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13.桜が辿る筈だった未来

桜が辿る筈だった未来……

(九相院 桜視点)


……ん?


言い表せねぇ違和感がする。


確か、オレは入学式に出席して、校長の長話を聞いてた様な気がすんだがァ……


「ぎゃはははは!……おい沙耶花、腹減ったから今すぐ近くの自販機でコーラ買って来やがれ!……勿論、お前の自腹でなァ!」


「沙耶花、俺様の分も買って来い!」


「は、はい。……承知いたしました……」


……何故か、オレの目の前にオレと相棒(ダーリン)と沙耶花が居やがった。


だが、その様子は今のオレ達とは欠片も似ちゃいなかった。


「後、ムカついたからちょっと殴らせろやァ」


「……承知いたしました……」


「おい、俺様の喉が渇いちまうだろ?……殴るなら飲み物を買わせた後にしろ」


「それもそうだなァ!……おい沙耶花、殴りてぇからさっさと買って来やがれ!」


「しょ、承知いたしました……」


……何だよ、これ……


オレと相棒(ダーリン)が、沙耶花を虐めてやがる……


いや、あれは虐めとかそんなんじゃァねぇなァ……


よりえげつねぇ事だ。


と、そこへ……


()めてください!……それ以上、沙耶花様を虐げないでください!」


「あァ?……誰だァ?」


「……僕の名前は九十九 空助といいます。……昔、沙耶花様と出会った事がありまして……」


ありゃ、空助じゃねぇか!?


だが、あの様子じゃオレとは出会ってねぇのかァ?


「ああ、昔俺様の家に迷い込んだ下民か……今更何の用だ?」


「……今すぐ、沙耶花様を虐げるのを()めてください!」


「ほう……俺様に楯突こうというのか……良いだろう、俺様が直々に決闘で潰してくれるわ!」


……何だ?


この相棒(ダーリン)からは小物っぽさしか感じねぇなァ……


「決闘……ですか?」


「ああ、決闘なら俺様は合法的に下民を叩き潰せるからな……ま、怖じ気づいたのなら無理強いは……」


「良いでしょう!……その代わり、僕が勝ったら沙耶花様を解放してください!」


「……後悔すんじゃねぇぞ?」


「ここで助けない方が後悔しますよ」


空助が相棒(ダーリン)にここまで言うとか……


ってか、この光景はマジで何なんだァ?



そして場面は移り変わり……


「では、一条院 宗雪と九十九 空助の決闘を開始するでござる!……審判は拙者、六刃院 杏美が担当するでござるから、そのつもりで頼むでござる」


「ふん、良いだろう」


「良いですよ」


能面を被った赤髪の女性が、2人の決闘において審判を名乗り出た。


「2人には、この"身代わり人形"を持って貰って、これが壊れた方が負けでござる」


「俺様は要らねぇが……」


「ルールでござるから、持って貰うでござる!」


「……チッ……」


オレの知ってる相棒(ダーリン)は、こんなんじゃねぇんだがなァ……


と、しばらくして……


「……では、決闘開始でござる!」


決闘が開始された。


その瞬間……


「【隠密(ステルス)】です!」


「なっ!?」


空助が、得意の【隠密(ステルス)】で姿をくらました。


……ただ、明らかにオレが知ってる空助より技術が甘かった。


これじゃあ、聴力を駆使すれば居場所がハッキリ分かっちまうじゃねぇかァ。


だが……


「クソがっ!どこに行きやがった!」


ードドドドド!


……オレが見ている相棒(ダーリン)は、全く見当違いの方向に妖力弾を撃っていやがった。


あれじゃあ、勝負は決まったもんだなァ……


そう思っていると……


「隙ありです!」


ーグサッ!


「がはっ!?」


姿を現した空助が、相棒(ダーリン)の心臓を妖力で生成した刃で突き刺した。


直後、"身代わり人形"が発動して傷が消える。


「そこまででござる!……勝者、九十九 空助でござる!」


「あ、あり得ねぇ!……この俺様が負けるなんて!」


「……約束は守って貰いますよ」


案の定、空助が勝っちまった。


……にしても、この光景は本当に何なんだァ?


「あ、あり得ねぇんだよ……この下民が……」


後、相棒(ダーリン)は下民とか言わねぇし……


と、その時……


ーザザザァァァァァァ~!


