7.桜の気持ち
どうも、この小説は思ったより不評なのかもしれません。
だって、今の評価星3.3ですし……
(一条院 宗雪視点)
桜が意識を失ってから数時間後……
「んんっ……ん?」
「よぉ、気がついたか?」
「……ああ、すっかりなァ……」
「……にしては、浮かねぇ表情だな?」
俺様のベッドで横たわっている桜は、とても不機嫌そうな表情を浮かべていた。
「そりゃ当たり前だろ……これまで仕えるべき主人だと思ってた奴が、まさか生前のオレを殺した相手だったなんて思わねぇよ……」
「まあ、そうだろうな」
俺様が思い出させたとはいえ、今の桜の状態は危うい気がする。
「……それより、何で宗雪はこの事を……」
「だから、夢でのお告げだ。……初対面で桜の正体を見破った例のお告げの時、実は桜の過去も知ってたんだよ……」
前世の記憶なんて言えねぇので、ここはお告げという事にして押し通す。
だが、桜が気にしたのはそこではなかったらしく……
「……なァ、1つだけ聞かせてくれ」
「何だ?」
「この1年間、オレを受け入れてくれたのは……オレを懐柔するためかァ?」
「っ!……」
俺様は、言葉を失った。
言うなれば桜は、今まで零魔院 武射麿呂に利用され続けて来た被害者でもある。
そんな桜が、桜を懐柔するために優しくしていた俺様の手を取ってくれるとは到底思えなかった。
「おい、何か言ったらどうだァ?」
「……確かに、懐柔するために優しくしていた部分もあった!……だが、それだけじゃ……」
「そう言うなら、オレに誠意を見せてみろやァ!」
「せ、誠意だと!?」
ど、土下座か?
俺様は土下座をすれば良いのか?
「言っとくが、土下座じゃ駄目だァ。……そんなの、打算的な奴なら何度だって頭を下げやがる」
「た、確かにそうだ……」
「オレに協力して欲しいんだろォ?……だったら、今からオレがする事に抵抗すんじゃねぇぞォ?」
「え、それは困るんだが……」
何をするかはしらねぇが、もしそれがやべぇ事なら俺様が責任を持って止めねぇと駄目だろ……
「安心しろ、別に破壊活動なんかをする訳じゃねぇからなァ。……ただ……こうするだけだァ!」
ーガシッ!
「なっ!?」
桜は俺様の服の襟を掴み、そのまま俺様を力任せに引き寄せて……
「……ちゅっ♥️」
「んむ!?」
……俺様は、何故か桜にキスをされた。
「むちゅ♥️……ちゅぱ♥️……」
「んむっ……ちゅぱ……」
更に桜は舌まで捩じ込んでキスを続けた。
俺様は、どんどん意識が快楽に呑み込まれて……
「ぷはっ♥️……ま、今のところはこれぐれぇで勘弁してやらァ!」
「ぷはっ!……いや、どういう事だよ……」
何で、俺様はキスをされた?
何で、桜はそれで上機嫌になった?
いくら何でも、まさか桜が本気で俺様に恋したとかいうのはねぇよな?
……ねぇんだよな?
「……宗雪がオレを懐柔したがってんのは、"休戦協定"を結んだ時から知ってた話だ」
「だ、だよな?」
「……でも、それだけじゃねぇだろ?」
「っ!?」
確かに、俺様は桜を気に入っていた。
でも、それは恋というより……
「言わなくても分かってらァ。……だがなあ、オレは婚約者だぜ?……オレを縛るもんが無くなった以上は、オレのやる事も必然的に決まって来んだろォ?」
「い、いまいち話が見えねぇんだが……」
「あァ~もう、察しが悪ぃなァ~!」
「いや、俺様は恋愛経験もねぇ11歳児だぞ!?」
ぶっちゃけ、前世でも恋愛とは無縁だったからな……
「だったら何だァ!……あのなァ、真面目な話をするがよォ……こんな正体が醜い妖のオレを貰ってくれる男なんて他に居ると思うかァ?」
「そ、それは……」
「オレは、この1年間で宗雪に情が移っちまったんだよォ……それに加えて、事実を知ったオレは今後人間として生きていくつもりだァ……」
「だから、俺様とキスをしたとでも?」
だとしたら、俺様は桜の好感度調整をミスったって訳なのか?
優しくし過ぎて、惚れられたってのか?
