28.河濫沱との決着
河濫沱との決着です。
(二剛院 夏芽視点)
「ピピ~ッ!……河濫沱場外により勝者、二剛院 夏芽だっピ~!……後、"鵺"は相撲のルールを簡単にしか知らないっピから、ちゃんとした行司の口上は出来ないっピ!」
「ぐ、ぐだぐだっすね……」
……とにかく、アタイが勝ったのはこれで確定したっすね……
……あっ……ちょっともう無理っす……
ードサッ……
勝利の余韻に浸る間もなく、アタイは力の限界を迎えて地に伏したっす……
と、その時……
「ぷは~っ、まさかオイラが土俵外に吹き飛ばされるとは思わなかったでござんすな~」
「っ!?……あれを……食らって……ピンピン……してるんすか!?」
「オイラは八妖将の一角でござんすよ?……あの程度の攻撃で死ぬ訳がないでござんすよ」
「マジっすか……」
……牛鬼に……大穴を空けた……攻撃っすよ?
それを受けて傷1つ付いてないとか……
「……とはいえ、相撲のルールではオイラの負けでござんす」
「あはは……それならアタイは……河濫沱を倒した退魔師を……名乗れるんすね……」
「そうでござんす。……にしても、まさかオイラが技を教えた一族の末裔がオイラを負かすとは……予想外だったでござんす」
「……道理で……似た技を使う訳っす……」
二剛院家の技は河濫沱直伝っすか……
でも、不思議と何とも思わないっす……
そう朧気な意識で考えていると……
「……おい夏芽、大丈夫か?」
「あ、宗雪……何とか気絶せずに済んでるっす……」
「そうか……」
宗雪……アタイを"女性"として見てくれた男性……
この勝負に勝ったら言うって……決めてた筈っす……
「そ、宗雪……」
「ん?」
「……好きっす……」
「……俺様もだ……」
あはは……嬉しい事言ってくれるっすね……
「じゃあ……キスして……欲しいっす……」
「ああ……ちゅっ……」
「んんっ……」
……宗雪の唇……意外と柔らかいっす……
後……キスって……良いっすね……
「ぷはっ……取り敢えず、婚約も進めるか?」
「そうしてくれると……助かるっす……」
「……面倒な手続きはこっちで進めるから、夏芽は二剛院家の奴等を説得してくれ」
「いや……もうとっくに戦える家族は全員倒して認めさせてるっすよ……」
予め家族は説得……説得?してたっすから……後は普通に婚約出来るっす……
「お、おう……早いな……」
「悪いっすか?」
「いや、最高じゃねぇか。……ま、婚約はその方向で進めるとして……今から河濫沱と夏芽の式神契約もやるから、そのつもりで居ろよ?」
「え、今なんて……」
今……河濫沱と……アタイの……式神契約って……言ったっすか?
いや……何を言って……
あっ……意識が……遠くなって……
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(一条院 宗雪視点)
「……意識を失ったか……」
今、俺様の目の前で夏芽が意識を失った。
……とはいえ、キスをして婚約も進めると話せたのは幸運だっただろう。
と、そこへ……
「……そこのお兄さん、いったいどういうつもりでござんすか?」
「ん?」
河濫沱が俺様に話しかけて来た。
もっとも、当の河濫沱は困惑した表情を浮かべていやがったが。
「……オイラが夏芽のお姉さんと式神契約をするというのはどういうつもりでござんしょう?」
「ハァ……河濫沱、お前は相撲でとはいえ夏芽と戦って負けただろ?……だったら、大人しくその軍門に下がるのが筋なんじゃねぇか?」
「……お兄さんがオイラ達の式神契約を弄れるのは知ってるでござんすが、だからって……」
「ごちゃごちゃうるせぇ!……【契約解除】!」
俺様はうだうだ言ってる河濫沱を無視し、河濫沱にかけられていた武射麿呂の式神契約を解除した。
「っ!?……こ、これが話に聞いていた式神契約の解除でござんすか……」
「おう!……オレの相棒、凄ぇだろォ?」
「……本当に、そうでござんすな……」
「……あァ、河濫沱も分かったかァ……」
河濫沱は桜を見ながら、懐かしそうな表情を浮かべていた。
多分、元八妖将同士にしか分からねぇ"何か"があるんだろう。
「……でも、もしそんな事をしたらオイラは八妖将のお尋ね者に……そもそも、この場に始末役が来てもおかしくは……」
