ドアを開けると、ちょうどノックをしようとしていたヘーゼルがバランスを崩して倒れそうになる。


慌てて抱き止めたがあまりの心地よさに離せなくなってしまった。そしてすごくいい匂いがする。


ぬいぐるみの比ではない。


「ミ。。ミカエル様、もう大丈夫ですので。離してくださいませんか?」


俺はその時点で、まだシャツを着ていない事に気がついた。俺が慌てて離すと、ヘーゼルはカートを押しながら部屋に入ってきた。


ヘーゼルの顔は真っ赤になっていて可愛い。


俺が慌ててシャツを着ると。ヘーゼルはカートの横にピシッと立って、


「失礼致しました。助けて頂きありがとうございます。お食事をお持ちしました。」


カートの上には沢山の料理が乗っている。


俺が困惑しているのがわかったのか、ヘーゼルはカートを俺の近くに寄せてくる。


「前のご主人様は屋敷で夕食を食べる事がなかったので、シェフが張り切ってしまったそうです。お食べにならない分は使用人の賄いになりますので、お好きな物だけお食べくださいね。何をお取りしましょうか?」


「後で食べるなら、今食べても一緒だな。ヘーゼルも一緒に食べよう」


「え?あの?と。。とんでもございません。ご一緒にとはとても光栄ですが、畏れ多くて」よっぽどびっくりしたのか、慌てている。


「ほら、俺の好みの味も覚えて貰いたいし、仕事だよ仕事。このひまわりの種が乗ったサラダとかさ」


俺はヘーゼルがこのサラダを凝視しているのに気がついていた。やっぱりハムスターはひまわりの種が好きなのか?とついニヤッとしてしまった。


「わ。。笑ってる」と小さな声が聞こえた。


「わかりました。仕事としてですね。今、カトラリーをもう1セット持ってきます」とヘーゼルが部屋から出そうになったので、慌てて止めた。


「俺が食べさせてやるよ」と言って、サラダからひまわりの種を一粒取って、ヘーゼルの口に放り込んだ。


「え?何?美味しい」


「じゃあここに座って」と言ってテーブルにカートから食事をおいた。


「ミカエル様、それは私が!」


「ヘーゼル、これは俺目線でどうやってサーブしたらいいか見極めるんだよ」と適当に言い訳をして、どんどん料理を並べていく。そしてサラダをヘーゼルの目の前に。


幸いフォークは2個あったので、1個をヘーゼルに渡す。


「さあ召し上がれ」と言って執事のように礼をするとヘーゼルは大きなまんまるの目をますます大きくさせて、笑い出した。


「俺も食べるかな」と言って、椅子をヘーゼルの横に持ってくる。


「ほら、ナイフはシェアしないといけないから、この方がいいだろ?」というと、もう諦めた感じでヘーゼルは微笑む。


ヘーゼルはフォークを使って器用に小さな種をすくって食べている。平民出身のメイドとは思えないほどの綺麗な所作だ。


そして小さな口でモグモグ食べているのが可愛い過ぎる。


俺は昔から可愛いものが大好きだ。特に小柄の動物、ウサギやシマリス、もちろんハムスターもだ。


ただ元は獣人の国。動物を家で飼うという事はほぼない。獣人として派生しなかった動物は飼われているが、牛、豚、鶏など食用や馬やロバなど使役馬だ。


だから小動物がいくら可愛くても、実際に愛でる事はできなかった。


でも目の前にいるのはハムスター獣人の子孫だ。彼女を愛でるのは何の問題もないはずだ。出会ったばかりなのに何でこんなに胸がドキドキするのか?


今だって、膝に乗せてご飯を食べさせてあげたいと思っているが、出会って数時間ででそんな事をしたら、絶対に逃げられる。


特に無愛想で冷酷と言われてる俺にだ。


「ヘーゼル、肉は好きか?これは俺の好物だから覚えておいて欲しいんだ」と肉を切り分けて、お皿に乗せる。


「ラム肉だよ。このワインソースがいいんだ。そうだ、ちょっとワインが飲みたいな。そこの赤ワインを開けてくれるか?」


ヘーゼルはすくっと立って、ワインのコルクをスポンと抜くと、グラスに注いでくれた。


「いいね、これも俺が好きな味だ。飲んでみるかい?まだ未成年だったか?」


「お酒は飲める歳ですが、飲むとすぐに赤くなるので遠慮しておきます。このお肉、初めて食べましたが美味しですね」とにっこり笑う。


未成年ではないんだな。18歳以上なら問題ないな。


と。。そこまで考えて、ふと我に返った。


何が()()()()()()()


美味しそうに肉を食べるヘーゼルを見て、俺はこの子と結婚したいと思っているのか?


この俺が結婚?



お話は最後まで書いてあるのですが、誤字脱字を確認しつつ、投稿していきます。

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