68.岩騎攻略
だいぶ無理矢理ですが、空助達で蘭子に太刀打ち可能な戦法を思いつきました。
(怪良視点)
ーゴゴゴゴゴ……
「……やっぱり、威圧感がヤバいケラね……」
流石は、あの宗雪が自分より強いと言い切った猛者だケラ……
目の前に立っているだけなのに、それだけで勝てないと悟らせて来るケラ。
「さあ、何処からでもかかって来ると良いですわ!」
四美院家の最高傑作とか呼ばれてるって噂も聞いたケラが、それに相応しいレベルの佇まいケラね……
全く隙が見つからないケラ。
「……にしても、凄い鎧ケラな……」
蘭子が纏う【岩鎧】は、見た目こそ蘭子の体型にフィットしたスマートな鎧だケラが、あれでも相当な防御力を誇るのは見れば分かるケラ。
……それはそれとして、蘭子のトレードマークとも言えるドリルのツインテールはどうやって鎧に収納してるのかは……考えない方が良いケラね。
「来ないならこちらから行きますわよ!」
ーダッ!……ブンッ!
「ケラッ!」
ースカッ……
蘭子の動きは素早く、1度でもあの手に捕まれば即死級のプロレス技で全身の骨を粉砕されて脱落するのは間違いないケラ。
まあ、だからこそ相手を翻弄する事に長けたこの3人で挑んだんだケラが。
「空助!沙耶花!……やるケラよ!」
「分かりました!」
「承知いたしました!」
私達3人は蘭子と一定の距離を保ちつつ、その周囲を走り始めたケラ。
そして……
「はっ!」
ーギィィィン!
「っ!?……そんなの、私には効きませんわよ!」
空助は蘭子の肘へとナイフを当てるも、硬い【岩鎧】に阻まれたケラ。
でも、それで良いケラ。
「ならば私も……【瞬発乱拳】でございます!」
ーギン!ギン!ギン!ギン!ギン!ギン!ギン!……
「っ!?……さっきと同じ場所ですわね……」
沙耶花が空助と同じ場所を攻撃した事で、蘭子は私達の狙いに気付いたっぽいケラ。
ま、だから何だって話ケラが。
「今度は私だケラ!」
「させませんわよ!」
ーブンッ!
「……ここケラ!」
ースカッ……ギィィィィィィン!
私はギリギリまで蘭子の腕を引きつけた後に避け、すれ違いざまに蘭子の肘を短刀で斬りつけたケラ。
「……1人に注力すれば他の2人が襲って来る上、そもそも1人を捕らえるのが難しいですわね……それなら……【岩山隆起】ですわ!」
ードドドド……ドゴドゴドゴッ!
「ケラ!?」
「これは……」
「マズいでございますね……」
蘭子が【岩山隆起】と唱えた瞬間、辺りの地面から岩で出来た大きなトゲの様な岩が幾つも隆起したケラ。
「これでそちらの動きは制限しましたわ!……さあ、私に捕まりなさい!」
「……嫌だケラ!」
ータッタッタ!
……取り敢えず現状確認だケラ!
空助は既に透明化済み、沙耶花も蘭子とは距離があるケラ。
そして、私は……
「私に勝つなど、最初から無理だったんですわ!」
ードシ!ドシ!ドシ!ドシ!……ドゴォォォォン!
蘭子を撒こうと岩のトゲを壁にするも、蘭子は何も気にせずに突進して岩を破壊して来たケラ。
「……無謀なのは分かってるケラ!……でも……」
敗北条件は、リストバンドてま肩代わり出来るダメージが限界に達した場合だケラ。
いくら何でもリストバンドごとに変わるとは思えないので、どうにかして限界までダメージを与えれば私達でも……
『お、賢い人は気付き始めたみたいやな~。……リストバンドが受けるダメージは、本人の耐久力とは何も関係あらへん。……例え同じ箇所を執拗に攻撃されてリストバンドで肩代わりしたダメージが増えても、それで限界量に達してしもたらアウトやで~』
やっぱりそうだったケラ!
「……なるほど、やはりそれが狙いでしたのね?……もっとも、それは無理な話ですわよ!」
ードッドッドッドッ……ドシィィィィィン!
「貴女に……いえ、怪良姉様が私に勝つなど不可能ですもの!」
蘭子が、私の前まで一気に跳んで来たケラ……
でも、何か忘れてないケラ?
「ふん!」
ーギィィィィィィィン!……ボロボロボロ……
透明化してた空助がさっきまで攻撃してた蘭子の肘へとナイフで攻撃して、遂に【岩鎧】の一部が砕けて本体の肘が露出したケラ。
「っ!?」
「……やっぱり、関節がある場所の鎧は少し脆かったんケラな?」
「くっ……」
普通に考えれば、全身を堅牢な鎧で覆ったりしたら俊敏な動きなんて出来ないケラ。
つまり、関節なんかを覆う部分は他の部分よりも動かしやすい作りになっているって事ケラ!
