第20話_ルージュ完全敗北1
「それじゃ、始めましょうか」
早速ルナの提案してくれた通り修行を開始する3人
「まずは一人ずつの方が良いかと思います
ルージュからどうぞ」
「確かにいっぺんにやると気が散るかもしれないわね
ステラいい?」
「わかった、じゃあ背中向けてね」
私はルージュの背中に手をやる
(二つで一つ、二つで一つ)
まだ、あまり感覚がわからないがマギを作り出す時の
感覚は覚えている
それを魔力と気力を意識せずに行ってみることにした
「それじゃいくよ」
私はルージュの背中からルナにしてやるように
ゆっくりとマギを流し込んでいく
流し込んでいくマギとルージュのマギを感じ取り
ながら、そのマギをも絡めとる
「凄い不思議な感じがするわ、他人に内側からいじら
れているような」
ぐるぐる
ぐるぐる
ルージュの体全体にマギを行きわたらせるために、
少しずつ流す量を増加する
ぐるぐる
ぐるぐる
「な、に、これ、体がふわふわしてきて、熱い」
ルージュの本能が危険信号を上げている
このまま続けるのはまずいのではと
体の内側がどんどん熱くなっていき、一つ一つの細胞
が活性化していくのがなんとなくわかる
内側からぐちゃぐちゃにされてどうにかなりそうだ
「はぁはぁ、はぁはぁ」
次第に息遣いは荒くなり、体はいつしか汗で
びっしょりになっている
ぐるぐる
ぐるぐる
私はどんどんマギの量を増加していく
ルージュはフラフラし始めたが大丈夫だろうか
「主様、もっと送っても大丈夫かと思います」
そんなルナの言葉にルージュは
(待って、待て待て待て待て!)
しかし、意識が朦朧とし始めたからか言葉にならない
目はトロンとし始め、口は半開きになり涎が垂れ
始める
決して美少女がしていいような顔ではなかった
「そう?もうちょっと上げるね」
ルージュはもう頭で何かを考えることができなく
なっていた
フワッとした浮遊間だけがのこり気持ちよさだけが
伝わってくる
そしてついにステラのマギは心臓までたどり着いた
ドクンッ!
ビクンッと大きく体が跳ねる
鼓動が一気に早くなり、若干意識が途切れかける
(それ以上はまずい、まずい、まずい、まずい!)
ルナはそんな表情を見つつなぜかにやにやと
笑っている
私は心臓を捉えた後、さらにその中にある魔石へと
マギを流し込んでいく
流石は龍というべきか、無限にも近い魔力を内包でき
そうな魔石を感じ取れた
そこに向かって、大量のマギを流し込む
次第にステラの額にも大粒の汗が流れ出してきていた
ぐるぐる
ぐるぐる
ルージュの意識はすでになかった
体をめちゃくちゃにされ、さらに自分でも感じ取れ
ない魔石の中までぐちゃぐちゃにされている
体はいつしかビクビクと痙攣していた
体の全てをステラに支配され、最終的には
パタリッ
とルージュは地面に倒れた
「ルージュ!」
「主様大丈夫です
おそらく初めてだったので体が驚いたのだと
思います」
そう言いつつルナは彼女の体を抱きかかえ起こした
「しばらく私が見ていますので、修行を続けなさって
ください」
倒れた彼女をじっと見つめる
「そう?ならいいんだけど・・・・」
いきなり倒れられると流石に心配だ
しかし、ルージュにとってはルナの方が近しい存在、
ルナがそういうなら大丈夫なのであろう
~ルージュside~
それから数分して私は意識を取り戻した
未だに体の中をステラのマギがぐるぐる巡っているの
がわかる
体はフワフワし、体が凄く熱い
「目が覚めましたか?」
目の前にはルナの顔があった
私はルナに膝枕されているようだ
「ええ、まだ起き上がれそうにないわ」
「いいですよ、しばらくはこのままでも
ところで、どうでしたか?感想は?」
ルナはにやにやしている
凄く悪い笑みだ
その顔を見て、ルージュは悟った
(こいつッ)
ルナは最初から知っていたのだ、こうなることを
「凄かったでしょう?
ふわふわしてたまらなく気持ちよかったでしょう?」
ルナはそんなことを言いながら頬を赤らめた
私は今も体中にステラのマギを感じている
だいぶ慣れてきてはいるが、体はまだビクビクと時々
痙攣していた
確かに今まで感じたことが無い快感が全身を駆け
巡っている
大量に取り込んでしまったせいか、体の言うことが
効かない
「ええ、やばかったわ・・・
てか、今もやばいわ」
フフッとルナは笑う
「これで勝負にも負けて体も負けてしまいましたね」
ルージュの顔は一気に真っ赤になった
「心は負けてないわよ!!」
はっ!
っとなり、体は負けたことを宣言していることに
気づく
(ぐぬぬぬ)
「まぁ、それも時間の問題ですよ
これであなたもこちら側」
そういいながらルナは頭を優しく撫でてくる
「うるさいわね!
龍族は誰にも屈しないし、従わないわ!
これは絶対よ、絶対!」
私はついつい向きになってしまう
なんとなくルナの言う通りになるが嫌なのだ
「主様のマギが無くなった時が見ものですね」
口では硬い意思を告げたものの、ルナの言う通り
ステラのマギが無くなった時自分はどうなって
しまうのだろう
少し怖くなったのは事実だった
私とルナにはステラに知られては行けない二人だけ
の秘密ができた
その夜の出来事
ステラは初めての修行で体が疲れてしまったのか、
先に寝てしまった
私もルナもそんなステラを見て寝る準備をする
「私たちも寝ましょ」
「そうですね、それでは失礼して」
そういうとルナはステラに抱きつくように隣に
寝転んだ
「あなた何してるのよ」
「私はこうして夜の間も主様からマギを貰っている
だけですが?
