第5話 くすんだ戦士に、恋しくて
「乙女ソルジャー!しかし…」
壁に強打した肩を押さえながら、九鬼は包丁を持つ戦士を凝視した。
茶色に見えるし…赤みがかった深紫にも見えた。
「乙女…ディープパープルか?」
目の前にいる乙女ソルジャーの色をそう判断しょうとした瞬間、乙女ソルジャーは包丁を投げつけてきた。
避けれたけど、壁に包丁が突き刺さった位置は、明らかに九鬼の額だった。
(殺しに来てる!)
九鬼は眼鏡ケースを取りだし、変身しょうとしたが、眼鏡がかからなかった。
「チッ」
九鬼が舌打ちした瞬間、乙女ソルジャーは目の前で、拳を握り締めると、体を捻るように回転した。
「乙女ビンタ!」
バックアンドブローのようなビンタが、空気を切り裂き、風圧で、校舎の窓ガラスがサッシごと、抉り取られた。
その威力と自らの状況を冷静に判断した九鬼は、後方へとジャンプした。
すると、破壊された窓の近くの出入口から、携帯をいじりながら、蒔絵が校舎から出てきた。
「グリーン!」
九鬼と謎の乙女ソルジャーの間で、足を止めた蒔絵は顔をしかめた。
「え!」
「逃げて!」
九鬼が叫んだが、目を輝かせた蒔絵は振り返り、
「まじかよ!」
走りだし、携帯で破壊された窓をカシャカシャと撮影した。
「すげえ〜!まじ、すげえ〜」
と興奮した後、映り具合を確認しながら、その場を後にした。
別に、九鬼や乙女ソルジャーを見ることもなく…。
ちょっと唖然とした九鬼は、ほおっと胸を撫で下ろした。
「まあ…いいわ。怪我さえしなければ」
九鬼は息を吸うと、ゆっくりと吐き出し、呼吸を整えた。
月影キックで、エネルギーを使ってしまった為、しばらくは乙女ブラックにはなれない。
生身で、相手しなければならない。
(ここは…生徒の出入りが多い!場所を変えないと)
九鬼は、手を拝むように前に出すと、謎の乙女ソルジャーとの距離を計りながら、ゆっくりと摺り足で後ろに下がっていった。
「乙女アイロン!」
謎の乙女ソルジャーは、巨大なアイロンを召喚した。蒸気をはっしながら、赤く燃えた表面を向けて、九鬼に突進してくる。
(勝負は一瞬!)
九鬼は、軸足を確認した。しっかりと地面を踏み締めると、向かってくるアイロンではなく、乙女ソルジャーの目をみつめた。
(…)
攻撃のイメージを頭でシミュレーションする。
「乙女クラッシュ!」
謎の乙女ソルジャーが、アイロンを突きだした刹那、
九鬼は後ろに上半身をのけ反り、アイロンを避けると、ブリッジのように地面に両手をつけると、軸足を蹴り、回転するように、一回転した。
その時、右足は乙女ソルジャーの眼鏡を蹴り上げていた。
九鬼が回転し、地面に着地すると、
眼鏡が空中に浮かぶのは、同時だった。
勢い余って、九鬼の横を通り過ぎた乙女ソルジャーの変身が解けた。
九鬼は落ちてくる眼鏡を、キャッチした。
「危なかった…。きちんと、フレームを調節されていたら…取れなかった」
掴んだ眼鏡を見つめ、九鬼は後ろを振り返った。
変身が解け、気を失っている女を見て、九鬼は驚いた。
「平城山さん!?」
九鬼は、加奈子を知っていた。不純異性交遊の加奈子。
問題児として、生徒会内で有名だった。
「彼女が、乙女ソルジャー!」
倒れている加奈子に近寄ろうとした九鬼は、背中に悪寒が走り、振り返った。
いつの間にか…女が立っていた。
九鬼は、その容貌に絶句した。
いい歳した大人の女が、猫耳をつけ、フリフリのピンクのドレスを着て、立っているのだ。それも、腕を組み、偉そうに少し体を仰け反らしていた。
「…」
九鬼は無視することにして、加奈子に駆け寄った。
「平城山さん」
加奈子を抱き起こそうとした九鬼に、影が落ちた。
「無視するな」
いつのまにか、九鬼の前に、猫耳の女がいた。
見上げた九鬼は、猫耳の瞳の冷たさに、絶句した。
乙女ソルジャー月影
【くすんだ戦士に、恋しくて】
スタート!
