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駅から少し離れたカフェ。ここは、とても静かで、クラシックな空間に統一された店内。
オシャンティーで、ドラマチックなベストプレイス。
目の前には、紅茶を飲む冴島先輩。バックにはキーホルダーをつけていることに少し意外性を覚える。なんのだろう? 二次元を愛する者は自然と考察してしまうものだ。うん、レアコレではなさそうだな。
妙な沈黙。言葉が出てこないんですけど。
ドギマギ、ドギマギ。
自然と口元の艶に目が奪われる、と思ったか?
残念、俺は彼女の後ろにいる店員にハラハラしていた。
なんと、カウンターには千佳ねぇがいた。
あの、ここでバイトしてるの? 知らなかったよ。どうでもよくて。
いくら、探偵の依頼がないとき、暇とはいえ、自由すぎません?
どこの公安だよ。
ニヤニヤ。
何笑ってんだあの女。「え? デート?」でもいいたげな顔だよ。
「……」
何か話を切りだそうとしている冴島先輩。
「桜川くんって、探偵事務所で働いてるよね?」
「どうして……それを」
「じょ」
「いやぁー! 人違いですよ! うぅん!」
「して」
「ないですよねー! あっ、探偵事務所でバイトはしてますけどね!」
全く。どういうことだってばよ。何で知れ渡ってんの?
話を本題に俺は無理やり入る。
「なんかあったんですか?」
「いや、その……」
言葉を濁す彼女。カウンターで口を押さえて笑う千佳。あとで、ぜってぇ泣かす。返りうちにあうだろうけど。
「探偵に依頼するのって高いのかな?」
「ん? まぁモノに寄りますよ」
わりとうちの探偵事務所は肉体労働ですが、雑用ならわりと安価です。
「そのお願い聞いてくれるかな? お礼なら」
「なんでもですか? なんでもですよね?」
「……ちょっと、何言ってるのか分からないけれど、一つだけ相談があるんだ?」
もぅ、じれったいな。早く言って下さいよ。
「妹……家出したんだ。一週間前から」
うつむく彼女を見たその瞬間、俺はあの子の顔が理由もなくよぎる。
なぜなら、似て非なるものだから。




