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51.和洋人形との決着

怪良、当初はここまで主人公勢力と関わるキャラじゃない筈だったんですけどね……

(九十九 空助視点)


「……成長する敵、でございますか?」


「そうです。……とはいえ、本体の人形は恐らく結界の外でしょう。……今目の前に居るのは、その分霊でしかないと思います」


「……私の目もそういう結果を出したケラ。……でも、何で最初に見た時は……」


「分霊でも大まかな情報は本体と変わりませんからね。……もっと詳しく見れていたら、怪良さんも気付けたでしょう」


今、僕達の目の前に居る人形達……


武器は包丁のみですが、どれだけ戦えるか……


そう思っていると……


『「……あたし、メレリーさん……」』


『「……あたし、松夜さん……」』


『「これで、終わりじゃない……」』


『「あたし達は、もっと成長する……」』


ーピキピキピキ……


「「「っ!?」」」


2体の人形が意味深な事を言った直後、何故か人形の顔や手に亀裂が入って……


ーポロポロポロ……


『「……あたし、メレリーさん……」』


『「……あたし、松夜さん……」』


『「これで完全体……」』


『「これが完成形……」』


人形としての皮膚が剥がれ、肉体のサイズがより大きくなり始めました。


そして、最終的にそこに立っていたのは……


それぞれの(・・・・・)人形と同じ(・・・・・)服装をした(・・・・・)()()()()()()()でした。


『「……あたし、後鬼メレリーさん……」』


『「……あたし、前鬼松夜さん……」』


『『「「今、貴女の……」」』』


『「後ろに居るの……」』


『「前に居るの……」』


……これは、思ったより時間を与え過ぎたかもしれないですね……


「……空助、こいつ等滅茶苦茶強くなってるケラ!」


「でしょうね。……完全に、前鬼と後鬼の力を自身のものにしていますし……」


「それ、大丈夫でございますか?」


「正直に言うと、かなりキツいです……」


見るからに強敵なオーラを感じます……


これ、モブの僕が相手して良い敵じゃないですよね?


しかも、相手のパワーアップはまだ続くらしく……


『「……あたし、後鬼メレリーさん……」』


『「……あたし、前鬼松夜さん……」』


『「出て来て、霊薬 全快水(ぜんかいすい)……」』


『「変わって、壁斧 死血潰(しけっかい)……」』


メレリーと名乗る西洋風童女は徳利(とっくり)の様な容器を出現させ、松夜と名乗る和風童女は包丁を巨大な斧に変貌させたのでした……


……これ、もしかしなくても前鬼と後鬼の伝承がベースの新装備ですよね?


「……沙耶花様、怪良さん、多分あれ等は前鬼と後鬼の伝承がベースの武器です!」


「どういう事ケラか!?」


「伝承では、前鬼は鉄斧を武器にし、後鬼は理水という霊力のある水を持っていたとあります!」


「……つまり、その辺りの伝承を自分の力にしたって事ケラか……」


ただでさえ手に負えないかもしれない相手が、よりパワーアップした……


これ程の絶望はありませんよ。


『「……あたし、メレリーさん……」』


『「……あたし、松夜さん……」』


『『「「今、貴女の……」」』』


『「後ろに居るの……」』


ーブンッ!


『「前に居るの……」』


ーブンッ!


僕は迫って来るメレリーの包丁をナイフに合わせつつ、後方の沙耶花様と怪良さんも確認します。


すると……


ーガキィィィィィン!


「け、ケラぁ……」


「だ、大丈夫でございますか!?」


怪良さんは、自前の短刀2本で何とか巨大斧の攻撃を防ぎましたが……これは長く保ちそうにないですね……


そして、僕の方はというと……


ーギギギ……


「……やはり、受けられない程ではないですね……」


『「……小癪……」』


僕は自前のナイフ2本で、何とかメレリーの包丁を受け切りました。


「……さて、隙アリです!」


ーザシュ!


『「うぐっ……」』


僕は受けた体勢からすぐさま横薙ぎへと切り替え、メレリーの腹を裂きました。


ただ……


「これで終わる程、甘くはないですよね……」


『「……全快水、あたしを癒して……」』


ーポタポタ……シュ~……


メレリーが傷に全快水とやらをかけた瞬間、僕が裂いた傷が瞬時に塞がったのでした。


ですが、これは……


「……怪良さん、これってもしかしなくても……」


「……意外と楽勝な相手だったケラね……」


「……そうでございますね……」


簡単に3人の見立てが一致しました。


つまり、こいつ等はあまり強くないという事です。


『「……あたし、後鬼メレリーさん……」』


『「……あたし、前鬼松夜さん……」』


『「何を、言ってる?」』


『「馬鹿に、してる?」』


ああ、やはり怒らせましたか……


では、早く決着をつけてしまいましょう。


「じゃあ、まずは私からやってやるケラ!」


ータッ!


