表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/47

第3話_修行開始



マクスウェルはステラを抱っこしながら悩んでいた

あれからしばらくステラの魔力を操作し続け、内部に

魔力が溜まらないように心崖てはいる

最近では良く成長してきてハイハイやちょっとだけ

立って歩くことも覚え

始めたものの、もうすぐ2歳近くにはなるがまだまだ

赤ん坊である

自分の考えで魔力操作なんてできる分けも無かった



彼は考えた、

魔力操作は歩くのと同様に無意識化で行えるもの

一度覚えてしまえば、後はずっと操作し続けられる

ものだ


赤ん坊は覚えるのが早い

彼はそんな一縷の望みに掛けて、赤ん坊ながらステラ

の修行は始まった



(まずは早く魔力操作を覚えさせなくてはなるまいな)



「良いか、ステラよ、これからお主をわしの弟子

として一人前に育て上げてやる、心してついて

くるように

 そしてわしのことは師匠と呼ぶように!」



抱っこされているステラはつぶらな瞳をパチクリさせ

ながらきょとんとした

顔でマクスウェルを見つめている

何を言ってるかわからないという顔だ

その顔を見て、

(まだ2歳の赤ん坊にわしも何を言っているのじゃろう)

と彼も苦笑する



そんなステラのお腹に手を当てマクスウェルは魔力を

流し始める

少しずつステラに魔力を流し込んでいく



ステラはむず痒いのか体をくねくねさせながら

マクスウェルにしがみ付いていた

彼はステラの心臓まで魔力を届かせると、ステラの

魔力を絡みつかせ引っ張りながら

腕から足、頭、再び心臓へと魔力を一周させる

そして不要な魔力を体の外部へ放出する


新しい魔力は大気中に含まれるマナを体が勝ってに

吸収するため、不要な魔力だけを放出すればよい

前は放出する術を持っていなかったため、魔力暴走に

まで至ってしまった

生まれたばかりでそこまでの魔力を持っている方が

稀ではあるが


本来では5歳程度になるまでに魔力が多かろうが

少なかろうが自発的に覚え、環境に適応していくため、

問題にはならない

ただ稀にステラのような子供が生まれて来るが、

対処のしようがなく大抵は死に至ってしまう

ステラにとってはマクスウェルがそばにいたのが

唯一の救いとなった


ステラは自分に起きている不思議な感覚にいまだに

きょとんとしていた

マクスウェルにしてみれば泣くでも喚くでもないため

非常にやりやすかった


続けて何周も何周もその動きを繰り返す

自然に覚えていく動作を今は外部から強制的に覚え

込ませている感じだ

そんな中いつの間にかステラは眠ってしまっていた

しかし、この動きをしても眠れるぐらいであれば、

覚えるのも早いだろうと

彼は思っていた

ステラが眠っている間も一連の動作はずっと続いた


(1ヶ月もあれば習得できるかもしれないな)



マクスウェルは流石は大賢者というべきか、魔法関連

については素晴らしく天才であった

ステラと手を繋ぎながら外を散歩している時や、

おんぶをしている時、いかなる時でも

ステラの魔力に自分の魔力をのせ一連の動作を染み

こませた


そして修行がはじまり早3ヶ月、ステラと出会って

からだとちょうど2年がたった


「やった!!、成功じゃ!」


マクスウェルはリビングで一人ガッツポーズをした

ステラの修行が始まり、ようやく自発的に魔力の

流れを操作できるようになった

始めは1ヶ月程度でできるようになるだろうと踏んで

はいたたものの魔力総量が多いためか難義していた

しかし、今目の前に立っているステラはわしが魔力

干渉しなくても自発的に魔力を循環させることが

できている



感慨深くなり、目からは涙が零れてきてしまった

(親とはこういうものだったのか、子供が成長する

姿を見るのがこんなに嬉しいことだなんて)

ここ最近では始めての嬉し涙である


「おししょうさま?」


ステラは首をかしげながらマクスウェルを見つめて

いる


「なんでもないのじゃ、なんでも」


彼はステラをぎゅっと抱きしめた


「おししょうさまくるしい」


ステラは最近良く喋るようになってきた

まだ2年だというのに本当に成長するのが早い


(ステラもわしと同様に大賢者になるのも夢では

ないのう

これは親ばかというものかのう)


