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33.綾香の無謀な挑戦

……たまにしかアイデアが湧かないので、更新が不定期です。

(一条院 宗雪視点)


綾香と協力関係を築いてから数週間後の5月半ば……


正直に言って、あれから何もなかった。


……そう、何もなかったのだ。


綾香と話した後、俺様はスマホなんかで色々と調べたのだが、春銭太夫に関連していそうな情報は見つからなかった。


……そもそも原作ゲームですら○○県✕✕市□□町という表記だったので、いくら原作ゲームを知っている俺様でも春銭太夫の居場所は皆目見当もつかなかった。


そこで俺様は次の手段として、桜や河濫沱に対して春銭太夫について聞いてみたのだが……


「あァ?……四鬼っつったら大半は八妖将の封印が解けてから死獄童子の配下になった奴等だろォ?……いくらオレでも知らねぇなァ」


「オイラも知らないでござんすね~」


……といった感じで知らない様だった。


ならばと俺様は最後の手段として、もやし特売日にスーパーマーケットの前で張り込んで美乱雑技団に突撃をかましたのだが……


「申し訳ないでありんすが、わっちは知らないでありんす」


「知らんケラ!」


「知らないですツラ……」


「知らないフラ」


……という、何とも言えねぇ結果に終わった。


結局、それ以降特に何か起こるでもなく、気付けば中間試験の時期となっていたのだった……


「……って、これで良いのか?」


いや、良くねぇよな……


綾香との協力関係もだが、春銭太夫の事も無視する訳には行かねぇ。


原作ゲームでの登場は中盤の後半だったため、これまでは考えるのを先送りにしていたが……


思ったより早く関わる事になっちまったな……


ただ、奴の思惑を破綻させる必要もあるし……


……悩ましいな……


そう、俺様が悩みに悩んでいると……


「……宗雪はん、ちょいとええか?」


「ん?……綾香か……」


突然、綾香が俺様に話しかけて来た。


ちなみに、今俺様が居るのは自分の教室である。


「……春銭太夫について、何か分かりはった?」


「いや、全く……」


「やろうな……そんなすぐに見つかるんやったら、ウチ等がとっくの昔に見つけとるわ」


「まさか、それを言うためだけに来たのか?」


確かにその通りだが、俺様だって何とか見つけようとしてるんだぞ?


……結果はまだねぇが……


だが、綾香は首を横に振って……


「あ~、ちゃうちゃう。……どうせ春銭太夫と戦うまで時間があるんやったら、その間に宗雪はんと一緒に済ませときたい事があるんよ」


「ん?」


……何だ?


少なくとも、原作ゲームで主人公を操作していた時はこんなイベントなかった筈だが……


「……あのな?……ウチって戦闘出来へんやろ?」


「そうだな」


「せやから、戦力として使える式神を新しく調伏しとこうと思ったんやけど……ウチだけやと十中八九死ぬやろうから……手伝ってくれへん?」


「ハァ……」


なるほど、俺様の強さを見込んでか……


原作ゲームでは主人公……つまり空助の力量じゃ不安だったから式神は増やさなかったが、俺様なら別に戦力として不安がねぇもんな……


「で、調伏したい妖なんやけど……」


「まあ、俺様としちゃそこそこ戦力になりゃ何だって……」


「"一目連(いちもくれん)"っていうんや」


「……いや、土地神クラスの妖じゃねぇかぁぁぁ!」


一目連……知名度こそマイナーではあるが、ぶっちゃけ土地神と言っても過言じゃねぇレベルの妖だ。


……というか、確か俺様の前世が居た元の世界じゃ普通に神社で祀られてた気が……


……いや、これについては考えても仕方ねぇ。


一目連の見た目は、単眼の付いた巨大な球体……といったところだろうか。


一説には龍神の類いとも言われているが、あの見た目で龍ってのは無理があるよな?