『「……今度こそ、真っ二つ……」』


怪良が前方に駆け、松夜が斧を振り下ろしました。


まあ……


「……フェイントだケラ」


ーピタッ……


『「えっ!?」』


ードシィィィィィィィン!


怪良さんが途中で動きを止めると、その前方に斧が下ろされ、刃が地面に埋もれたのでした。


「……さて、斧は私がここで固定しておくケラから……どんとぶちかまして来いケラ!」


「ふふっ……これで私に花を持たせたつもりでございますか?……まあ、感謝はいたしますが」


ータッタッタ……


相変わらず、沙耶花様は慇懃無礼ですね……


……そこも良いんですが。


とまあ、そんなこんなで沙耶花様もまた前方へ駆け出し、刃が埋もれた斧の上を渡って松夜へと近付き……


『「……あたし、前鬼松夜さん……や、()め……」』


「大振りかつ重い武器を選んだのが仇になられましたね。……最短最速、【瞬発乱拳(しゅんぱつらんけん)】でございます!」


ーバシバシバシバシバシバシバシバシバシ!


『「ぶへっ!ごはっ!ぐふっ!あばっ!……」』


こうして、松夜は呆気なく沙耶花様によってタコ殴りにされたのでした。


そして、残るメレリーはというと……


『「……ま、松夜さん……」』


「さあ、次は貴女の番ですよ?」


『「ひいっ!?……あたし、後鬼メレリーさん……」』


「ええ、知っていますが?」


ああ……


メレリーは完全に恐怖に呑まれてますね……


僕にとっては好都合ですが。


『「今、貴女のぉぉぉぉぉぉぉぉ!」』


「振りが大きいですね。……はい」


ーブスッ!


『「うぐっ!」』


僕は冷静かつ迅速に、メレリーが包丁を持っていた右腕へとナイフを突き刺しました。


「あ、回復はさせないですよ?」


ーブスッ!


『「いだっ……」』


僕は、メレリーが容器を持っていた左腕にもナイフを突き刺し、その回復行動を阻害しました。


「貴女方は確かに強かったです。……ただ、圧倒的に実戦経験が足りませんでしたね」


『「あ、ああ……」』


これは……完全に勝敗が決しましたね。


ただ、ここからどうするか……


「まあ、取りあえず貴女方の分霊を始末するのは確定として……」


『「……ないで……」』


「ん?」


『「降参するから、殺さないで……」』


「……へ?」


こ、降参?


それを信じられるとでも……


……あ、これ本気の目ですね。


『「……あたし達は分霊だけど、ちゃんと本体にもダメージが行っちゃうタイプ……」』


「ああ、そういうタイプですか……ですが、それだけで降参を認める訳にも……」


何かこう、もう少し説得材料が欲しいですね……


すると、メレリーが再度口を開いて……


『「……あたし達、秋楽様に作られた……」』


「やっぱりですか……それで?」


『「でも、あたし達は秋楽様……いや、秋楽に忠誠は誓ってない……あくまでも、即席の鉄砲玉」』


「……つまり、捨て駒ですね?」


薄々勘づいてましたが、やはり捨て駒ですか……


本当に仲間とも思われてなかったんですね……


『「……だから、主を乗り換える……」』


「ハァ……取り敢えず、宗雪様に相談して決めます」


『「前向きに検討、ありがとう」』


「……何とも複雑ですね」


僕は、メレリーの降参を前向きに受け取る事にしました。


『「……ところで、松夜さんは生きてる?」』


「あっ……」


ーバシバシバシバシバシバシバシバシバシ!


『「ぶへっ!ぐふっ!あばっ!ごばっ!」』


「……い、生きてはいますね……あ~、沙耶花様!もうその辺で()めてください!」


「え?」


「ケラ?」


まあ、何とも緩い結果になりましたが……これも僕達らしくて良いですね。


……そんなこんなで、僕達とメレリー&松夜コンビとの勝負は幕を閉じたのでした……

ご読了ありがとうございます。


メレリー&松夜コンビは、秋楽達に対して忠誠心を微塵も持っていませんでした。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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