「あ、あなたは?」
気丈を装い、九鬼は加奈子を抱き起こそうとしたが、
突然吹っ飛ばされた。
何もされていない。
猫耳の目を見ただけで、吹っ飛ばされたのだ。
九鬼は何とか受け身を取ると、回転しながら立ち上がった。
「貴様は何者だ!」
一瞬で敵だと判断した九鬼は、構えた。
その様子に、猫耳は鼻を鳴らした。
そして、加奈子の腹を踏みつけると、
「ある時は、ナンパ師!ある時は、イケメン!そして、ある時は猫耳のかわゆい女子!その正体は!」
猫耳は、ピンクのドレスを破り、脱ぎ捨てた。
その瞬間、月が赤に変わった。
「魔将軍!ビューティー!」
全身を黒い鱗のようなものに覆われ、鋭い爪が赤く輝いていた。猫耳が頭の上で、蠢いていた。
「魔将軍ビューティー!」
九鬼は苦々しく、その名を口にした。
「乙女ブラック!九鬼真弓!」
ビューティーは、鋭い爪を九鬼に向けると、
「貴様には、送り込んだ怪人達をことごとく!倒された恨みがある!」
「クッ!」
「同じ乙女ソルジャーで、始末させてあげようと思ったけど…」
ビューティーは、足に力を込めた。加奈子の腹に食い込んだ。
「さすがだわ!他のソルジャーと、年季が違う!」
ビューティーはにやりと笑い、
「だから、特別にあたしが殺してあげるう!」
爪がさらに伸びた。
「覚悟しな!」
「フッ」
九鬼は笑った。
「何がおかしい!」
「あんたを笑ったんじゃないよ」
九鬼は、踏みつけられている加奈子を見ながら、
「うちの生徒が踏まれているのに…震えているあたし自身に笑ったのさ」
九鬼は唇を噛み締め、
「この学校の生徒であり、乙女ソルジャーの仲間である加奈子から、足をのけろ!」
そう叫ぶと、九鬼はビューティーに向かって走り出した。
そんな九鬼を、ビューティーはせせら笑った。
「変身できない!小娘が、吠えるな!」
「変身!」
九鬼は自らの乙女ケースに、加奈子の眼鏡をつけた。
すると、乙女ケースが輝き、黒い眼鏡が飛び出した。
加奈子の眼鏡から、ムーンエナジーをチャージしたのだ。
「何!?」
驚くビューティーに向けて、ジャンプした九鬼の体が乙女ブラックに変わった。
「ルナティックキック!」
ビューティーを危険と感じたブラックは、いきなり必殺技を繰り出した。
「馬鹿目!魔神に通用しない技が、あたしに通用するか!」
ビューティーは余裕で、両手を広げた。
ブラックは空中で、さらに回転を加えた。
回転する体が、ドリルのようになり、
「二式!」
ブラックは蹴りを放つ瞬間、弓の如くしなりも加えた。
「何いいい!」
ルナティックキック二式を、無防備に食らったビューティーの胸の鱗が、吹き飛んだ。
ブラックはそのまま、ビューティーの真後ろに着地した。
「あたしの鎧が…」
露になった乳房を見て、ビューティーはわなわなと体を震わした。
ブラックは振り向き、もう一度蹴りを放とうとした。
が、
突然、ブラックの体が傷だらけになると、爆発した。
「な!」
自分に何が起こったかわからずに、ブラックは九鬼に戻った。
ダメージは大きくて、九鬼は頭で理解できないまま、膝を落とした。
「オホホ!」
ビューティーは笑いだした。
崩れ落ちた九鬼に、体を向けた時には、胸元はもとに戻っていた。
「だから言ったのよ!胸もない小娘が!あたしに勝てると思ったのか!」
笑う度に、ビューティーの胸が揺れた。
「クソ…」
九鬼はすぐに、立ち上がった。
「あたしは、この学園の生徒会長!生徒が倒れているのに、あたしが倒れるわけにはいかないわ!」
九鬼はまた、乙女ケースを握り締めた。
「まだやる気!」
ビューティーは呆れた。
「へんし…」
「そこで、何してるの!」
突然、九鬼の後ろから声がした。
「チッ」
ビューティーは舌打ちした。
「早く帰りなさい」
その声に振り返った九鬼は、こちらに近付いてくる結城哲也に気づいた。
「先生!」
九鬼は、哲也に叫んだ。
「逃げて!」
「何を言ってるだ?生徒会長といえども、とっくに下校時間は過ぎているぞ。早く帰りなさい」
「先生?」
哲也の普段と変わらない様子に、九鬼ははっとして、振り返った。
「!?」
