夏らしく輝くような写真が撮りたい・・・⑥ 「地中の駅」
第51話目とての投稿作品は、お題「夏の輝き」に対して書いた『エッセイ作品』⑥です。
地中の駅は、13490mもの長い長いトンネルの中に造られた、地中深くにある駅です。
地中の駅のホームから列車が通るトンネルを眺めても、トンネルの出口は全く見えません。
地中の駅のホームから階段を見上げると、遥か遠くに地上の明かりが小さく輝いているので、あそこに出口があるって判ります。
楽に高低差の移動が出来る設備、エレベーターもエスカレーターも、当然の如く一切ないのです。
特定日しか走らない特急列車を含めても、1日に多くても7便しか列車が止まらない無人駅なんですから、そんな便利な設備がある訳がないですよね。
だから地上に向かって階段をひたすらに、約10分かけて自分の足で登るんです。
地中深くにあるホームから地上に出るまでの階段が462段、さらに改札口までの階段が24段、標高差82mを歩き切らなければ駅の外には出られないのですから。
おまけに、地中深くにあるホームには今はトイレもありません。
かつては地中深くにあるホームでもトイレが利用できたのだそうですが、使用状況を総合勘案して、今は使用禁止となっているそうで、チョット不便になりました。
地上に向けて階段を登って行く訳ですが、地中深くにあるホームからの階段両脇には、それなりの数の蛍光灯が灯っているから意外と明るくて良いが、もしも停電になったらと思うとゾッとしますね。
三河の鳳来寺参道の石段1425段に比べれば、たったの3分の1だと自分に言い聞かせて、ひたすら階段を登るんです。
地中深くにある駅のホームをただ観るだけのために、観光で訪れた方々が階段を降りていくのと何度もすれ違うので、その度に「こんにちは」と挨拶をします。
約10分階段を登ると、やっと地上だ、真夏の日差しが眩しい。
涼しい少し寒いくらいだった地中深くにあるホームと違い、地上は真夏の暑さなんだから、暫くすると汗が滲んでいることに気づきます。
明るい地上に出ることで、暑さを感じることで、何だか現実の世界に戻って来てしまったような気がして、今チョットだけ残念な気分です。
南 東 北 西 天空 地中 と6作品書いてみました。
「夏らしく輝くような写真が撮りたい」は、たぶんこれで完結です。
ストックがありませんので、次の作品投稿は未定、いつになるか判りません・・・




