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1.悪役転生は突然に

初の悪役転生モノです。


今後は、この作品と「妹の勇者召喚に巻き込まれたら、まさかの獲得スキルが【補助全般】だった……いやこれ、他者を強くすれば無問題じゃね?……な異世界冒険録」を交互に更新していきます!

(村見 壮太視点)


「ハァ~……今日も1日が終わったか~……」


俺の名前は村見 壮太。


何処にでも居る普通の社会人だ。


ちなみに年齢は23歳。


……俺、誰に向かって言ってるんだろうな……


「ま、そんなのどうでも良いか……それより、1日の終わりはやっぱゲーム……って、"陰陽ラヴァーズ"はもうストーリー終えちまったんだった……」


"陰陽ラヴァーズ"とは、陰陽師……というか退魔師が一般的になった世界を舞台にしたギャルゲー兼RPGだ。


ストーリーはモロRPGなのだがギャルゲー要素もかなりあり、ダウンロード版のみのインディーズゲームとしてはクオリティも良かったと思う。


特に気になったのは、多種多様なヒロイン。


合わせて8人のヒロインを攻略出来て、最終的にはハーレムルートすら実装予定とされたのが大きな売り()()()


"だった"というのは、このゲームの開発元が資金繰りに失敗して倒産。


ハーレムルートどころか、ヒロインは最初の1人だけしか実装されなかったという残念具合だ。


「……ま、その割にストーリーはそこそこ楽しめたけどな。……8人のヒロインと縁深い8体の妖ってのも面白かったし……」


そう。


RPG要素の要とも言えるボスキャラとして、ラスボスの外道陰陽師の式神である8体の妖と戦う事になるのだが、これが1体1体ヒロインと因縁があるという仕様だった。


本当に、全ヒロインを攻略したかったものだ。


「……ま、倒産する寸前にダウンロードして、ダウンロードした数時間後に開発元が倒産した俺は余計な期待をせずに済んだんだが……」


まあ、1人だけでも攻略出来ただけありがたいし、別に良いだろ。


「さて、やる事もねぇしそろそろ寝るか……」


そうして、俺はベッドに入って眠りについた。


……これが永遠の眠りになるとは知らずに……




「パンパカパ~ン!村見 壮太様、おめでとうございマ~ス!」


「……へ?」


俺は気が付くと、真っ白な空間に立っていた。


ちなみに、俺を祝福してる奴は金髪の女性だった。


……変な夢だな……


「夢じゃありマセ~ン!」


「え?」


「ま、驚くのも無理はありマセ~ン!……村見 壮太様、貴方は寝ている間に心臓発作で亡くなりマシタ!」


「……ハァ?」


「そして、貴方を異世界転生させてあげたいと思いマ~ス!」


「……ハァ!?」


もう、何が何だか分からねぇ!


「あ、私の名前は……とある神とでも言っておきマショうか……」


「……で、その神さんが俺みてぇな凡人に何の用だ?」


「まあ、噛み砕いて話しマスと……実は今、私達神々の間で異世界転生が流行ってマシてね~?」


「いや、そんなもん流行らせるな!」


「で、私も誰か転生させたいと思いマシて……丁度適当な魂を見つけたので……」


「ああ、何となく分かった……」


要は、暇な神々の遊びか……


……となると、これが夢じゃねぇ限り俺が死んだのは本当っぽいな……


「おや?……普通、喜ぶところではありマセンか?」


「生憎、俺はそこまで浮かれられねぇよ……向こうに残した両親も心配だし……いや、その辺は他の兄弟が何とかしてくれるか……」


「念のため言っておきマスが、現世にはもう戻れマセンよ?」


「そうかよ……で、どんな異世界に転生させてくれるんだ?」


俺はもう、これを夢だと思う事にした。


……というか、そう考えて現実逃避をしていた。


「そうデスね~……あ、そうそう。……貴方がやってた"陰陽ラヴァーズ"をもとにした異世界とかどうデス?」


「え、いや……」


「そういえば、最近は悪役転生とか流行ってマスよね?」


「待て、この流れ……」


「かと言って、ボスキャラの妖達では選択肢が狭まってしまいマスね……よし、このキャラにしマショう!」


「待てって言ってるだろ!」


俺抜きで話が進んで行く。


そもそも、俺は転生を承諾した覚えはねぇ!


