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探偵でSPとか、聞いてない  作者: 岳川渓湖
1章 妹は、幽霊でもかまいませんよ?

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 真琴は深いため息をついて、席を立つと背伸びをし、くるりと踵を返す。

その瞬間、扉の向こうからまたもやノック音が響いた。


「失礼しまーす。未来さん送り届けて、コンビニ行って、ついでにトイレットペーパー買って、明日のお弁当つくりおきしときましたよー」


 めっちゃこき使われてる専属ドライバー、斎藤拓人である。


「真琴さん。残業代でますよねー」

「みなしよ」

「ハハハ、つまり出ないってことですかぁー。ありがとうございまぁす」


 どこか誇らしげにハァハァ言ってるドMを放置しつつ、俺は本題に戻そうと口を開いた。


「で、これからどうすんだよ。義姉さん。兄貴も身元調査してるんだしさぁ、しばらくの間だけでも家で預かろうよ」

「そ……ならアンタは荷物まとめて出ていきなさい」

「うーん、ちょっと待って」

「あの子の服は昔私らがつかっ」

「リビング! 廊下でもいいから!」


 おいおい、何話進めちゃってんの真琴ねぇさん。


「お金ならほら」


 5000円札が差し出される。

 ポケットマネーで人権を買われた気分だ。


「同情するなら部屋をくれ!」

「たくっ今時のガキは……」


 真琴は深いため息をついて、再び背伸びをした。

その白Tシャツの裾がわずかに上がり、俺は反射的に視線を逸らす。

――いや、見てない。断じて。


「じゃ、決まり。拓人、家まで送って。あと、今日の10時までに来客準備しといて」

「わかりましたー」


 ニヤケ顔の男はまんざらでもなさそうだ。さて、俺は机の上の書類をまとめてよう。


「はぁ……。俺、なんでこんな目に……」

「アンタは事務所のソファーで寝なさい」


 帰れない。っベー、さりげなくあの娘とお近きになるなるチャンスだったのに。

 美羽姉が淡々と打鍵しながら呟く。


「妹百合関連フォルダにまとめとくから。売るやつ」

「既に在庫確認してる理由について詳しく聞こうか? えぇ!」


 真琴がコーヒーカップを片手に振り向いた。


「ついでに寝言の録音しといたから」


 ……時が止まった。

 美羽が画面から目を離さずに追い打ちをかける。


「音声データ、オン」

「やめろおおおおお!!」


 ――その夜、シスコン音声ファイルが桜川家のグループLimeに投下されたのは、言うまでもない。

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