「すまん、すまん、今日はご馳走にしようかの」



晩御飯は鳥の丸焼きや、山で取れた山菜をサラダに

したもので豪勢に彩った

彩ったと言えど所詮は男の手料理、そこまで綺麗な

ものとは言えないが

席につきお互い料理を挟んで向かい合う


ステラと出会ってから2年、2歳になったというのも

あり、些細なお祝いである


「ステラ、お誕生日おめでとう、そして魔力制御

おめでとうじゃ!」


ステラはきょとんとした顔でマクスウェルと料理を

交互に見ている

早く食べたいんだけど!という声が聞こえてきそうだ


マクスウェルは苦笑しつつ

「じゃあ、食べようかの、いただきます」


「いただきます!」


ステラは手づかみで肉やら野菜やらをむしゃむしゃと

食べ始めた

生後2年でなかなかの食べっぷりだった

本来であればもう少し幼児に優しい食べ物を用意

しないと行けないのであろうが、残念ながらここに

そんなものはない


マクスウェルも用意した料理を食べつつ、今後の

ステラの方針を考えた


(魔力循環の基本的な操作は覚えることができた

だとすると次は早いうちに魔力総量を増やして

おくのが良いかのう)


魔力総量については子供のときの方が伸びやすく、

大人になるに連れて伸びにくくなると一般的には

言われている

大人でも伸びないわけではないが、子供の1年に対し

て大人だと同じ量伸ばすのに10年近く掛かるらしい

魔力総量を伸ばすのであればやはり子供のうちだろう

と彼は新しい修行方法を思案していた



「ステラ、これからも一緒に頑張ってくれるか?」


ステラは口いっぱいに料理を詰め込みながら


「ふぁい、がんばりまふ!!」


と良い返事で返してくれた

その返事を聞いてマクスウェルからは安堵の笑みが

零れたのだった





かくしてステラの修行は次の段階へと以降していく

魔力総量の増加である

増加させる方法としては主に2種類存在している


1つ目が己の限界まで魔力を吐き出し空っぽにした後

超再生を利用した手法

2つ目が逆に大量の魔力を内包させ魔力容量の枠を

無理やり広げていく手法


1つ目は筋力トレーニングに近くデメリットがほぼ

無いが時間が掛かってしまう点

2つ目は胃の拡張に近く失敗すると魔力暴走を引き

起こす可能性があるため危険である点だ


ステラの場合魔力総量がもともと多いため、1つ目の

手法を取ろうとすると吐き出すための

時間を多く必要としてしまうし、増加したとしても

微々たるものであろう


そのため今回魔力暴走の危険性はあるが2つ目の手法

を使用し無理やり容量を拡張していく手法を選択する

容量を満タンにするための魔力としてほぼ同等の容量

をもったマクスウェルもいるし、仮に魔力暴走に陥っ

た場合でも緻密な制御が可能であるため危険度は

だいぶ下がるだろう



「ステラ、良いか?先ほど説明した内容がこれから

新しくやる修行になる」


「おししょうさま、ステラにはよくわからない」



二人はソファに座り、お茶を飲みつつ次の修行に

ついて語りあっていた

ステラは彼が言っていることが全く理解できず

しょんぼりとしている

それもそのはず、2歳をちょっとすぎた程度の子供が

理解できるわけがない

そもそも、一人で歩き、魔力操作ができ、言葉を

そこそこ話せる2才児の方が異常なのだろう

ここまでステラの成長が早いのもマクスウェルの

英才教育の賜物であった

毎日運動と称して連れまわし、本を読み聞かせ、

魔力操作を常時施し続ける

普通の親ではなかなかできないことを彼は平然と

やってのけていた

赤ん坊の成長研究と題してしまえばそこまでなの

だろうが・・・



そんなしょんぼりとしているステラの頭を撫でながら


「よいよい、ステラよ、今は理解できなくても

大丈夫じゃ

 難しい言葉よりも体に実際に覚えさせた方が

はやいからのぉ」


ステラは気持ちよさそうに目を細めている


「ようは、いっぱいご飯を食べた時と同じ感覚を

ずっと続けるようなもんじゃ

 少し苦しいかもしれんけど、無理な時は我慢せず

いうのじゃぞ?