ビューティーは消えていた。
「誰かいたのか?」
哲也は、九鬼の向こうを見た。
「九鬼さん!」
校舎から、飛び出して来た夏希は、唖然としている九鬼と後ろにいる哲也に気付き、足を止めた。
「どうなったの?」
夏希に遅れて、飛び出してきたあたしは、九鬼の後ろにいる哲也と目があった。
「お兄ちゃん…」
「里奈…」
哲也はあたしに気付いて、顔をしかめた。
「お前も早く帰りなさい!」
「は、はあい」
あたしは慌てて、固まっている九鬼の腕に手を回すと、無理矢理その場から動かした。
「行きましょう」
引きずるように、九鬼を連れていくけど、
九鬼はある一点を見つめながら、呟くように言った。
「あり得ない…」
「え?」
あたしは、九鬼の視線の先を目で追ったけど、別に変なところはない。
首を傾げたあたしは、知らなかった。
窓が、破壊されたのに…もとに戻っていたことに。
九鬼ははっとして、
「平城山さん!」
あたしの手を振りほどくと、倒れている加奈子に向かって走った。
気を失っている加奈子を背負うと、九鬼は歩き出した。
「どうしたんだ!その生徒は、大丈夫なのか!」
加奈子に近付こうとした哲也を、場の空気を読んだ夏希が止めた。
「だ、大丈夫ですので」
夏希が壁になっているうちに、あたしは九鬼と頷き合うと、走り出した。
校門を出て、しばらくすると、九鬼は加奈子を道に降ろすと、学園の外壁にもたれさせた。
「この子は?」
あたしは、気を失っている加奈子の顔を覗き込んだ。
知らない子だ。
一年ではない。
「あたしと同じ、二年の平城山加奈子だ」
九鬼は、加奈子の体勢を変え、背中側から両肩を掴むと、気合いを入れた。
「そして、乙女ソルジャー」
「乙女ソルジャー!」
あたしは驚いた。
九鬼は頷き、
「敵の幹部に、操られていた」
「う、う、うん…」
加奈子は気がついた。
ゆっくりと目を開けた加奈子は、いきなり視界に映った九鬼に、声を上げて驚いた。
「ま、真弓!」
座りながらも、手だけで加奈子は九鬼から逃げた。
「な、何もしてないからね!け、今朝は何かあったけど…い、今はし、してない」
しどろもどろになる加奈子を、九鬼は冷静に見つめ、
「体はどう?大丈夫?」
加奈子の全身を確認した。
「そ、そりゃあ〜昨日のあたしとは、違うけど…って、どうしてあんたが知ってるのよ!ま、まさか!あんた、見たと、とか」
妙に、狼狽える加奈子を見て、九鬼はほっとした。
「何とか…大丈夫のようね」
微笑みながら、九鬼は眼鏡を返した。
加奈子は受け取った眼鏡に、目を落とした。
「こ、これは?」
「フッ」
九鬼は立ち上がった。
「今日はもう遅い。明日説明するわ」
そう言って、加奈子から離れようとした時、
校門の方から、悲鳴が聞こえた。
「夏希!」
悲鳴は、夏希の声だった。
あたしと九鬼は、校門に向かって走った。
「え!ど、どうしたの!」
置いてきぼりになった加奈子は、九鬼達の背中に手を伸ばした。
「夏希!」
あたしと九鬼が、校門をくぐるとすぐに、夏希がいた。
苺から、蛇が生えているという異様な外見をした魔神がいた。
夏希は、無数の蛇に絡み付かれていた。
「ぬるぬるするようお!」
夏希は、あまりの気持ち悪さに泣きそうになっていた。
「うちの生徒に、なんてことを!」
九鬼が、あたしより前に出た。
「私は、魔神ヘビイチゴ!乙女ソルジャーよ!この場で死ぬがよいわ」
ヘビイチゴは、蛇を飛ばしてくる。
九鬼は蹴りで、蛇を叩き落とすと、
「いくわよ」
「う、うん!」
気持ち悪いけど、やるしかない。
あたし達は、乙女ケースを突きだした。
「変身!」
「え!?」
あたし達を追いかけて来た加奈子の目の前で、乙女ソルジャーに変わる。
「闇夜の刃!乙女ブラック!」
「恥じらいの乙女レッド!」
あたし達は、ヘビイチゴに向かって、突進する。
ブラックは速い。
ヘビイチゴの表面の穴から、体毛のように生えている蛇達の攻撃を、すべてかわすと、夏希に絡み付いている蛇の束を、手刀で切り裂いた。
「大丈夫?」
そのまま、夏希を抱き抱えると、ブラックはジャンプした。