いつも通りですよ
ルージュもどうですか、一緒に」
ニヤニヤとルナはルージュに視線を向ける
それを見て私は昼間の出来事を思い出し顔が真っ赤
になってしまう
「わ、私はそんなのに屈しないわ!!
おやすみっ!」
少し離れたところで寝ころんで、ガバッと布を
かぶった
少し布から顔を出し向こう側を見ると、ルナが気持ち
よさそうに隣で寝ているのが見えた
(うらやましくなんて・・・ないんだから!)
~ステラside~
数日が立って、マギの使い方についてあれやこれやと
試行錯誤していた
少しずつ慣れてはきてはいるが、先は長そうである
これまで体にしみついた癖が中々抜けないのだ
それにプラスして、集中力を乱す原因が他にあった
ルージュである
彼女は目の下に大きなクマを作り、体調が凄く悪そう
だった
「ルナ、ルージュは大丈夫なの?
あれからどんどん体調が悪くなってそうな気がする
んだけど」
私はルナにマギを流しつつ問いかけた
初日にルナが提案してくれた手法だが、ルージュは
あれ以来参加していない
「特に問題は無いかと思います
そのうちこちらに混ざってくるかと」
「だったら良いんだけど・・・」
最初はあれだけ喜んでいたのに、パタリと元気は無く
なり口数も少ない
なんかの病気じゃ無ければいいのだが
私はやっぱり心配になり、休憩の合間にルージュと
話してみることにした
「ルージュ、大丈夫?
どこか、体の具合でも悪いの?」
ルージュの肩にポンっと手を置いた
その瞬間
ビクンッ!
とルージュの体が跳ね上がる
「だ、だ、だ、大丈夫よ!
だから、その、私にあまり触らないで
悪いけど、今はそっとしておいてほしいの」
ルージュの目の下は真っ黒だが、顔はものすごく赤く
なっている
「やっぱり、なんかの病気なんじゃ」
そう詰め寄ると
「大丈夫よ!」
そういって走り去ってしまった
「主様、ここは私が見てきます」
ルナはルージュの後を追って行った
「なーんかここ最近あの二人怪しいのよねー」
少しのけ者にされている感じで寂しい
~ルージュside~
(まずい、まずいわ
手を置かれただけで体が反応してる)
逃げるようにステラから離れてきてしまった
不審がられたりしてないかしら
「でも、後少し耐えれば良くなるはず、
負けないわ、絶対負けないんだから!」
「何に負けないのですか?」
後ろを振り返るとそこには満面の笑みでルナが立って
いた
「いい加減、認めてしまった方が楽になりますよ?」
「私は龍よ、誇りがあるわ
人間に屈するなど・・・」
「はぁ、いいじゃないですか、そんなこと
私はあなたを認めているからこそ、提案したのに
最近は夜も碌に眠れていないのでしょう?」
ルナは少し飽きれた顔をしている
「私は・・・・私は・・・」
フラッと体の力が抜ける
あれ、急に体が・・・
限界だった
度重なる我慢とストレスについに限界がきたのだ
次第に意識が遠のいていく
「わ・・た・しは・・」
~ルナside~
ルージュが倒れる寸前、急いで駆け寄り体を抱き
かかえた
「本当に馬鹿なのですから
本能のままに従えば良いのに」
さてと、仕上げをしますか
私は修行する主のもとへとルージュを連れて行った
ルージュの姿を見て、主様はすぐさま駆け寄ってきて
くれた
「ど、どうしたの?」
「主様、ルージュが倒れてしまいました
おそらくマギの不足かと」
「マギの不足?
でもこの間覗いた時はかなり膨大な量のマギを
持っていたよ?」
「おそらくですが、主様にマギを流されてからの
影響かと
上手くマギを順応できたなかったのかと思います」
私は適当に嘘をついた
主様には申し訳無いが、このままだとルージュの体も
もたないだろう
すぐにマギを流して貰わなければ
ルージュを地面に横たえさせ
「ですので、主様のマギを流してあげれば元に戻るか
と思います」
「そ、そうなの、じゃあすぐにやるね」
そういうと主様はルージュにマギを流し始めた
それと同時にルージュの体は無意識にも関わらず、
ビクビクと痙攣し始める
「これ、本当に大丈夫なの?
なんか、凄い勢いで吸われるんだけど」
「もっと大量に流し込んでください
私なんかよりも、多くのマギが必要だと思います」
(これで少しは楽になるでしょう
起きた時が見ものですね)
私はそれを見つつ、また少しにやけてしまっていた
しばらくすると
「あ、もう吸われなくなった
やっぱりルナの時と同じで大量に吸わせたら、
止まったね」
っとルージュがお腹いっぱいになった報告をしてきた
顔色を見るとだいぶ良くなっている
「これでまずは大丈夫かと思います
主様ありがとうございます」
「当たり前だよ
ルナもルージュも大切な友達なんだから!」
(主様)
思わず抱きしめてしまう
「よし、よし」
っと頭を撫でてくれた、気持ちいい
「また、しばらく様子を見ておきます
こちらは任せてください」
そういってルージュを担いで、野営の場所に戻ること
にした
また、膝枕をしつつ彼女の顔眺める
ルナには思惑があった
もし主様に何かあったとき私一人ではどうにもならな
いときが来るかもしれない
でもそんな時後一人、ルージュもいてくれれば何とか
なるだろう
優しくルージュの頭を撫でる
「私と一緒に主様を守っていきましょう」
スヤスヤと眠るルージュにそう告げるのだった