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探偵でSPとか、聞いてない  作者: 岳川渓湖
2章 家出します……

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手探りながら、視界を掻き分ける。

ドアはドアは、どこだ!

むにゅッ。


「……」


むにゅ。むにゅ?

なにこれ。柔らかい。これは、あれだ。スポンジだよ。うん。そう、思い込む。


「どこ触ってっ!」

「ちがっ、偶然っ、いや運命で!」


 ドンっと鈍い音が響き渡る。

びしょ濡れのまま、ドローンのサーチライトが俺を照らしていた。



 そして今。

足が痺れている。

もう何時間、正座させられてるんだろう。デジャブかな。


「いやぁー! あの裏金のデータがリフォームに役立つとはねぇー」

「まさかスパイ工作の資金源だったなんて、驚きだよ」

「スポンサーからの謝礼金にはびっくりした。書斎部屋も欲しかったなぁ」

「贅沢言わないの」


 テンション上げ上げの亜紀、千佳、詩織。探偵なんて名ばかりで、スキャンダルを売りさばく週刊誌の連中だ。しかも色々と新事実が発覚してるけど、それ、俺の頑張り一ミリも還元されてませんよね?


 そして、向かいの席——湯上がりの南が、腕を組んでこちらを睨んでいる。タオルドライした髪から水滴が落ち、床を濡らしている。


……さっきのことを思い出すだけで、心臓が死ぬ。


「のぞき、ゴミカス……」

「和希。迷惑かけてもいいって言ったけどさぁ」

「ヘイビクシー、どうすれば弟の戸籍消せる?」


 南の殺意、真琴の同情、美羽の検索。

 三者三様の感情ありがとう。

いつも厳しい真琴姉さんの優しさに涙が出てくるよ。


「話し合いましょう?」

「○ね!」


 やーっべ。まだ怒ってらっしゃる。

人生のセーブポイントがないとわかっているけれど。

あればと思った、この日を忘れることはないだろう。

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