「さあ、畳み掛けるケラよ!」
「そうは行きませんわ!」
ーブンッ!……スカッ……
「私には当たらないケラ!」
普通の……いや、上位の者であっても、蘭子に捕まれば命はないケラ。
そして、その腕の動きもまた早いケラが……素早さでは空助のナイフ捌きの方が速いケラ。
「でしたら、鎧の再構成を……」
「遅いケラァァァァァァ!」
ーザシュッ!……
「うぐっ!……ですが、一撃だけですわ!」
ーギシギシギシギシギシ……
私が一撃入れた直後に、鎧の剥き出しになった部分は塞がれたケラ。
でも……
「……私に注意を向け過ぎだケラ!」
「【瞬発乱拳】でございます!」
ーギン!ギン!ギン!ギン!ギン!ギン!……
「なっ……今度はうなじですの!?」
私と空助に注意を向けさせたところで、沙耶花の攻撃が蘭子のうなじ辺りに入ったケラ。
「……そこなら、一撃で致命傷を与えられるケラ!」
「……確かに、致命傷クラスのダメージを肩代わりすれば、リストバンドの限界まで達しますわね……ですが、それを察された時点で作戦は終了ですわ!」
ーギシギシギシギシギシ……
蘭子はうなじ周辺の防御を他と同じレベルで分厚くしたケラ。
「ふ~ん……でも、そうなると視界は一気に制限されたケラよな?」
うなじ……つまり首筋周辺の可動域が制限されたとなれば、視界も一気に狭まった筈だケラ。
「ぐぬぬ……だったらいっその事、こうするまでですわ!」
ーギシギシギシギシギシ……ギシ!
「ふ~ん、そこまでやるケラか……」
蘭子は全身の関節部位を覆う鎧を分厚くし、その守りを鉄壁のものとしたケラ。
もっとも、その代償として俊敏な動きが出来る体型ではなくなったケラが。
「貴女方だけであれば、これだけ鈍重でも対応出来ますわ!……そもそも、先程までは関節部位への攻撃を警戒していただけですもの!」
……多分、言ってる内容は負け惜しみとかじゃなくて本当の事だケラ。
でも、蘭子はまだ勘違いしてるケラ。
「……私達がいつ、この3人だけで戦うと言ったケラ?」
「……え?」
その直後……
ードドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
上空から、大量の妖力弾が蘭子と私達の周囲に降り注いだケラ。
「ぐぬっ……これは宗雪の……どういう事ですの!?」
「宗雪は、他がヤバくなったら助けると言ってたケラ。……つまりまあ、私達だけじゃ勝てないって判断されちゃった訳ケラ」
ーヒョイ……ヒョイ……ヒョイ……
「貴女方……どうしてこの弾幕の雨の中で軽々しく動けるんですの!?」
「それは勿論、僕達にとってこの程度の弾幕は特訓の一部だからですよ。……あ、隙ありです!」
ーギィィィィィィィン!……ボロボロ……
全身に妖力弾を浴びてるからか、関節部位の鎧は簡単に剥がれたケラ。
「さあ、このまま剥がし切るケラ!……後、私が動けてる理由はこの視覚のお陰だケラ!」
「くっ……折角分厚くした部分が剥がれて……普段なら突進して逃げられるのに、この3人に付き纏われているせいでそれも叶いませんわ……ああ、とことん相性が悪かったですわね……」
蘭子の猛攻を避けられる私達3人。
蘭子の機動力を削ぎ、鎧の再構成を妨げる作戦。
宗雪の助力判断のタイミング。
耐久力お化けとも言える蘭子の本領が発揮出来ないルール。
どれもギリギリだったケラが、上手く嵌まってくれたケラ。
「……さぁ、私達の勝ちだケラ!」
「そうですわね。……今回だけは勝ちを譲りますわ……」
ーギィィィィィン!……ピキピキ……ガラッ……
全身に無数の妖力弾を浴びてボロボロだった【岩鎧】が、私の攻撃で遂にぶっ壊れたケラ。
そして……
ードドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
生身で一瞬の内に無数の妖力弾を浴びまくった蘭子は、リストバンドのダメージ肩代わり限界量を迎えて控えスペースへと転送されて行ったケラ。
「か、勝ったケラ~!」
「な、何とか行けましたね……」
「本当にギリギリでございましたが……」
こうして、私達は蘭子にギリギリで勝利したケラ。
ただ……あれ、実戦ならあの後も立ち上がって来たと考えると、身震いが止まらなかったケラ……
ご読了ありがとうございます。
実戦であれば、蘭子は自身に来るダメージなんて関係なく相手を粉砕しますが、ダメージ量が敗北に直結する今回のルールでは全力を出せませんでした。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




