僕の未来、男娼、惨殺、陵辱、監禁陵辱、枕営業、獣姦…どれがマシ?
こんにちは!まずは、この作品開いてくださり、ありがとうございます。
本作は、タイトルにBLついてますがNLです。
3話で終わりです。
ちょっとクセのある作品かも知れませんが楽しんでいただけたら嬉しいです。
エルファン王国魔法学園。王侯貴族や魔力の強い平民が通う、15歳から18歳を対象とした学園。卒業式前夜のパーティーで、大広間には貴族の子息、子女たちがずらりと並んでいる。
ホールの中央には、この国の第3王子エリック・フォン・バルシュアウゲが、青い瞳に金髪を輝かせる。
ベルベットを惜しみなく使った青い衣装は、その存在感を一層際立って、明日の卒業式で主役となる事を物語っている。
そしてその隣には、銀の髪、緑の瞳が光を受けてきらめく美青年、男爵子息のユリアン・リーメンが佇む。彼は、白銀の刺繍が施された、薄黄色の何重にも重ねられたシルクの衣装を身にまとっている。その高価な衣装は、おそらく王子から贈られた品だろう。
そして、美貌だけなら学園一と囁かれる、悪評高き公爵家の令息フィルベルト・アドレーが、今まさに断罪されようとしていた。
彼の茶髪、茶色の瞳は、至極平凡な色であるのだが、彫刻のように整った顔立ちと細く繊細な髪は人を引きつける魔力さえ感じさせた。
彼の純白の衣装には赤くきらめく7つのルビーが豪華絢爛に、縫いつけられ、しかし何故か、退廃的な雰囲気を漂わせるのは、彼の不幸な生い立ちのせいかもしれない。
(ああ、これがディーナの言っていた断罪劇か……)
悪評高きフィルベルト・アドレー――そう、それは僕のことだ。
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12年前、屋敷の記憶がフラッシュバックする。
僕はアドレー家の象徴的な遺伝である金髪を持って生まれなかった。その所為なのか父は僕に大変冷たかった。
母も僕には関心がなく、両親の注目は才能・金髪・美貌に恵まれた、2歳年上の兄ギュンターに集中していた。その兄も、なぜか僕を避けるように振る舞う事が多かった。
孤独だった僕は、両親と兄の関心を引くため、我儘放題、やりたい放題で周りを困らせた。
しかし、両親の目は冷たくなっていくばかり、兄は無関心を装い続けた。
とどめとなったのは納屋が火事となった事だろう。幸いにも被害者はいなかった。
しかし近くで遊んでいた僕に容疑がかけられた。残念ながら日頃の行いが祟って放火容疑は晴れなかった。
誓っていうが納屋になど近づいていない。
その日から家人達すら僕を冷たい目で見るようになった。誰にも相手にされない悲しい幼少期。
お陰で性格はどんどん歪んでいったと思う。
7歳を超える頃には僕は我儘で傲慢な「顔はいいけど性格悪魔」
と他家では有名になっていた。
そんな僕に唯一寄り添ってくれたのが、
当時12歳のメイド ディーナだった。
ディーナは黒く大きな瞳が魅力的で長い髪を束ねて良く働く優しい娘だった。癇癪を起こす僕に嫌な顔一つせず、すぐに駆けつけてくれる。そのためか嫌われ者の僕の世話係を押しつけられた不幸なメイドでもあった。
「いいんですよ。フィル様、だってあなたの世話係になったとたん、お給金アップされたんです」
「あ、そうなんだ」
率直に物言うメイド。僕はディーナが大好きだった。
「ディーナ、僕は公爵家の息子だから、いつかお前を妾の一人にしてやってもいいぞ」
7歳の子供なりの精一杯の求婚。初恋相手にどう対応すればいいか分からず不遜な愛情表現。ディーナはにっこり笑って、そしてどつかれた。結構乱暴な女だ。
(あれ?…いやいや、ディーナは女神)
ディーナは時々、訳のわからないことをうっとりと言っていた。「BL世界サイコー」「エロエロ監禁物尊い」「早く魔法学園に入学して」など。そして陶酔するように兄を見つめていた。
僕は尋ねた。
「ディーナ、君は兄様が好きなの?」
「いえ、推しなだけです!」
子供の僕には意味がわからない。
「好きなんだよね?」
「いえ、推しなだけです!」
「好きじゃないんだね?」
「いえ、推しだから好きですよ!」
「???」
僕は推しについて理解するのを諦めた。きっと崇高で気高い僕には理解できない想いなのだろう。こうして僕のディーナへの初恋はあっけなく破れ、庭の片隅で一人泣いた。
