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六年制ニート、時々、世直し。〜愛犬の介護をしたいので、バカな男はまとめて沈めます〜クソガキ殲滅!  作者: ダメだ里香ちゃん


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華麗なるデビュー戦①

~佐藤家の紹介~


【ジョセフ】

佐藤家のアイドル。ゴールデンレトリバー。老犬。いつだって里香の味方。


【里香】

大学一年生。ジョセフに寂しい思いをさせないため、ニートになる。


【玲弥】

中学二年生。姉思いの優しい弟。自信過剰。


【パパ】

食品卸売会社勤務。娘のニート費用を稼ぐため、全身全霊でギャンブルに挑む。


【ママ】

お菓子メーカー勤務。玲弥にとことん甘い。


挿絵(By みてみん)


決戦の場となる店。その女子トイレの鏡の前で、乱破隊の面々は各自思い思いの戦隊ヒーローポーズを決め、臨戦態勢に入っていた。初陣を飾る里香だけは、鏡の隅で会長とマンツーマンの最終調整――「あざとテク」の伝授を受けている。

「里香、やってみろ」

「はッ!」

「三秒見つめて……恥ずかしそうに逸らす! ヨシ、いいぞッ!」

「アザッス!」

「里香ちゃん、カレシいんの?」

会長の即興の振りに、里香は間髪入れずに応じる。

「え~……いなかったらぁ~ん……カレシになってくれるんですかぁ~ん?」

「ヨシ! いいぞ! 上目遣いは十度から十五度を死守しろ。角度が命だ」

「はッ!」

「俺の好きなタイプ? まあ、特にないけど、強いて言うなら美人系より可愛い系かなぁ……」

「えっ……? それってぇ~ん……里香のことですかぁ~ん?」

「ヨシ! 首を十五度傾けて三秒キープ。そこから流れるような上目遣いのワンツー! 忘れるな」

「はッ!」

軍隊並みの厳格さで予行練習を終えたところで、里香はずっと喉に引っかかっていた疑問を口にした。

「ところで会長。会長は……その、処女じゃないんですか?」

「当たり前だろ。もう三年だぞ。やりすぎて穴ガバガバだ」

予想だにしない豪快な告白に、里香は目を丸くした。

「……っえ? いいんスか?」

「いいって何が?」

「クソガキと、その、致していいんスか?」

「いいよ。ただな、スッキリしたら必ず教育しろ。クソガキをクソガキのまま野に放つな。その矜持を忘れたらフェミニスト失格だ」

「はッ!」

医学部一年、ボンボンクソガキチームVS乱破隊。

一ラウンド目から、試合の主導権は完全に乱破隊が握っていた。もし場外にジャッジがいれば、乱破隊のフルマーク(完勝)を付けていたであろう。

クソガキどもは、自分たちがこの場をエスコートし、リードしていると盛大に勘違いして鼻を赤らめている。もちろん、それはまやかしだ。乱破隊の「あざと戦略」によって、そう思わされているに過ぎない。

(バカめ……お前らは私らが卓球でラリーしているだけのピンポン玉だ。その時が来たら、地面に叩きつけ、踏み潰してやる)

里香は流れるような動作で髪を耳にかけ、ターゲットのクソガキを見つめ――正確に三秒、視線を外した。

それだけで、魚が餌に食いつくようにクソガキが釣れる。面白いように釣れる。内心、笑いが止まらなかった。

ノってきた里香は、さらにギアを上げる。クソガキを呼ぶ時にあえて指先で服の裾をくいくいと引っ張り、潤んだ瞳で上目遣いを繰り出した。

「なんで理沙さんとばっかり話してんのぉ~ん……」

(……自分でやってて思う。これ、あざとい通り越してギャグだろ! ガハハ!)

心の中で自分に猛烈なツッコミを入れながらも、表情は一ミリも崩さない。対するクソガキの目は、分かりやすすぎるほどにハートマークへと変わった。

(……男って、なんでこんなにアホなんだ……っ!)

戦いが六ラウンド目に差し掛かった頃、会長から鋭い目配せが飛んできた。こんな雑魚を十二ラウンドフルに相手する必要はない。「KOホテルへ追い込め」の合図だ。

里香はグラスを両手で包み込み、もはや真性のギャグにしか思えないトドメの一撃を放った。

「お酒、弱いんですってばぁ~……んも~……酔ったら、ちゃんと責任、取ってくれるんですかぁ~ん?」

(……あっ、これは流石にやりすぎたか?)

一瞬、背筋に冷たいものが走ったが、杞憂だった。

クソガキの鼻の下は、物理的な限界を超えてでろんでろんに伸び切っている。

(あ、やっぱアホだ、こいつ)

勝利を確信した里香の耳に、運命のゴング――「じゃあ、この後、どっか行く?」という誘いの声が響いた。


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