「そこも安心しとけ。……今、適任者に足止めさせてるところだ」
「……どういう事でござんすか?」
「"鵺"も気になるっピ!」
……そもそも、原作ゲームでも夏芽と河濫沱の相撲勝負は存在した。
しかしその後に繰り広げられたのは、夏芽が勝って2人の間に絆が芽生えた瞬間、突如現れた蛸鯰老師によって河濫沱が無惨に斬り捨てられるという割とショッキングな展開だったのだ。
「俺様は、この勝負の後に河濫沱が始末される可能性も考慮していた。……だから、とある人物にDMを送っといたんだよ」
蛸鯰老師を足止めさせられる適任者 ……奴が承諾してくれるかは賭けだったが、どうにか成功したみてぇだな……
「えっと、それは誰でござんすか?」
「"鵺"も気になるっピ……」
「確かに、オレも聞いてねぇが……」
「ああ、お前等3人も知ってる奴だぞ?」
「「「ん?」」」
いや~、こればっかりは原作ゲームと展開が違った事に感謝しねぇとな。
そう思いながら、俺様は目の前の3人に説明を始めるのだった……
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(俯瞰視点)
二剛院 夏芽と河濫沱が相撲の勝負をした河原から少し離れた場所にて……
「むぅ……儂の邪魔をするという事が、何を意味するか分かっておらんとは言うまいのう?」
そこでは刀を携えた蛸鯰老師が、とある者によって足止めを食らっていた。
「そうは言うでありんすけどね~。……生憎、わっちがこの足止めを成功させたら10万円の支援をしてくれるって契約になってるんでありんすよ」
蛸鯰老師を足止めしていた相手は、携えた刀に狐火を纏わせた美乱御前であった。
彼女は足止めを成功させた暁には10万円が手に入ると語り、妖艶な笑みを浮かべながら蛸鯰老師と向かい合っていたのだ。
「10万だと!?……そのためだけに儂の行動を邪魔するつもりか!」
「そうでありんすけど?」
「……まさか、お主がそこまで腑抜けているとは思わんかったのじゃ……」
「好きに罵ると良いでありんす。……どうせわっちは蛸鯰達と決別した身でありんすから、全然ノーダメージでありんす」
そうして蛸鯰老師の言葉を一蹴した美乱御前は、そのまま蛸鯰老師へと歩みを進めた。
「ぐぬぬ……このまま続けてもお主に勝てる可能性は無に等しいが、かといってその目を掻い潜って進む事も不可能と来た……ふっ、今回は大人しく退いてやるのじゃ……」
ーフッ……
「……逃げたでありんすか……」
美乱御前を出し抜く事は不可能と判断した蛸鯰老師は、何の躊躇もなく逃走を選択して姿を消した。
「……ま、目的は達成出来たから良しとするでありんすか……」
戦う相手が居なくなった美乱御前はそう呟いた後、静かにその場を立ち去ったのだった……
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(一条院 宗雪視点)
「……という訳で、美乱御前が運営するチャンネルの公式SNSにDMを送って協力を頼んだって訳だ」
「「「……………ハァ?」」」
俺様の説明を聞き終えた桜、河濫沱、"鵺"の3人は、只々困惑の声を上げた。
……ちなみに、沙耶花、空助、萌音の3人は相撲の時点からずっとフリーズしている。
「おいおい……それで美乱の奴が承諾したって言うつもりかァ?」
「ああ。……まあ、10万円も支援する事になっちまったがな。……とはいえ、河濫沱を味方に出来ると考えたら安いと思わねぇか?」
「それはそうだが……にしても、本当に美乱の奴も貧乏って意味で落ちる所まで落ちてんだなァ……」
確かに、俺様もそれは思ったが……
……って、それよりさっさと式神契約しねぇと!
「河濫沱、話を戻すが夏芽と式神契約を……」
「……ハァ……良いでござんす」
「よし!……それじゃあさっさとやるぞ!」
「分かったでござんす」
こうして俺様は、河濫沱と夏芽の式神契約を強引に締結した。
なお、夏芽は最後まで気絶していたので、起きた時に説明するのが少し怖くもなるのだった……
ご読了ありがとうございます。
美乱御前、完全に第3勢力と化してます。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




