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14.入学早々の手合わせ

そろそろ、次のヒロインの攻略に進みたいです。

(一条院 宗雪視点)


入学式にて校長の長話を聞き終え、しばらくして俺様達が所属する事になった1年A組の教室に向かった後……


「こほん……これから1年、皆さんの担任を務める六刃院 杏美でござる!……こう見えてもうすぐ30歳でござるが、どうかフレンドリーに接して欲しいでござる!」


「……ここでも能面か……」


赤髪と能面が特徴的な女性、六刃院 杏美が担任としての挨拶を行っていた。


まあ、俺様は原作ゲームの知識で知ってるが、普通はこんな人が担任とか面食らうよな……


しかも未実装とはいえヒロインの1人とか……


「さて、それでは早速諸君にはやって貰いたい事があるでござる!」


「ん?」


「それは……クラスメート同士で2人1組を作っての手合わせでござる!」


「……え、原作でそんな流れあったか?」


確か、入学式における戦闘は俺様との決闘だけだった筈だ。


なのに、何でこんな事を……


「ちなみに、前年までそんな事はしてないと思う人ももしかしたら居るかもしれないでござるが、それは当然でござる。……何せ、これはこのクラスのとある生徒達が数年前にとんでもない活躍をしたせいで、そのクラスメートとしてやって行ける実力があるかを判断するためのものでござるからな!」


「つまり……俺様と……」


「オレのせいって訳かァ……」


俺様と桜は、ほぼ同時に反応した。


多分、俺様達2人が大豪林主を相手に封印まで粘ったのが原因だよな……


「なので、ぶっちゃけバラすと一条院 宗雪と九相院 桜、この2人は確定でペアを組むようにするでござる!」


「「マジか……」」


多分、杏美先生もヤケクソなんだろうな……


余裕の無さが見てとれる。


「それでは、宗雪と桜以外の者はこのくじ引きから各自引い欲しいでござる!」


「……大丈夫か?」


「どうだろうなァ……」


そうして、他のクラスメート共は次々とくじ引きをして手合わせをする相手を決めていくのだった……



そして数分後、グラウンドにて……


「では、手合わせを始めるでござる!」


「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」


「後、手合わせをする者は"身代わり人形"を持って貰う事になってるでござる!」


「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」


俺様達1年A組全員が集められ、手合わせをする事になった。


なお、やはり"身代わり人形"ありでの勝負らしい。


「まずは……」


その後は、しばらく顔も実力もモブ級の奴等の手合わせが続いた。


やはりゲームをモデルにした世界なだけあって、モブはとことんモブだった。


そして、しばらくして……


「次は、三愛院 萌音と九十九 空助の手合わせでござる!」


「……コテンパンにしてやるのだ!」


「それはこちらの台詞(セリフ)ですよ」


萌音と空助、どちらも自身の身を隠す能力が特化しているが……どうなる事やら。


「……それでは、手合わせ開始でござる!」


「【マジカルイリュージョン】なのだ!」


「【隠密(ステルス)】です」


……どちらも自身の肉体を隠し、相手の隙を狙う。


「なァ、この勝負どうなると思ってんだァ?」


「俺様が思うに……泥試合だな」


「ん?」


俺様が予想した勝敗は、どちらが勝つとかではなく泥試合だった。


「見ろ。……まず、萌音は恐らく空助を捕捉出来てねぇ。……かといって、今居る萌音は明らかに幻術で生成された偽物だから空助も下手な行動は打てねぇ」


「つ、つまり?」


「……先に耐えられなくなった方の負けだな」


萌音は幻術、空助は透明化、どちらもお互いの正確な位置は分かってねぇんだろう。



結局、5分以上無言の(にら)み合いが続いた。


だが、勝負は突然決まった。


「……見つけました」


ーグサッ!