唖然としている加奈子の前に、着地すると、夏希にまだ絡み付いている蛇の破片を払った。
「真弓…」
加奈子は、乙女ブラックになった九鬼を見つめた。
「きゃあ!」
「おのれええ!」
腹いせなのか…すべての蛇が、あたしに絡み付いた。
ものすごい力で、締め付けると、蛇達は舌であたしの全身を舐めまわした。
「き、気持ち悪いよお〜」
「レッド!」
九鬼は、あたしに駆け寄ろうとしたけど、どこからか闇に紛れて現れた下っぱ達に囲まれた。
「な、何よ!これ」
加奈子は、全身黒タイツで、棍棒を持った下っぱを見回した。
「チッ!」
ブラックは、夏希と加奈子を背にしながら、下っぱと対峙した。
蛇の舌は異様に長く…首筋や、耳の裏を這い、そしてスカートの中に入っていく。
「い、いつも、あたしだけ」
またお約束のように、スカートが捲れていく。
下っぱは囲みながらも、なかなか近寄って来ない。
少し苛立つブラックに、夏希が言った。
「ブラック!あたしも、戦います!」
夏希は、ブルーの乙女ケースを取り出した。
「変身!」
眼鏡が飛び出し、夏希は乙女ブルーに変わった。
「え!」
加奈子は、夏希の変身に目を丸くした。
「で、でも…どうしたら」
下っぱを見て、おろおろするブルーに、ブラックが言った。
「乙女の武器を召喚するのよ!」
「え!で、でも…どうしたら!」
狼狽えるブルーに、
「月に願うのよ!」
それだけ言うと、ブラックは下っぱに向かっていく。
回し蹴りを、下っぱに食らわすブラック。
「い、意味わからない!」
ブルーはさらに狼狽えた。
「月に手を掲げろ!」
裏拳を叩き込むと、ブラックはブルーに顔を向けた。
「きい!きい!」
棍棒を振り上げて、ブルーに襲いかかる下っぱ達。
「きゃあ!」
ブルーはパニックになりながらも、月に手を上げた。
すると、何かが手の中に現れた。
ブルーは、それを下っぱに向けた。
すると、霧のようなものが出て、下っぱ達が苦しみだした。
「これは?」
ブルーは、召喚したものを見た。それは、スプレーだった。
乙女スプレー。催涙ガスを噴射するぞ。
「えい!」
ブルーは、周囲に催涙ガスを噴射した。
ブラックは、空中に飛び上がり、何とか避けた。
「ききいい!」
だけど、中には我慢強い下っぱがいた。
催涙ガスをものともせずに、ブルーに襲いかかる。
「いやあ!」
ブルーはスプレーを、そいつに投げつけると、また月に手を向けた。
また何かが召喚された。
それを、ブルーは近付いてきた下っぱに、叩き込んだ。
青白い光が、下っぱとブルーの間で発生した。
それは、電流だった。
手にしたのは、乙女スタンガンだ。
ブルーは、右に持ったスタンガンを確認すると、左手を月に向けた。
すると、また何かが召喚された。
ブルーが、それを発動させると、ものすごい音が周囲を震わした。
乙女ブザー。
これで、夜道も安全だ。
「あ、あたしの武器って…すべて、防犯グッズかよ!」
ブルーは、ブザーを捨てると、スタンガンを次々に下っぱに叩き込んだ。
「こうなったら、やけくそよ!」
下っぱ達と戦うブラックとブルーを見つめながら、加奈子は手に持った眼鏡を握り締めた。
「真弓」
特に、ブラックを見つめながら、加奈子は思った。
(あたしは…生徒会長になりたかった…)
コンパばかりに、明け暮れている加奈子だが…
一年の時はこの学園の為に、働きたいと思っていた。
だけど、同年代に九鬼がいた。
誰よりも、この学園のことを考え、特に生徒の為に、身をこにして働く九鬼を見て、敵わないと思った。
一年にして、圧倒的な票を集め、生徒会長に当選した九鬼。
そんな光を浴びて、働く九鬼…。それなのに、九鬼にはどこか影があった。
こんなに恵まれているのに、満足していないように見えた九鬼が、加奈子は気に入らなかった。
(だけど…)
九鬼は戦っていたのだ。
学園の…生徒の為に…。
(あたしは…)
加奈子は、手のひらの上にある眼鏡に、目を落とした。
下っぱ達は、ブラックの攻撃で、加奈子には近寄れない。
(あんたに…守られるだけなんて嫌だ)
加奈子は、眼鏡をかけた。
(あたしは、あんたと対等でいたい!)