 わしもそばにずっとついておる、心配することは

ない」


「うん、がんばる!」



「それじゃあわしの膝の上にのるのじゃ」


ぽんぽんと膝の上を手で叩きながらこっちに来る

ように促す

ステラはソファから一度おりて、マクスウェルの膝の

上に飛び乗り座り直した

彼はステラの頭をなでなでした後、左手をステラの

お腹へと当てる


「わしの魔力を流し込んでいくぞ、苦しくなったら

いうのじゃぞ」


「うん!」



マクスウェルはステラのお腹から魔力を少しづつ

供給し始め、魔力を心臓まで送り込んでいく

常にステラの魔力操作を行っていたため、おおよその

魔力容量は事前に確認済みである

容量がいっぱいになる直前で一度魔力の供給をとめ

ステラに確認をとる


「どうじゃ?苦しくはないかの?」


「だいじょうぶ、ほんのりからだがぽかぽかする

くらい」



少し熱量が上昇しているようではあった

問題はここからである

やりすぎると急激に熱量が上昇し始めてしまい暴走

状態に入ってしまう


(ここからは慎重にすこしつづいこうかの)



そして彼は少しづつ、少しづつステラの中に魔力を

送り続ける

あまりにも緻密すぎて額には汗が浮かび始めていた


ステラの魔力容量がほぼ限界のところまで来た

ところで


「すこし・・・くるしいかも」



ステラも少し辛くなってきたのか汗を浮かべ始める


(体が少し光ってきてる気がするがどうじゃろう)


その状態から少しだけ魔力を送って許容を少し超え

させる


「この状態で少し、我慢することはできそうかの?」


「ちょっとくるしいけど、だいじょうぶ」



ステラの額には大粒の汗ができ始めた

相当辛いようにも見える

抱き抱えている彼の体にも結構な熱量が伝わっていた


しかし、これまでの魔力操作の修行が生きていること

が伺える

暴走寸前のはずではあるが、きちんと許容を超えた

ところで循環できているのだ



その状態で1時間は立ったであろうか


「おししょうさま、くるしくなくなった」


ステラはけろっとした顔でマクスウェルを見上げる

すでに二人とも体中は汗でびっしょりになっており、

まるでお風呂に入ったような状態になっていた


「そうか、成功じゃな!!」


彼は小さくガッツポーズをした

小さな成功でも、研究者として成功するのは嬉しい

ものだ


「ステラよ、毎日先ほどの修行ができそうかの?

 辛そうにも見えたが・・・

 無理そうだったらいうのじゃぞ」


「つらいけど、おししょうさまといっしょなら

だいじょうぶ!」


ステラは満面の笑みでそう答えた


彼は泣きそうである

汗だくで髪の毛もびしょびしょになりながら、最高の

笑顔を向けてくれるステラをなでなでした



「汗でびっしょりじゃな、まずはお風呂に入って汗を

流すことにしよう」



マクスウェルはステラを抱えてお風呂場へと向かった


この家のお風呂は非常に広い

マクスウェルが家の外に土魔法で穴を堀り、岩を敷き

詰めて作った天然の露天風呂である

そこに、水魔法で大量の水を生成し、熱を加えつつ

温度を上げていく

そうすると簡単にお風呂に湯を張ることができた


ステラの服を脱がし、自分も服を脱ぐ


ステラを抱えたままお風呂につかると、いい湯加減

なのか思わず声も出てしまう


「はぁ~効くのぉ~」


ステラも目を細めつつ、次第に体の力が抜けていくの

がわかる

抱っこしながら頭を撫でてやると、くすぐったそうに

していた

髪の毛もだいぶ伸びてきて今では肩ぐらいまでは

あるだろうか

色はマクスウェルと同じ白色の髪の毛であり、

サラサラつやつやな髪の毛である

目も昔とは違い、今ではぱっちりと開けることが

できるようになり、そこからは赤くルビーのような

キラキラした瞳が覗いている



「今日は良くがんばったのぉ」


「あしたからもがんばる!!」


ステラはグッと手を握り頑張るポーズをとった


ステラの修行はまだまだ始まったばかりではあるが、

この修行によってマクスウェルが

やってしまったことの重大さに気づくことは永遠に

訪れることはないだろう



こうして二人の新しい修行は幕を開けたのであった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