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11.決着の余韻

こっちは何故かアイデアが湧いて来ます。

(一条院 宗雪視点)


「ふむ、確かに大豪林主ですな……」


「今後は、ここに退魔連の観測基地を設置する必要があるかと……」


「そうか……」


今、封印された大豪林主を見てるのは……退魔連という組織のお偉いさん達だ。


まあつまり……大豪林主封印の報せをお上に知らせたって所だ。


「それにしても……まさか封印まで持っていくとは流石ですな」


「どうも、偶然来ていた一条院家次期当主候補の宗雪少年が封印を主導したらしいでござる……」


「……という訳で、話を聞かせて貰えるかな?」


「あ、ああ……」


俺様としては、今すぐ逃げてぇ……


だが、ここで逃げると後々面倒な事になる……


「では、ここからは拙者が引き継ぐでござる。……まず、今日ここに来たのは本当に偶然でござるか?」


「偶然だ」


「嘘でござるな?」


「くっ……ほ、本当はこうなる予知夢を見た……」


「……微妙なラインでござるか……」


俺様は、お偉いさんの部下と思われる顔を能面で隠したござる口調の赤髪女性に詰め寄られていた。


多分、この人が持ってる能力は嘘判別かそれに近い能力なんだろうな……


だからこそ、俺様は嘘か本当か曖昧なラインで返答するしかねぇ。


「べ、別に嘘は言ってねぇ……」


「分かった分かったでござる。……それにしても予知夢、と申すでござるか……」


「……別に珍しくもねぇだろ?」


「それで、君はどんな未来を見たんでござるか?」


この世界、妖術が当たり前にあるように、予知夢だって珍しい事じゃねぇ。


ただまあ、この場合予知夢で何を見たかが問題になって来るんだが……


「……土蜘蛛 大豪林主が、三愛院家の分家を蹂躙する未来だ」


「ほう……それで、君はわざわざ三愛院家の分家を助けに来たのでござるか?……九相院家の娘を巻き込んでまで?」


「桜は自分から協力してくれたし、何より俺様の婚約者だから一条院家側と言っても過言じゃ……」


「でも、普通婚約者が死にかけるまで戦わせるでござるか?」


「……俺様は、無理はするなと言っていた……」


勿論、言っていたから何だという話なのだが。


俺様としても、今後は気を付けねぇと……


「……まあ良いでござる。……ただ、噂とはかなり違う人物の様でござるな」


「いや、1年と少し前までは噂通りだった。……予知夢を見て、変わったんだ」


「ほう……また予知夢でござるか……興味深いでござるな……」


何故だろう。


この女性に、どこか見覚えが……


……あ、思い出した。


「……六刃院 杏美……か?」


「っ!?……どうして、拙者の名を……」


やっぱりか……


この能面の女性は、原作ゲームにおいてヒロイン (※未実装) の1人であった六刃院 杏美だった。


まあ、原作ゲームの時点で30歳手前の教師として登場した彼女なら、今の時点で退魔師をやっててもおかしくねぇか……


「……まあ、予知夢に出てたからな……」


「どんな予知夢でござるか!?」


「……このまま自分勝手に育てば、高校1年生の間に死ぬって予知夢だ」


「い、嫌な予知夢でござるな……」


もう、全部予知夢って事で解決しよう。


「そこに、杏美先生も居たんだ」


「先生……そうでござるか……」


「……もう良いか?」


「……良いでござる。……それにしても、そんなハッキリとした予知夢を見るとは……やはり、一条院家本家の次期当主候補は凄いでござるな……」


こうして、一通り聞く事を聞いたらしい杏美先生は俺様から離れて行った。


それにしても、今の受け答えで何に気付いたんだ?


