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探偵でSPとか、聞いてない  作者: 岳川渓湖
3章 南のかくれんぼ

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 雨がぽつりと落ち始めた夕方。

 交番の前を、黒川と宮本がいつものように歩いていた。


「先輩、なんか今日ほんとイヤな感じしますよ。胃がキリキリする」

「宮本、お前の胃は年中キリキリしてるだろ。気にすんな」


 そう言っていた黒川の足が、不意に止まった。


「……あれは……っ!」

「え、何すか先輩……え? あぁー……」


 宮本は視線の先を見て、眉をしかめた。


「桜川の連中でさぁー……」


 表情は静かだが、ただそれだけで道の空気が締まる。

詩織は無表情で雨の道を歩いていた。

その足元には、気圧でひしゃげる空気さえ見える。


詩織がふと顔を上げ、こちらを見た。


(げ……!!)

(こっち見た!)


 宮本が止める暇もなく、黒川は地面を蹴った。


「し、お、り——さぁぁぁんんんん!!!!」


 ゴリラムーブ全開。

 雨の中、両手を広げて同級生にダイブしようとした瞬間——


 ——パァンッ!!


 詩織の手刀が、雨粒ごと空間を裂いた。


「ぐぼっ!!」


 黒川の身体は綺麗な放物線を描き、道路脇の植え込みへダイブした。

葉っぱが舞う。


「せ、先輩ィィィ————!!!」



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