79.舞い戻る悪女
あのキャラクターが再登場します!
……この麻里編、割と長くなりそう……
(秋楽視点)
「よっと……多分、この奥の部屋に"五獣の宝玉"は有る筈でヤンス」
「そうか……言っておくが、"五獣の宝玉"は僕ちん達が貰うからな?」
「えぇ~?……ま、良いでヤンスけど……」
勿論、嘘でヤンス。
……とはいえ、この隠れ蓑はまだまだ使えるでヤンスから、今の時点で無理して横取りする必要はないでヤンスね。
「じゃ、入るでヤンス」
「早くしろ!」
そうして、あっし達は"五獣の宝玉"が置かれている筈の部屋に入って……
「っ!……目を背けるでヤンス!」
「あっ!?……おい、どうしたんだ!?」
むぅ……
さっき、宗雪さんのお仲間達を【逆転】であちこちに飛ばした時に捕捉出来なかったから警戒はしてたでヤンスけど……まさか、この部屋に居るとは思わなかったでヤンス。
「……何で、ここに居るんでヤンスか?」
「ん?……何や、ウチが居るんはそんなに変な事かいな?……桜はん達に栄螺を見て貰って、ウチは念のためこの部屋で"五獣の宝玉"を守っとったんよ。……にしても、まさか秋楽が居るとは思わへんかったわ……」
部屋に居たのは、かつて春銭太夫さんを倒しその呪いを受け継いだ女……五知院家のお嬢さんこと、綾香さんだったでヤンス。
「……あっしが綾香さんを捕捉出来なかった理由は何でヤンスか?」
「知らんわ。……【催眠眼】が上手い事働いたんとちゃう?」
ーギョロギョロギョロ……
綾香さんはそう言いつつ、腕と膝下から見える大量の目玉を動かしたでヤンス。
「まあ良いでヤンス。……あっしとしても、綾香さんと戦うつもりはないでヤンスから」
「え?……それはどういう事や?」
「こういう事でヤンス!」
……今回、大量の栄螺鬼を除けばあっしは坊っちゃんと2人で来たと思われてたかもしれないでヤンスけど……それは大きな間違いでヤンス。
何故なら……
「ハァ……雑魚の秋楽お兄ちゃんは、結局私の力を借りちゃうんだ~?……本当にどうしようもない雑魚なんだから……きゃはっ!」
ーゴポゴポ……バシャッ!
「っ!?……まさか、夏死忌なんか!?」
あっしの影から飛び出した、黒く長い髪の毛で出来た幾つもの腕……
あっしの同僚、縊鬼の夏死忌さんでヤンス。
「……綾香さんの相手は任せたでヤンス」
「分かった~。……綾香お姉ちゃんだっけ?……春銭お姉ちゃんの呪いを引き継いだんでしょ?」
「そ、それがどないしたん?」
「いや~……その首、吊ってみたいな~って……きゃはっ!」
「性格終わっとるな……」
……夏死忌さん、同僚のあっしでも関わりたくないと思う様な性格でヤンスからね……
「ま、これで邪魔は入らないでヤンスし、さっさと目的の物を……」
「そうはさせへん!……【光線眼】や!」
「おっと!?」
ービュン!……スカッ……
綾香さんはあっし等に向けて、掌の【光線眼】から光線を発射したでヤンス。
……何とか回避したでヤンスけど、これは厄介でヤンスね……
そう思った時でヤンシた。
「きゃはっ!……私相手によそ見とか、本っ当に雑魚雑魚ざ~こ!」
「っ!?」
ーガシッ!