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孤独が増す中、王子エリックから婚約の申し込みが届いた。僕の顔は王子の好みに、どストライクだったらしい。この国では同性婚は普通のことだ。
今考えると性格を知りもせず、しかも悪評高い僕を婚約者に望む王子様。
この国の将来が心配だ。
当時の僕も良く考えず、婚約の申し込みを受け入れた。家柄も、年齢も釣り合いは取れている。
両親は手のひらを返したように僕に愛想を振りまくようになった。兄は何か言いたそうだったが沈黙を守った。
僕は優しく、美しい幼い婚約者にすっかり有頂天になった。王子といれば周りの人間たちも僕をチヤホヤする。
僕の魅力ではないのだけれど……
エリック王子は僕を救ってくれた――その思いが胸に強く根を張った。
その所為か王子への恋は加速した。故に王子が好きと言ったその容姿を磨き上げ、両親には「王子に飽きられないため」と言って贅沢な服や美容化粧品を買い漁った。
勉強より美貌。僕の一番大切なことは、王子を追いかけることだった。まあ、実際、勉強は嫌いなんだよね。
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「ねえ、ディーナ、僕の顔、殿下が好きって言ってくれたけど、もっと綺麗にしたほうがいいよね?」
「もちろんです。でも勉強はしてくださいね。
多分しないんでしょうけど。
そしてフィル様は殿下に愛されようとして、明後日の方向に努力するのです。」
「みょうごにちの方向?」
「あさっての方向です。それでギュンター様がフィル様への独占欲をあらわにし始めて、極めて怪しい展開に……」
「?兄様が僕を独占したいの?まっさかあ」
ディーナは、うふふと笑った。僕もつられてフフッと笑った。ディーナの言ったセリフのヤバさは理解していなかった。
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しかし、僕との婚約を、最初は嬉しそうだったエリック王子も、14歳になる頃には冷たくなっていった。所詮は子供の気まぐれ。僕はその事を自覚しながらもどうする事も出来なかった。
ある日、突然ディーナがメイドを辞めて故郷に帰る事になってしまった。僕は慌ててディーナをとめようとした。
だって初恋が破れたとはいえ彼女は大切な存在だったから。けれど彼女の決意は固かった。実家の母親が病気になったらしい。
その日もディーナは何か不思議な事を呟いていた。
「この展開、……望んだ展開じゃないけど……
フィル様が王子の婚約者になるルートはギュンター様はユリアンと結ばれないし、私がいるとバッドエンドに転がる確率が上がるのよね。惨殺ルートはさすがにねぇ」
ユリアン?惨殺ルート?誰か殺されるの?
「ディーナ、父上にお願いして給料を倍にしてもらうから、帰らないで」
「メルツェルルートなら、今のままでも可能性はあるんだけど、うーん」
「そうだ、ディーナの母上をここに呼べばいいんだよ。そうすればここで暮らせるでしょう?お願いだよ」
「フィル様……このままだとあなたはいずれユリアンていう女顔で銀髪を持つ同級生に婚約者を掻っ攫われて、実家から追い出されて、辺境の地の商家に売られて毎日好き放題される悲惨な運命になりますよ」
「ねえ、ディーナ、たまには僕の話も聞いてくれない?」
「いつもわたしは聞いてますよ?それでフィル様、あなたに待つ過酷な運命を教えて差し上げます」
聞いてないじゃんと思いながら僕は黙って彼女の話を聞いた。
ディーナはなんでも転生者とかやらで、前世にゲームという本?でこの世界の未来を観てきたらしい。曰く、僕は悪役令息で、ざまぁ対象なのだと。
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僕の未来は悲惨だった。前提として、光属性のユリアンという主人公の青年と
攻略対象である3人の青年、
王子・エリック、
公爵家長男・我が兄のギュンター、
宰相の息子・メルツェル
の誰かがユリアンと結ばれる、もしくは、ユリアンのパラメーター不足で結ばれない、で、僕の運命が変わるらしい。
なにそれ?全部ユリアン次第なの?