「うぐっ!?」


「……そこまででござる!……勝者、九十九 空助でござる!」


突如として萌音の幻術が解け、倒れた萌音とその横に立つ空助の姿が(あらわ)になったのだ。


「ほう……空助は手当たり次第に萌音を探し回って見つけたらしい」


「な、そんな事が出来んのかよォ!」


「出来るから勝負が着いたんだろ。……反対に萌音は聴覚か、足元の砂に頼ったんだろうが……【隠密(ステルス)】はただの透明化じゃなくて、自身の気配を完全に消す妖術だ。……未熟だった昔ならまだしも、俺様の特訓を経て完全に気配遮断が出来る様になった空助の敵じゃなかったな」


「く、悔しいのだ~!」


「透明化という先入観に踊らされましたね」


こうして萌音と空助の勝負は、空助の勝利で幕を閉じた。



そして、また幾つかの勝負を経た後……


「次は、一条院 沙耶花と二剛院 夏芽の手合わせでござる!」


「お手合わせ、宜しくお願い申し上げます」


「そんな堅苦しくしなくて良いっすよ!」


沙耶花の相手は、よりにもよって夏芽か……


これはマズいな。


「……それでは、手合わせ開始でござる!」


「【瞬発乱拳(しゅんぱつらんけん)】でございます!」


ーブンブンブンブンブンッ!


「【微水張手(びすいはりて)】っす!」


ーブンッ!……ドンッ!


「ぐはっ!?」


ーザザザッ!


……やっぱり、こうなったか……


沙耶花は原作ゲームにおいて、中威力の拳による物理攻撃を連続で放つタイプのキャラだった。


勿論、この世界でも同様の育て方をした。


対する夏芽も沙耶花と同じ物理攻撃タイプではあるものの、沙耶花と違い高威力の攻撃を単発でぶち当てる攻撃方法だった。


つまりまあ、差別化されてる上に最初の1発は夏芽が有利な訳だ。


「……まさか、これで終わりとか言わないっすよね?」


「そ、そんな訳がございませんよ……私はまだ、戦えます故」


「だったら行くっすよ!……【微水張手(びすいはりて)】っす!」


ーブンッ!


「【瞬発乱拳(しゅんぱつらんけん)】でござ……」


「遅いっす!」


ードンッ!


「ぐはっ!」


……勝負はついたな。


「……そこまででござる!……勝者、二剛院 夏芽でござる!」


結局、沙耶花が夏芽に勝つ事は叶わず、手合わせは夏芽の勝利で終わった。


「【微水張手(びすいはりて)】……妖力による基礎的な肉体の強化に加え、攻撃対象の体内にある微量な水を反発させてダメージも与えるって技だったか……どっかの漫画の何とか空手みてぇな要素もある技だな……」


流石は最大火力ならヒロイン最強の女……


ただ、沙耶花よりも攻撃が大振りなので上手くやれば沙耶花でも勝てたんだが……沙耶花が真正面から勝負を挑む事を選んでいなければ或いは……


「……沙耶花も沙耶花だよなァ……もっと不意打ち上等じゃねぇと」


「……だが、あれはあれで沙耶花らしいだろ?」


「……そうだなァ……」


その後、負けた沙耶花は空助に慰めて貰っていた。


その様子はとても初々しく、多分付き合うのも時間の問題っぽく見えた。


とまあ、そんな事を考えていると……


「……最後に一条院 宗雪と九相院 桜の手合わせでござる!」


「……程々にしておくか」


「そうだなァ……」


その後の展開はまあ……割愛しよう。


端的に言うと、大豪林主戦と同じ様に完全武装した桜に対し、俺様が淡々と妖力弾を撃ちまくるというシンプルな展開が続き、最終的には桜の妖力切れで幕を閉じた。


なお、それを見た他の生徒達はというと……


「あ、あんな化物共とクラスメートかよ……」


「……というか、あいつ等に限らず萌音やら空助やら沙耶花やら夏芽やらもヤバいだろ……」


「沙耶花とかすぐやられた印象あるけど、俺だったら1発目でお陀仏だし……」


「……特に今戦ってる2人と沙耶花、空助は繋がり強いらしいし、触らぬ神に何とやらだよ……」


……とまあ、俺様や桜だけではなく、萌音や空助や沙耶花や夏芽も相対的に恐れられていた。


そんなこんなで俺様達の手合わせは終わったのだが、これを切っかけにクラスで避けられる事になるとは、この時の俺様達は思っていなかったのだった……

ご読了ありがとうございます。


夏芽は原作ゲームにおいて沙耶花の完全上位互換という訳ではなく、攻撃力の代わりにスピードが失われているキャラなので、初手の攻撃を上手く避けていれば沙耶花の勝利でした。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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