夏死忌さんが伸ばした髪の腕が、綾香さんの首を掴んだんでヤンス。
「きゃはっ!……捕まえた♪」
「……ぐふっ……油断したんか?……ウチが?」
夏死忌さん相手によそ見をするのは自殺行為でヤンスからね~。
連れて来てて良かったでヤンス。
「……にしても、どう探しても"五獣の宝玉"の妖気が察知出来ないでヤンスね~」
「妖気やと?……それが、秋楽が【逆転】をする時に目印にしとるもんか?」
「そうでヤンス。……あ、そういえばもう1人、捕捉出来なかった人が居るんでヤンスよ」
綾香さんとは別に、あっしが捕捉出来なかった人物。
戦闘能力が低かったんで無視してたんでヤンスが、よく考えたらあの人もあっしとは相性が悪いんでヤンスよね~。
「おい楽邪、どういう事だ!」
「……もう楽邪で良いでヤンス。……で、そのもう1人の人物でヤンスけど……三愛院家分家の萌音さんでヤンスよ」
「くっ……バレてもうたか……」
正解でヤンシたか……
三愛院家分家の萌音さんの幻術は、妖気や妖力の察知も難しいでヤンスからね……
……そういう意味では、空助さんとかいう人や蓮業さんとかいう人も大概でヤンシたけど……空助さんは廊下で"栄螺鬼・斬"と相対してるでヤンスし、蓮業さんもまだ位置を把握出来てるでヤンス。
「つまりまあ、萌音さんに"五獣の宝玉"を持たせて逃走させたって訳でヤンスか……これは骨が折れるでヤンスよ~?」
「ふん!……僕ちんのアクセサリーには幻術対策が施された物も有るから、その程度なら何とかなる!」
「ぼ、坊っちゃんのアクセサリーが役立つとは思わなかったでヤンス……本当に、人生何が役に立つか分からないでヤンスね~」
坊っちゃんはこの国を代表する大企業、宝造路財閥トップの孫でヤンスからね~。
そういったアクセサリーも当然持ってるでヤンスよね。
「きゃはっ!……じゃ、そろそろ綾香お姉ちゃんの首も吊っちゃおうかな~」
「あ、もっと面白い事があるでヤンス。……夏死忌さん、呪いを介して春銭太夫さんの記憶に主導権を……」
「きゃはっ!……面白そ~じゃん!……雑魚の割に頭が回るね~♪」
まあ、そんな上手くは行かないでヤンショうが……やらないよりマシでヤンス。
「それじゃあ、頼んだでヤンス」
「僕ちんのためにやっとけよ!」
そうして、あっし達はまた屋敷内を捜索し始めたでヤンス。
……あ~あ、面倒な事になったでヤンスな~。
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(五知院 綾香視点)
ーぐぐっ……
「ぐふっ……」
……ミスったわ……
あそこで夏死忌から目を離してまうとか……
しかも、春銭太夫の記憶に主導権握らせるとか言っとったし……
これはホンマにマズいで……
「じゃ、さっさとやっちゃおうか?……きゃはっ!」
ーぐぐぐ……
……ウチの首を掴む……夏死忌の……髪の腕の……力が……強くなっとる……
これは……あか……ん……
『……なら、あちきに主導権を渡しな?』
「春銭……太夫……」
ウチ……幻聴でも……聞いとるんか?
『幻聴?……違うねぇ!……あちきはずっと、あんたの中でこの時を待ってたのさ!』
……幻覚まで……見えて来たわ……
ウチの……目の前に……春銭……太夫が……居るもん……
「何を……言っとるん?」
『あんたは知らないかもしれないが、"銭目の呪い"は魂ごと継承する呪いなのさ!……あちきも、先代やら先々代に主導権を握られかけたものだよ』
「な……何やて?」
『ただ、あんたは思ったより精神力が強くて、今まで意識の表層に上がって来る事さえ出来なかった。……いやはや、夏死忌に感謝する日が来るなんてねぇ~』
「……ま……待ちよし……」
このままやと……マズい……
冗談抜きに……乗っ取られてまう……
『さぁ~て、それじゃあ早速体をいただ……』
「あ……あああ……」
これは……あかん……
そう……思った……時やった……
「っ!……綾香、今助けるぞ!」
ーヒュン!……バシュ!
「っ!?……あ、面倒な雑魚の宗雪お兄ちゃんまで来ちゃったか~」
「誰が雑魚だ!」
……宗雪……はん?
今……宗雪……はんの……妖力弾が……夏死忌の……髪の腕を……貫いたんか?
「宗雪……はん?」
「チッ!……まだ腕の先が付いてやがる!」
ーヒュン!ヒュン!ヒュン!
「きゃはっ!……しょうがないから、道は譲ってあげるね♪」
宗雪……はんが……ウチの……目の前まで……来とる……
「綾香!……大丈夫か!?」
ーガシッ!……ブチブチブチ……
「ちょいと……あかんかも……」
宗雪……はんが……ウチから……夏死忌の……髪の腕を……剥がし取った……けど……危機は……去ってへん……
『ふ~ん、この程度しか力を貰えないとはねぇ……でもまあ充分さ……続きは意識の奥底で踊ろうか』
「ウチは……今から……意識を……手放すわ……後は……頼んだで?」
「……任せておけ」
そうして……ウチは……意識を……手放す……
……意識の……奥底で……今度こそ……春銭……太夫と……決着を……つけるために……
ご読了ありがとうございます。
春銭太夫は先代や先々代の意識が混濁していましたが、これは主導権争いで中途半端に負けた結果です。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