1. 王子ルート(ユリアンと)ハピエン:僕は辺境の貧乏商家に売られ、男娼のような生活。
2. 王子(ユ略)バッドエンド:僕は森でエログロ展開+惨殺。
エログロはともかく惨殺展開いる!?
3.ギュンタールート(ユ略)ハピエン:僕は修道院で陵辱の日々。え?聖職者の集まりの場所で??
4. ギュンター(ユ略)バッドエンド:僕は地下室幽閉+兄から陵辱。
兄様から?!倫理観何処行った!
5.メルツェルルート(ユ略)ハピエン:僕は外交部に強制就職させられ枕営業。いいのか、そんな国…
6. メルツェル(ユ略)バッドエンド:僕は国外の変態に売られ+獣姦。なんて?
僕の未来、男娼、惨殺、陵辱、監禁陵辱、枕営業、獣姦…
ディーナは
「このストーリー作った人、フィル様が大嫌いみたいですね〜」
大笑いする彼女。
「僕、そんなに悪いことした?」
絶望する僕。
「大丈夫!わたしはメルツェルルートも美味しくいただけます」
と恐ろしい事を言った。
でも、ディーナは急に笑うのを辞めた。
「この絶望的な状況から逃げたいなら努力して『顔だけの馬鹿』から抜け出して実力で運命を打破するしかないですね」
「ええ?!『顔だけの馬鹿』?『顔だけの悪魔』じゃなくて?いつから馬鹿に変更されたの?!」
「知らなかったんですかぁ?」
ケラケラ笑う彼女。
僕は小さくため息をついて、
「努力しなきゃダメ?顔の良さだけで乗り切る方法とかない?」
とボヤいたらほっぺをつねられた。
あ、はい。勉強 頑張ります。
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そして現在、シャンデリアが煌めく学園の大広間。視線は僕――フィルベルト・アドレーに集中している。
「フィルベルト・アドレー! 貴様との婚約は破棄する!」
第一王子エリックが高らかに婚約破棄を宣言。ユリアンは悲しそうに僕を見つめる。しかし、今、口元にニヤリと笑みが浮かんだ。腹黒~。
「フィル様、もうエリック様を苦しめないで!」
ユリアンがヒロインのように涙をためて訴える。兄ギュンターやメルツェルも、ユリアンの可憐さ(笑)にボウっと見惚れている。観衆も同様だ。僕は完全に追い詰められている。
「ああ、ユリアン。君を僕の妻に迎えたい」
「……殿下」
妻に……
あ、ダメ。爆笑しそう……
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僕はディーナが教えてくれたエリックルートを思い出す。王子が僕の過去の悪事を並べ、謝罪と反省を要求する
――しかし僕は全力ですべてを否定し、泣き叫んで婚約破棄の撤回を要求する。
もちろん、婚約破棄は撤回されず、周囲からは王子とユリアンの愛を応援する声が強まる。僕は悪役令息として完璧に役割を確定させられてしまうらしい。
王子を奪われた僕は半狂乱になり、ナイフでユリアンに襲いかかるが、衛兵に取り押さえられ王宮の牢獄へ。そこから僕の転落劇が始まる――。
学園で無様な醜態を晒した上、王子から婚約破棄された僕をその日のうちに父は国の外れの商家に二束三文で売り払い、粗末な馬車で送られてしまう。
夫となる男は80歳を過ぎていて僕は毎日介護をさせられるんだけど、まあ、介護はいいよ。そう言う職業があるんだからね。問題はその家の息子達に男娼の如く扱われる事。
ディーナが嬉しそうに言っていた。
「泣き叫ぶフィル様、そのスチルがすごくエロ可愛いんです♡」
楽しそうだね。ディーナ……
初恋の女性にエロ可愛いとかいわれる複雑な男の気持ちわかります?
でもディーナはすぐスンとなって
「とりあえず、まず字を綺麗に書けるようになってくださいね」
彼女がまじめに語る時、それは僕の不幸を回避する助言。僕は直ぐに文字のレッスンを始めた。
ディーナが本気で心配してくれてる事、ちょっと嬉しい。僕って、チョロい。