「ん?」


突然、周囲の光景がテレビの砂嵐みてぇになった。


「これは……オレには見せられねぇ光景って訳かァ」



そうして、数分程が経った頃か……


「……お、何か見えて来たなァ……」


ようやく砂嵐が終わり、辺りの風景が再度見える様になって来た。


すると……


「ごふっ!……何で、お前が俺様を……」


「ぎゃはははは!……オレを殺せたと思ったかァ?……残念だったな、この間抜けがァ!」


そこに居たのは、妖に変貌した相棒(ダーリン)と狂骨の正体を(あらわ)にしたオレだった。


「あり得ねぇんだよ!……俺様が……あいつ等に負けるなんて!」


「いいや、お前は負けたァ……だから、その体はオレが貰う」


「嫌だ!……俺様は……まだ……」


「器を求めて骨が鳴る……ただし中身はがらんどう……そんなオレの名は狂骨 血染桜、契約の代価はしっかりと貰うぜ?」


「あぁぁぁぁぁぁぁ!」


……そうか、ようやく分かったよォ。


これは、相棒(ダーリン)がお告げを貰わなかった世界線だなァ。


何せあの、"器を求めて"から始まる口上は狂骨としてのオレが気に入ってた口上だァ。


「……ぎゃはははは!……これでさっさとあいつ等を潰して、零魔院 武射麿呂様復活の邪魔者を消し去ってやるぜ!」


……あァ、愚かだなァ……


武射麿呂を復活させるとか……いや、オレも真実を知るまではあんな感じだったなァ……


……っと、その時……


『九相院 桜殿、起きるでござる!』


……あれ、何であの赤髪能面の声がするんだァ?


まあ、そんなの気にしても仕方ねぇなァ……


……というか、完全に今すぐ起きねぇとヤバそうだなァ……


そう思った瞬間、いきなり周囲の光景が真っ暗になったのだった……


……………………


……………


……



「zzz……zzz……ぐがァ!?」


「こほん……九相院 桜、入学式で寝る生徒が居るのはよくある事でござるが、寝過ぎでござる。……もう校長先生の長話は終わって入学式も終わったでござるよ?」


「えぇ!?」


オレ、だいぶ寝てたなァ……


「……ほら、さっさと行くでござるよ!」


「ああ、(わり)ぃ!」


そうしてオレは、体育館を後にした。


……あの不可解な夢について、考えながら……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(俯瞰(ふかん)視点)


「……ほんま、噂とはえらい違いやったな~」


■■■■■(ピーーーー)っ!■■(ピー)っ!」


「玖尼はん……いい加減、自主規制かかりそうな卑猥な言葉吐くんは()めてくれへん?」


■■■■■■■■(ピーーーーーーー)■■■■(ーーーー)■■■■■■■(ーーーーーーー)!」


入学式を終え、少しだけ空いた時間で話をする、2年の五知院 綾香と3年の七賢院 玖尼。


だが、玖尼は口を開けば卑猥な言葉しか発して居ないのか、その場に自主規制のピー音が鳴り響いた。


「玖尼はんの父親も凄いお人やな~。……玖尼はんが卑猥な言葉吐いたら自主規制のピー音が鳴る妖術かけたり、少しでも卑猥な言葉を吐かせんために尼寺に放り込んだり……そこまでしても改善せん玖尼はんも大概やけど……」


■■■■■(ピーーーー)!」


「……玖尼はん、満面の笑みで何を言うてんねん……」


綾香はドン引きした。


玖尼が満面の笑みでどんな卑猥な言葉を吐いているのかは分からなかったが、ほぼ確実に碌な事を言っていないのは分かったからだ。


「綾香さん、そんなに言うのは酷くなぁい♥️?……まあ、私が■■■■■(ピーーーー)■■■■(ピーーー)■■■(ピーー)なのは認めるわぁ♥️……」


「さっき言うたばっかりやで!?」


綾香は困惑しつつも、玖尼の言葉を聞き流す。


■■■(ピーー)!」


「……話を戻すけど、一条院家本家の次期当主候補の入学は、多分やけどだいぶ大きな台風の目になるで~!」


■■■■■(ピーーーー)?」


「せやから何言ってるか分からへんのや!……ただ、こんなに数院九家が集まったんは運命を感じるけどな……」


綾香は知ってか知らずか、数院九家が揃っているのを運命だと評した。


そして綾香の予想通り、今後この1年間で大きな騒動が巻き起こるのだが、それを知る者はまだ居ない。

ご読了ありがとうございます。


玖尼の台詞(セリフ)は、基本的に自主規制の嵐となります。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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ヒロインが予知夢? を見るスタイル そして事前にお告げで破滅したから心を入れ替えた発言した主人公の先見の明(^.^) この流れ好きです普通なら先の事知ってたり違う人格が入ってたら隠したり誤魔化したりす…
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