「それでは、良い転生ライフをお過ごしくださいデ~ス!」


「おい、いい加減に……」


ーフッ……


「えぇ?」


俺の足元から床が消え、奈落に落とされる感覚が全身を支配して……俺の意識は途絶えた……




「……様……お兄……お兄様、ご無事でしょうか!?」


「んっ……んん?……ああ、沙耶花(さやか)か……」


俺様(・・)は……全て、思い出した。


俺様の前世は、この世界とは違う世界の日本で平凡な社会人をしていた……


「お兄様?」


「おい、沙耶花……俺様の名前を言ってみろ」


「え?……一条院 宗雪お兄様であられますが……」


やはり、そうか……


一条院 宗雪……俺様は、"陰陽ラヴァーズ"に登場する敵キャラだ。


ヒロインの1人……というか、結局唯一の攻略可能ヒロインとなってしまった一条院 沙耶花の双子の兄にして、最後まで沙耶花を虐げ続けるキャラだ。


そういや、あのクソ神は悪役転生がどうとかいってやがったが……こういう事か……


「おい、俺様達は……今、10歳か?」


「はい。そうでございますが……」


……今は春の4月。


そして、俺様達の誕生日は9月……


つまり、小学5年生か……


ちゃんと、前世を思い出す前の記憶はある筈だというのに、少し混乱してやがるな……


「……まだ、やり直せる範疇だな……」


「ど、どうかされましたか?」


「……おい、沙耶花。……これまで悪か……」


……待て。


俺様は今、何をしようとした?


沙耶花に謝ろうとしたのか?


確かに、俺様はこの段階でも沙耶花を小間使いの様に扱っている。


だが、他の親族に比べたらまだ生易しいじゃねぇか。


「お、お兄様?」


「……今日から、俺様の鍛練に付き合え!」


「えぇ!?」


「お前は磨けば光る原石だ!……俺様の妹として、何処に出しても恥ずかしくない実力に鍛えてやる!」


俺様が謝ったって、何も変わらねぇ。


どうせ、主人公が現れるまで虐げられるだけだ。


……だったら、俺様がとことん鍛えてやる。


「まずは、退魔師の基礎たる妖力と……」


「え?……落ちこぼれの私に何を……」


「俺様の指示に逆らうのか?」


「いえ、そんなおつもりは滅相も……」


さて、そうして沙耶花の特訓をしている間に、この宗雪というキャラをおさらいしよう。


この宗雪というキャラは、ずっと沙耶花を虐めていた印象しかねぇな。


落ちこぼれ、穀潰し、雑魚、兄として恥ずかしい……そんな暴言を呼吸するがの如く吐き続け、時には暴力による躾も行っていた。


しかし、高校にて入学式で色々あって主人公と模擬試合をする事となり、噛ませ犬となって敗北。


そこから彼の転落人生が始まり、最後は8体のボスキャラの内の1体と取引をして妖に変貌。


そのままボスキャラに体を器として乗っ取られて死ぬという、呆気ない末路を辿るのだが……俺様としては、そんな人生を歩むつもりは毛頭ない。


「……かといって、今の沙耶花と仲良くするのは無理だな……これ程の原石を鍛えねぇなんて、そんな勿体ねぇ事はしねぇよ!」


沙耶花は強くなる。


いや、正確には鍛え方を変えて強くなるのだが……それなら、今から強くなって貰わなきゃ困る。


「あ、あの……お兄様?」


「ん?……分からない部分でも出たか?」


「い、いえ……ですが、普段よりもお優しくて……」


「言っただろ?……お前は原石なんだから、それを磨く方向にシフトしただけだ」


「は、はい」


沙耶花は原作ゲームにて最終的に、少ない妖力で相手を殴り倒すタイプの退魔師になる。


ならば、この世界でもその方向で育てよう。


「……そういや沙耶花、少し前に一条院邸に迷い込んだ同年代の小僧についてだが……」


「っ!?……あの者に手を出すのだけはお止めください!」


……やはり、そうだろうな……


ちなみに、この小僧はこの物語の主人公である。


そして、沙耶花は彼を大切にしている。


「手は出さん。……だがまあ、奴とも繋がりを持っておけ。……俺様が見る限り、将来有望だ」


「え、そうでしょうか?」


「何なら、沙耶花の婿としても充分……」


「む、むむむむむむむむむ婿でございますか!?」


本当に沙耶花は分かりやすいな……


……とまあ、俺様は破滅の末路を回避すべく、早々に主人公を懐柔しようと動き出すのだった……

ご読了ありがとうございます。


書きたい衝動に逆らえませんでした……


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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新作おめでとう御座います インディズ…確か同人氏ゲームなどのサークル? 少人数で開発資金も少ない中で発売するゲームだったようナ… ゲーム転生でも中々の無い世界感とヒロイン1人分しか判明してない原作情報…
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