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探偵でSPとか、聞いてない 【第一稿版】  作者:
【お知らせ】ここからのエピソードを改稿中
28/39

28

 翌朝。

朝食のトーストを半分齧ったまま、南はぼんやりテレビを見ていた。俺はというと、昨夜からずっと考えていた——

 

どうすれば、あいつをちゃんと家に帰せるのか。


「なぁ、今日さ。俺も警察行くじゃん」

「……わかってるよ」


 そう言いながらも、南の視線は窓の外へ。

あの目は、本気で嫌がってるわけじゃない。

迷ってるだけだ。


「こうしよう。俺が一緒に謝る。『彼氏です、すみませんでした』って」

「やめて!? 変な誤解うむやつ!!」


 先程までのしおらしさがなく、めっちゃ焦ってるよ。


「じゃ、『兄です』しか……」


 なんだよ。最高かよ。


「もっとややこしいわ!」


 やり取りの最中、部屋の奥から足音。千佳姉がコーヒーを片手に現れた。


「ふふ。面白いわね、あんたたち」

「千佳ねぇ、笑ってないでなんか丸く解決する方法はないのか?」

「助けてあげるけど……条件つき」

「条件?」


 千佳はにやりと笑い、南をじろっと見た。


「――和希、あんた、南ちゃんに変装してみない?」


 ……数分後。


 鏡の前に立つ俺は、もはや誰だかわからなかった。

千佳のメイク技術が本気を出した結果、

そこに映っていたのは、限りなく南に近い俺。


「うわ……これ、本人じゃね?」

「やば、双子?」

「……身長が30センチ違うけどね」


 千佳がニヤッと指摘。

そう、致命的にバレる。

これじゃあ南役どころか、進撃の南だ。


「……やめよっか」

「やめて」


 残念そうな千佳と真顔の南。えぇ? ポージング気に入らなかった? ホームレス中学生の表紙のやつだけど。もっと、布教せねば。


「そんじゃ、千佳ねぇ。条件聞いたんだし、アイディアくれよ」

「ないわ。正面からぶつかりなさい」


 即終了。また女装損かよ。俺もノリノリだったけどさ。このくだらない作戦で、少しだけ南は笑っていた。


「仲直りなんて必要ないよ」

「はぁ!?」

「答えは自分で考えなさい」

「ちょ、どこいくんだよ! 家族みんなで行くんじゃ」

「誰もそんなこと言ってないし。アンタのその先入観? いい加減直しなさい。じゃ、わたしはバイトだから。頑張ってね~」


 軽快な足取りで玄関へ走っていく千佳姉に、なんとなく背中を押された気がした。

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