「そ、そこまで言わへんでも……」


「いや言うが!?……流石の俺様でも、嵐を引き起こす風神みてぇな奴とは戦いたくねぇぞ!」


「……一応言っとくと、別に神として祀られとる個体を調伏する気はあらへんで?……ただ、最近富士山付近で未登録の一目連が見つかったらしくて、それを討伐若しくは調伏せよっちゅう依頼が出とったんよ」


「そ、そういう依頼って、明らかに学生向けじゃねぇよな?」


この世界の退魔師が担当する依頼は、主にE級~SS級となっている。


学生が受けられる依頼は、100歩譲ってもA級まで。


ちなみに一目連の様な"土地神に匹敵する存在"や春銭太夫の様な"四鬼"はS級、本気の"八妖将"や"天上神に匹敵する存在"はSS級となっている。


……なので、明らかにS級である一目連に関する依頼が高校経由で受けられるとは思えねぇ訳だ。


「そ、それはその……五知院家のコネをフル活用したんやよ……」


「……普通にアウトだろ……とはいえ、今から言ったところで変わらねぇんだろうな……で、その一目連は"名持ち個体"か?」


「せやな。……個体名は天道(てんどう)っちゅうて、能力は嵐の生成や」


天道(てんどう)か……まさしく天の理って訳か」


名持ち個体は通常の妖よりも遥かに強い場合が多い。


ただまあ、たまに例外は居るが……


「……とにかく、宗雪はんにはウチが一目連を調伏するんを手伝って欲しいんやけど……」


「……まあ、後々八妖将と戦うための予行練習だと思って手伝ってやるよ」


「っ!?……ほ、ほんまか!?」


「だから、何でそっちが驚くんだよ」


どうも、綾香は自分の無謀とも言える頼みを受け入れられるととても驚くんだよな……


いや、当たり前の話か?


そう考えていると……


「……何で、ウチをそう簡単に信用出来るんや?……ウチ、見た目は糸目のキツネ顔で明らかに裏切りそうな奴って感じやろ?」


不意に、綾香がそう呟いていた。


確かに綾香の見た目は裏切者のテンプレートといった感じではある。


実際、原作ゲームでもその見た目のせいで友人は1人しか出来ず、その1人も歩く自主規制みてぇな奴だったからな……


ただ、何故だろうな。


……俺様は、既に綾香を受け入れ始めていた。


「……そりゃ、俺様は綾香が裏切らねぇ事を確信してるからな」


「な、何でや?」


「何となく、だな」


「えぇ……」


根拠はねぇ。


勿論、原作ゲームで知っているというのもあるが……ここまでストーリーが変わっていると、原作ゲームは根拠として弱くなる。


では何故かと言われたら……俺様自身にも分からねぇんだよな~。


「……で、いつ行くんだ?」


「え?……あ、せやな……次の休みに行きたいんやけど……」


「分かった。……一応、他の皆も連れていくつもりだが良いか?」


「ええよ。……寧ろ、戦力は多い方がええしな」


そうして俺様達による一目連を調伏する計画が幕を開けた。


しかし、俺様達は知らなかった……いや、知っていても目を逸らしていた。


……土地神レベルの妖が、どれだけの強さを誇るのかという事を……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(一般退魔師視点)


富士山の麓、そこにオラは居たべ。


「……隊長、今日も動きはないだべな……」


オラはオラが所属する部隊の隊長に話しかけたさぁ。


なお、オラと隊長が見上げる先にはオレンジ色の巨大な球体が浮かんでいる。


そして隊長が口を開き……


「そうだな。……だが、かといって放置する訳にも行かない。……何せ、奴は国民から富士山に対して向けられる"信仰"を吸収する事で、天上神レベルの妖に進化しようとしてるんだからな……」


オラと隊長が見上げるオレンジ色の巨大な球体……一目連の天道は、こうしている今も国民から富士山に向けられる"信仰"を吸収して成長していたべ。


普通なら土地神として祀るべき一目連が討伐若しくは調伏の対象となっているのも、これが理由だったさぁ。


「……オラ達、いつまで天道の観測をしていれば良いんだべなぁ?」


「……さあな。……少なくとも、こんな神レベルの敵に立ち向かおうと思う退魔師が現れるまで、だな」


「そんな人、居るべ?」


「んなもん、分かるかよ……」


そんな事を話しながら、オラと隊長は天道の観測を続けたさぁ。


……これが最期の任務になる可能性を考えながら……

ご読了ありがとうございます。


なお、原作ゲームにおける天道は裏ボス枠として作成こそされていたものの、未実装ヒロインと同じく実装前に開発元が倒産して未登場に終わりました。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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