「……まあ、俺様が下手に詮索する事じゃねぇか……」


今の受け答えで、この後の未来に何か変更が起こるのだろうか……


それは、神のみぞ知るといったところだな……


「お~い、相棒(ダーリン)!……そろそろ来いよ?」


「そうだな。……今行く!」


そうして、俺様は石化した大豪林主の近くを離れ、三愛院家の分家の屋敷へと向かったのだった……



そして数分後……


「宗雪様、この度は誠にありがとうございました!」


「「「「「ありがとうございました!」」」」」


三愛院家の分家の屋敷にて、俺様は屋敷の者達から盛大な感謝の言葉を贈られていた。


「お、大袈裟だな……最終的に大豪林主を封印したのはお前等だろ?」


「ですが、宗雪様が居なければ私達は対応が遅れて為す術なく死んでいたでしょう」


まあ、それはその通りだ。


実際、原作ゲームではそんな感じの末路を辿っている。


「だが、最後に決めたのがお前等ってのには変わりねぇんだから、過度に俺様達に恩義を感じるな!」


「で、ですが……」


「良いんだよ、別に……それと、今後は萌音の後ろ盾になってやるから、それでチャラにしてくれ」


「わ、分かりました……」


言っちゃあアレだが、下手に過度な恩義を感じられても迷惑なだけなんだよな……


ま、そんな訳で……


「俺様は、自分のやりたい様にやっただけだ。……実際、今回の一件で俺様の名は一気に知れ渡るだろう」


……不本意な事に、だがな。


「……とか何とか言って、本当は知れ渡って欲しくねぇんだろォ?」


「桜、一旦黙ってろ!」


「お兄様、それは認めておられる様なものでございますよ?」


「沙耶花まで……」


「宗雪様は、僕から見ても不器用な方だと……」


「空助、お前もか!」


主人公に慕われ、妹に慕われ、破滅の元となる妖には惚れられ……破滅フラグはとっくに無くなった筈なのに、これはこれで逆に恥ずかしいな……


「……まあ、冗談はこれぐれぇにして……あれ、数年後に復活すんだろ?……どうすんだァ?」


「……どうすれば良いだろうな……」


あくまでも、今回の解決方法は問題の後回しでしかねぇからな。


数年後、封印が解けた時にどうするか……考えとかねぇとな……


「ま、今は勝利の余韻に浸ろうぜェ!」


「そうでございますね!」


「そうですね!」


「……本当に、大丈夫だろうか……」


そうして俺様は一抹の不安を感じつつも、今は勝利の余韻に浸る事にしたのだった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(俯瞰(ふかん)視点)


とある廃寺、その本堂にて……


「うむ……どうやら大豪林主が何者かによって封印された様じゃのう……」


蛸と鯰と人間が合わさった様な見た目の老人が、そう呟いた。


「しかも、直前まで戦っていた者の反応が血染桜の妖力に酷似しているでありんす。……わっちの見立てでは、血染桜は裏切ったと解釈しても良いでありんす」


老人の言葉に対し、腰から9本の狐の尻尾を生やした和服姿の黄髪女性がそう言葉を続けた。


「やはり、裏切ったか……拙僧としても、奴はいつか裏切ると思っていた……」


2人の言葉に続ける様に、1人の烏天狗が更に言葉を紡いだ。


「グハハハハ!……ってか、それなら河濫沱や天五獣君もやべぇだろ?……この際、我が速攻で倒しちまっても文句はねぇよな?」


烏天狗の言葉に続ける様にして、上半身裸で赤い肌が特徴的な粗暴そうな鬼がそう発言した。


「それは止めた方が良いじゃろう。……いくら奴等が怪しくとも、今の儂等は仲間なのじゃから……」


鬼の言葉に、老人は待ったをかけた。


仲間同士の内ゲバを防ぐためのその言葉は、内容に反してどこか冷たさも感じるものだった。


「でも、2人……天五獣君を1人と数えるか5人と数えるか悩ましいでありんすが、どちらも封印が解けてから顔も見ていないでありんすよ?」


「拙僧も同感だ。……河濫沱も天五獣君も、長いこと顔を見ていない!」


「……じゃからって、裏切り者と断ずるのは良くないじゃろう……証拠があれば別じゃがのう……」


八妖将上位4人の会議ではあったが、結局結論が出る事はなかった。


だが、その猛威は遠くない未来に必ず人間に振るわれる事になるのだった……

ご読了ありがとうございます。


次回、いきなり数年飛んで高校入学です!


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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― 新着の感想 ―
凄く良い所Σ('◉⌓◉’) 転生知識をお告げ,予知夢として公にした所が主人公のナイスプレイです 人格や考えが以前と違ったり本来なら知らないはずの知識(設定 を知ってたり側から見たら意味不明な言動をした…
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