「……勿論、さっき言ったみてぇに他にオレを娶れる男が居ねぇのも理由の1つだが……それでも、宗雪にならオレの全てを見せても良いと思えたんだよォ!」
「桜……」
本当に、俺様は好感度調整をミスったらしい。
だが、不思議と後悔はなかった。
「ま、口ではこう言ったが、実はまだ問題も残ってやがる」
「……何だ?」
「オレにはまだ、武射麿呂との式神契約が残ってんだ。……だから、完全に宗雪の味方にはなれねぇっていうか……」
「ちょっと待て。……えっと、ここをこうして……」
「え、いや待て……ぎゃはは!くすぐってぇよ!」
まだ、桜の体に武射麿呂との式神契約が残っていると聞いた俺様は、すぐに桜の体をあちこち触りまくった。
なお、桜は抵抗しなかった。
「……見つけた、これか……【契約解除】!」
「なっ……何をしやがったァ!?」
別に隠されていた訳でもなかったため、俺様はあっさりと桜と武射麿呂の式神契約を破壊した。
「武射麿呂の式神契約を破壊した」
「そ、そんな簡単に……相手は歴史上最凶最悪の陰陽師だぞ!?」
「それは、武射麿呂が生きてた頃の話だろ?……奴は千年前に死んで、今はただの復活を画策するだけの霊魂だ」
「そ、それがどうしたって言うんだァ?」
流石に、俺様も武射麿呂が生きてたらどうにもならなかったが……
「……つまり、今となっては桜と武射麿呂の式神契約も、契約主不在で引き継ぎも碌にされてねぇ無効契約も同然だったって訳だ」
「ま、マジかよ……」
「マジだな。……ぶっちゃけ、下手すりゃ沙耶花や空助ですら破壊出来たと思うぞ?……まあ、あいつ等はそもそも式神契約を見つけられねぇだろうが……」
「……そんなに綻んでたのか、オレの式神契約……」
まあ、そんな式神契約に今まで縛られてたとか、普通にショックだよな……
「……とまあ、桜を縛る物はこれで完全に無くなった訳だが……本気で俺様との婚約を継続させるつもりか?」
「……オレのファーストキスを捧げたんだから、責任ぐれぇとれよ!?」
「桜が勝手にキスしたんだろ!?……まあ、それはそれとして責任はとるが……」
「……悪ぃな、オレなんかを娶らせて……」
桜だって、気にしてはいるんだろうな……
まあ、俺様としても桜は気に入ってたし、婚約継続も普通に受け入れるが……
「ハァ……分かったよ。……桜との婚約は普通に継続するし、桜の要望にも可能な限り応えてやる」
「そ、そうかァ!」
「だが……見返りとして、少し手伝って欲しい事がある訳だが……」
「ん?……何だァ?」
桜が居れば、あの作戦も上手く行くだろう。
「……今から1週間後、三愛院家の分家が土蜘蛛 大豪林主に襲撃を受け、1人を残して壊滅する。……これは、俺様が夢で受けたお告げだが……ここまで、そのお告げは外れてねぇ……」
「大豪林主、かァ……あいつは、武射麿呂派の式神だからなァ……オレみてぇには行かねぇだろう……」
「……で、俺様はその襲撃を防ぎてぇんだが……協力、頼めるか?」
俺様としては、ここまでしても桜が協力してくれる可能性は五分五分だった。
しかし……
「……流石に倒すのは無理だが、足止めぐれぇならやってやらァ!」
「っ!……やってくれるのか!?」
「当たり前だろ!……オレは宗雪の婚約者だぜ?……どんな死地でも一緒に行ってやるよ!」
「桜……」
やべぇ。
桜が滅茶苦茶頼もしい。
「後、今後は宗雪の事は相棒って呼んでも良いかァ?」
「えっ!?……いや、別に良いが……」
「よっしゃァァ!」
「桜!?」
桜は原作ゲームにおいて、攻略キャラじゃねぇどころか終始敵キャラだ。
なのに、俺様は味方に引き込んで……普通に可愛いと思ってしまっている。
「……という訳で、これから宜しくな!相棒!」
「ああ、そうだな……」
そうして、俺様は桜と向き合う。
この幸せを、噛み締めるために……
ご読了ありがとうございます。
はい、これにて桜攻略です。……描写が少なくて申し訳ございませんが、どうしてもさっさと済ませたかったんです……
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。