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探偵でSPとか、聞いてない 【第一稿版】  作者:
【お知らせ】ここからのエピソードを改稿中
23/39

23

 朝の光がブラインドの隙間から差し込み、否応なしに目が覚める。


「おはよ、和希」


 湯気の立つカップを片手に、真琴姉が部屋に入ってきた。


「目が死んでる。ラブコメの特典ポスターでも見てたんじゃない?」

「いや、ちが……って言い切れないのがつらい」


 コーヒーを置きながら、美羽姉がモニターを操作する。


「そういえば、ニュース見た? 家出中学生の件」


 テレビをつけると、わずか三分ほどの短い報道が流れていた。世間にとっては、それくらいの出来事でしかないのだろう。問題が深刻化しないかぎり。


「市内で十五歳の女子が行方不明。セーラー服、保護者への連絡なし」


 息が止まった。画面にはぼやけた監視カメラの静止画。光の加減で顔は判別できない。けれど——見間違えるはずがない。俺を「お兄ちゃん」と呼んだあの少女だ。胸の奥が痛む。理屈ではわかっている。ニュースとして処理されるべき対象だと。だけど、あの声と小さな手の感触は、理屈では押さえられない。

本当に、これでいいのか。

テレビの静止画だけが、無言で問いかけてくる。


「和希、ちょっといいか?」


 声の主は昌之兄。落ち着いた顔で資料を手にして立っていた。俺は慌てて顔を上げる。


「……ああ」


 兄はため息をつき、資料をテーブルの上に置いた。


「これは家出少女の身元だ。行方不明になった子はあの子でまちがいないだろうよ」


 冴島南。中学三年生。だよなぁ……。

頭の中で映像がフラッシュバックする。先輩の顔が。


「保護者にはまだ連絡していない。警察と相談して、明日には対応する予定だ」


 俺は言葉が出ず、ただ黙ってうなずく。胸の奥がざわつき、手元のコーヒーが重く感じる


「……お前ならどうする?」


 その問いに、答えは出せない。正しいことはわかっている。でも、それだけで済ませていいのか、胸が痛む。


「考えとけ。動くなら早めに」


 そう言うと資料を片手に部屋を出ていった。

残されるのは揺れる心だけ。

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