加奈子の姿が変わる。
それは、くすんだ色だった。
普通の人は、この色を知らないだろう。
だけど、加奈子は知っていた。
まだフィットしていない眼鏡を人差し指で上げると、
キリッと前方を睨んだ。
「乙女どどめ色!行くぜ!」
加奈子は、前に出た。
「加奈子!」
ブラックは、変身した加奈子を見た。
「真弓…いや!ブラック!こいつらは、任せろ!早くレッドのもとへ」
その言葉に、ブラックは頷いた。そして、ジャンプすると、下っぱの群れを飛び越えた。
どどめ色も頷くと、手を月に向けた。
そして、召喚された武器を下っぱの1人に突き立てた。
乙女包丁。
下っぱの腹に、突き立てた包丁を抜くと、リアルに血がふき出した。
血を見て、にやりと笑うどどめ色に、味方であるブルーも引いた。
下っぱも思わず、どどめ色の周りから離れた。
「白か!つまらんな!どうせ、毎回見られるのなら、もっと色っぽいのをはきなさい!」
あたしのパンツを見てる癖に、説教臭く言うヘビイチゴに、ムカついてきた。
「舐めるな!」
あたしのパワーが上がり、蛇の束を一気に引き千切った。
そして、あたしはヘビイチゴに突進すると、頭突きをぶちかました。
「うぎゃあ!」
ヘビイチゴの頭の天辺が、あたしの額の形にへこんだ。
「私の鋼鉄のボディが!」
「あたしを舐めるな!」
あたしは、蹴りをくらわした。
ヘビイチゴの体が、バランスを崩し、ふらついた。
「レッド!」
頭上から、ブラックの声がした。
「ブラック!」
あたしの正拳突きと、空中から落下してきたブラックのかかと落としが同時に、ヘビイチゴに決まった。
特にブラックのかかと落としは、あたしが頭突きをくらわした場所に、ビンポイントに当たった。
ブラックが、地面に着地すると、
ヘビイチゴの体に亀裂が走った。
「どどめよ!」
ブラックは再び、ジャンプすると、あたしに向かって足の裏を揃えた。
「いけえ!」
あたしは、ブラックの足を蹴り上げた。
天に浮かぶ月に、ブラックの体が重なると、消えた。
数秒後、光輝くブラックの右足が、ヘビイチゴに炸裂し、
「月影キック!」
ヘビイチゴの体が、爆発した。
「やったあ!」
あたしが、歓声を上げると、ブラックは着地して、九鬼に戻った。
魔神が倒された為、下っぱ達は退散していく。
どどめ色に刺された下っぱは、担架で運ばれていった。病院に直行だ。
「真弓!」
「加奈子」
変身が解けた2人は、ただ頷き合った。
あたしと夏希も、そんな2人を見て、頷き合った。
「みんな」
九鬼は、あたしと夏希を見ると、拳を差し出した。
「月影も、揃ってきたわ!このメンバーで、頑張りましょう」
「はい!」
あたしも、夏希…加奈子も拳を突きだし、
4人は拳を合わせた。
「乙女戦隊月影始動ね」
あたしは頷き、戦うことを誓った。
「あれ?なんか…忘れてるような…」
あたしは首を捻った。
乙女戦隊 月影 第五話。
終わり。
そして、次回!
やっと始動した月影に、早くも別れが!
乙女戦隊月影 第六話
【あばよ!】
にご期待下さい。
《月影通信》
はあ〜い!
蘭花です。
月影通信始まるよ。
なんと!乙女戦隊 月影が早くも!
劇場版の公開が決定しました!
みんなのお陰です!
劇場版は、本編よりも数ヶ月先のストーリーとなるようです!
数々の謎が、明らかに!?
では、皆さん!
蘭花でした。
またね。