表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵でSPとか、聞いてない  作者: 岳川渓湖
3章 南のかくれんぼ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/39

33

 ズズズズズズ。


「いいなぁ」


 店から出てきた拓人どこか羨ましそうに彼を見やる。

詩織は、ペンッペンと手を叩き汚物を見やる。

駆け出す宮本。沈む黒川。関わらまいとする和希と亜紀。


「大丈夫すか、先輩」


 助けると思いきや、写真を一枚ピシャリ。


「相変わらず、最高のボディタッチだ」


 服をボロボロにしながらも、毅然と立ち上がる黒川は、何食わぬ顔で詩織に近づき一言。


「あなたが好きです。付き合ってください」


 満面の笑みで。


「消えろ」


 玉砕である。


「もう、諦めましょうよ。先輩。女々しいですぜ?」


「俺は一途な愛を捧げている。この人に、高校の頃から」


「えーと、ひ、ひ……ヒキガエルさんでしたっけ?」


 一文字もあってませんよ。


「あなたの黒川翔です。告白は6570回目。あなたが忘れてもギネスに記録を残しました。この愛は世界的な証です」


 どこからか、バラを1本。手品かな?


「世界的に迷惑です」

「いやぁー! 照れ屋さんだなぁー!」


 詩織は、黒川の差し出したバラを——無言でへし折った。パキリ、と乾いた音が響く。


「あぁっ……! マイ・ロマンティック……!」


 黒川、胸を押さえて崩れ落ちる。

だがその視線はすぐに横にいた和希へ刺さった。


「……お前、見てたよな?」


「いや、見てただけだけど」


「見てんじゃねぇーよぉぉ!」


 近いちかい。顔近いって。


「おめーよぉぉぉ!」


 うるせぇ、うるせぇ。耳元で怒鳴んな。


「詩織さんと一つ屋根の下だからって調子のんなよなぁ!」


「のってねぇって」


「1時間以上、同じ空気吸ってたらショっピくぞ? アァア!?」


 こいつ警察か?


黒川が和希の胸ぐらをつかみかけた、その瞬間。


「——お前ら、そこで何騒いでんだ」


 ズンッ、と地鳴りのような低音。

女巡査部長がコンビニ袋を提げて立っていた。

空気が一瞬で凍りつく。


「ぶ、部長……え、早くないすか。休憩——え、あの、その……」


 黒川はさっきまでの威勢が嘘のように背筋ピーン。


「黒川。お前、また詩織を困らせたな?」


「困らせてないです! 愛が深いだけです!」


「愛は届くものだけに使え」


「名言めいてるけど刺さる! 心に刺さるぅ!!」


 黒川は胸を押さえてガクリと崩れ落ちた。

 部長はそのまま和希たちに視線を滑らせる。


「報告書、書けと言ったよな?」


「いや、あ……」


「ん?」


 黒川の叫びを最後に、意識を失った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